こめかみ・おでこの血管が浮き出るのはなぜ?原因と病気、ストレスの関連性

こめかみ・おでこの血管が浮き出るのはなぜ

こめかみ・おでこの血管が目立つ主な理由
🤔

生理的な要因

加齢による皮膚の菲薄化、体脂肪の減少、ストレスや飲酒による一時的な血管拡張などが考えられます。

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注意すべき病気

50歳以上で発症することが多い側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)の可能性があります。頭痛や顎の痛み、視力障害を伴う場合は特に注意が必要です。

🩺

受診の目安と治療

頭痛や発熱などの全身症状がある場合や、症状が続く場合は速やかに医療機関へ。側頭動脈炎はステロイド治療が中心となります。


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こめかみの血管が浮き出る主な原因は?加齢やストレスの影響

 

こめかみやおでこの血管が浮き出て見える現象は、多くの人が経験する可能性がありますが、その原因は多岐にわたります 。まず、最も一般的なのは加齢による生理的変化です 。年齢を重ねると皮膚のコラーゲンやエラスチンが減少し、皮膚全体が薄くなります。その結果、皮下にある血管が以前よりも透けて見えやすくなるのです。同様に、痩せている方や体脂肪率が低い方も、皮下脂肪が少ないため血管が目立ちやすい傾向にあります 。

また、一時的な血圧の上昇や血流の増加も血管を浮き出させる大きな要因です 。
以下のような状況でよく見られます。

  • ストレスや興奮: 精神的なストレスを感じると交感神経が活発になり、血圧が上昇し血管が拡張するため、一時的に血管が目立つことがあります 。
  • 飲酒: アルコールには血管を拡張させる作用があるため、飲酒後に顔が赤くなるのと同様に、こめかみなどの血管が浮き出やすくなります 。
  • 激しい運動や入浴: 運動や入浴によって体温が上昇し、全身の血流が促進されると、皮膚に近い血管が拡張してを放出しようとします。これも血管が目立つ一因です 。

これらの生理的な要因によるものは、通常、一過性であり、原因となる行動や状況が解消されれば元に戻ることがほとんどです。痛みや他の症状を伴わない限り、過度に心配する必要はないでしょう 。しかし、見た目が気になる場合は、美容皮膚科などで治療の選択肢もあります 。

こめかみで注意すべき病気「側頭動脈炎」の症状と検査

こめかみの血管が浮き出ると同時に、頭痛やその他の症状がある場合、特に注意が必要なのが「側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)」です 。これは、主に頭部にある太い血管(特にこめかみを走る浅側頭動脈)に炎症が起こる血管炎の一種で、自己免疫疾患と考えられています 。50歳以上に好発し、女性にやや多い傾向があります 。

側頭動脈炎の典型的な症状には以下のようなものがあります 。

  • 頭痛: これまでに経験したことのないような、ズキズキと拍動する強い頭痛が片側の側頭部に生じることが最も多い症状です 。夜間に悪化する傾向があります 。
  • 顎跛行(がくはこう): 食事をしていると顎がだるくなり、噛み続けられなくなる症状です 。これは、顎の筋肉への血流が不足するために起こります。
  • 視力障害: 目の動脈に炎症が及ぶと、視力が急に低下したり、視野が欠けたり、物が二重に見えたりすることがあります 。治療が遅れると、失明に至る可能性もあるため、極めて緊急性の高いサインです 。
  • 全身症状: 発熱(微熱から高熱まで)、全身の倦怠感、食欲不振、体重減少などを伴うことも少なくありません 。
  • 側頭動脈の圧痛: 炎症を起こしているこめかみの血管を触ると、硬く腫れており、痛みを感じたり、脈拍が弱くなっていたりします 。

診断は、これらの臨床症状、年齢、そして血液検査によって行われます。血液検査では、炎症反応を示す赤沈(ESR)やCRPの値が著しく高くなるのが特徴です。確定診断のためには、側頭動脈の一部を採取して顕微鏡で調べる「側頭動脈生検」が行われることがあります 。疑わしい症状があれば、速やかに内科、膠原病内科、あるいは眼科への受診が不可欠です 。

側頭動脈炎の診断基準や治療法について、より詳細な情報が掲載されています。
難病情報センター | 巨細胞性動脈炎(指定難病41)

こめかみの血管と頭痛、リウマチ性多発筋痛症との関連性

側頭動脈炎による頭痛は、片頭痛や緊張型頭痛など、他の一般的な頭痛との鑑別が重要です 。側頭動脈炎の頭痛は「今までに経験したことのない」と表現されるような新しいタイプの局所的な痛みであることが特徴です 。一方、片頭痛は若い頃から繰り返していることが多く、緊張型頭痛は後頭部から首筋にかけての重だるい痛みであることが多いです。50歳以降に初めて強い側頭部痛が出現した場合は、まず側頭動脈炎を疑うべきでしょう 。

さらに、側頭動脈炎を診療する上で非常に重要なのが「リウマチ性多発筋痛症(PMR)」との関連です 。リウマチ性多発筋痛症は、高齢者に発症する原因不明の炎症性疾患で、首、肩、腰、太ももなどの体幹に近い部分の筋肉に痛みやこわばりを生じます 。

この二つの疾患は密接に関連しており、以下のような関係性が知られています。

  • 側頭動脈炎の患者さんのうち、約40~50%がリウマチ性多発筋痛症を合併すると報告されています 。
  • 逆に、リウマチ性多発筋痛症の患者さんのうち、約10~20%が側頭動脈炎を合併します。

そのため、側頭動脈炎が疑われる患者さんには、肩や首の痛み、朝のこわばりといったリウマチ性多発筋痛症の症状がないか問診することが極めて重要です。同様に、リウマチ性多発筋痛症の患者さんに頭痛や視覚症状が出現した場合は、側頭動脈炎の合併を考慮する必要があります。

家庭向けの解説ですが、症状や原因が分かりやすくまとめられています。
MSDマニュアル家庭版 | 巨細胞性動脈炎

こめかみの血管が浮き出る場合の治療法と受診の目安

こめかみの血管が浮き出る原因が、加齢やストレスなどの生理的なもので、他に症状がなければ、医学的な治療は基本的に不要です 。しかし、見た目が気になるという美容的な理由であれば、自由診療で「硬化療法(スクレロセラピー)」などの治療法が存在します 。これは、目立つ血管に薬剤を注入して血管を閉塞させ、目立たなくさせる治療法です 。

一方で、側頭動脈炎が疑われる場合は、一刻も早い治療が必要です。主な治療法は、副腎皮質ステロイドの大量投与です 。プレドニゾロンなどの経口ステロイド薬を、高用量で開始し、症状や検査所の改善を見ながら数ヶ月から数年かけてゆっくりと減量していきます 。

特に、視力障害が出現している場合は失明のリスクが非常に高いため、緊急事態と見なされます 。この場合、入院の上でステロイドの点滴静注療法(パルス療法)を行うこともあります 。ステロイド治療で効果が不十分な場合や、副作用が懸念される場合には、生物学的製剤免疫抑制薬が併用されることもあります 。

🩺 受診の目安
以下のセルフチェック項目に当てはまる場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診してください 。

  • 50歳以上で、初めて経験するタイプの強い側頭部痛がある 。
  • こめかみの血管が硬く腫れ、触ると痛い 。
  • 食事の際に顎が痛くなる、疲れやすくなる 。
  • 急に視力が落ちた、物が二重に見える、視野が欠ける 。
  • 原因不明の発熱や体重減少が続く 。

受診する診療科は、かかりつけの内科、もしくはリウマチ・膠原病内科が専門となります。視覚症状がある場合は、眼科の受診も急務です 。

大学病院による専門的な治療フローが解説されています。
大阪大学大学院医学系研究科 呼吸器・免疫内科学 | 巨細胞性動脈炎

こめかみの血管異常と顔面動脈の解剖学的変異の関連性

こめかみや顔面の血管が目立つ場合、多くの臨床医は側頭動脈炎を第一に考えますが、それとは別に、血管自体の解剖学的な変異が原因となっている可能性も稀に存在します 。顔面の動脈、特に顔面動脈(facial artery)は、その走行や分岐に多くのバリエーションがあることが知られています 。

通常、顔面動脈は顎の下から顔面に上がり、口角から鼻の横を通り、最終的に目頭のあたりで終わります。しかし、ごく稀に、本来のルートから外れて頬やこめかみの浅い層を走行するループを形成したり、通常よりも手前で終末枝となったりする解剖学的変異が報告されています 。このような動脈の変異は、拍動性のこぶとして触知されることがあり、血管の蛇行や拡張と誤認される可能性があります 。

これらの解剖学的変異自体は、血流障害などを引き起こす病的なものではありません。しかし、美容医療におけるヒアルロン酸注入や、他の外科的処置の際に、この浅在性の動脈を損傷してしまうリスクを伴います 。血管内に注入物が入ると皮膚壊死などの重篤な合併症につながる可能性があるため、顔面の解剖を熟知することが非常に重要です。

また、先天性の血管奇形(血管腫や動静脈奇形など)が顔面や頭部に存在することもあります 。これらは非常に稀ですが、診断や治療には複数の専門科(形成外科放射線科、皮膚科など)による集学的なアプローチが必要となります 。したがって、典型的な側頭動脈炎の症状に当てはまらない非定型的な血管の目立ち方や腫瘤を認める場合は、こうした解剖学的変異や先天性疾患の可能性も、鑑別の片隅に置くべきかもしれません。


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