黄斑のう胞と原因とOCTと治療と手術

黄斑のう胞と原因と検査と治療

黄斑のう胞の臨床整理(医療従事者向け)
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「病名」より「所見」

黄斑のう胞は、糖尿病網膜症・網膜静脈閉塞症・ぶどう膜炎・術後炎症など多様な背景で出現する所見として捉えると診療が安定します。

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OCTが診療の軸

OCTで嚢胞状変化や黄斑浮腫を可視化し、経過観察・薬物治療・手術のどれに寄せるかを判断しやすくなります。

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治療は原因別に

抗VEGF、ステロイド(局所投与含む)、NSAIDs点眼、硝子体手術などを、原因疾患と牽引の有無で組み立てます。


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黄斑のう胞の原因と症状と視力低下

 

黄斑のう胞は、黄斑部(中心窩周辺)の網膜内に液体が貯留し、袋状(嚢胞状)に見える状態を指す臨床表現で、実体は「黄斑浮腫」や「嚢胞様黄斑浮腫(CME)」の一形態として遭遇します。

原因はひとつに限られず、糖尿病網膜症(糖尿病黄斑浮腫)、網膜静脈閉塞症ぶどう膜炎白内障手術後(Irvine-Gass)、加齢黄斑変性などが典型として挙げられます。

症状は「視力低下」「ゆがみ(変視)」「暗く感じる」などが中心で、患者は“見え方の質の低下”として訴えることが多く、視力表だけでは重症感が一致しないこともあります。

黄斑のう胞を病名として固定すると、背景疾患の探索が遅れます。臨床ではまず「炎症」「血管透過性亢進」「牽引」のどれが主因かを仮説化し、全身背景(糖尿病、炎症性疾患、術後、薬剤)とつなげるのが安全です。matsuokaganka+2​

特にぶどう膜炎関連CMEは、浮腫が遷延すると黄斑円孔や黄斑変性など不可逆変化につながり得る、という点が強調されています。

参考)https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/JJOS_PDF/97_1070.pdf

一方で、牽引性の嚢胞(硝子体黄斑牽引〜黄斑円孔前段階)では、炎症性・血管性の浮腫と違い、治療の主戦場が「硝子体黄斑界面」へ移るため、同じ“黄斑のう胞”でも意思決定が大きく変わります。manabe-eye-ladies+1​

■黄斑のう胞を疑う訴え(問診で拾うポイント)

  • 視力低下より「文字が波打つ」「線が曲がる」など変視の訴え。kurihama-ganka+1​
  • 「片眼だけ」「急に」か、「じわじわ」か(静脈閉塞・術後・炎症で時間経過が異なることがある)。webview.isho+1​
  • 直近の眼内手術歴(白内障手術など)や炎症既往の確認。nichigan+1​

黄斑のう胞のOCTと検査と所見

黄斑のう胞の診断・経過評価では、OCT(光干渉断層計)が中心的で、嚢胞状変化、網膜膨化、網膜下液などの形態を短時間で反復評価できます。

黄斑浮腫をひとまとめにせず、OCTで「嚢胞様黄斑浮腫(CME)」を含む複数の形(網膜の膨化、嚢胞状変化など)として整理できる、という視点は臨床上有用です。

さらに、硝子体黄斑界面疾患の文脈では、中心窩での接着が強いと牽引性の嚢胞が生じ、それが黄斑円孔へ発展し得る、という機序が示されています。

検査の組み立ては「所見の確認」だけでなく「原因推定」に直結させると効率が上がります。ぶどう膜炎では、細隙灯や眼底だけでなくOCTで黄斑浮腫・滲出性網膜剥離などを把握できることが示されており、炎症性病態ではOCTが“治療反応の温度計”になりやすいです。

一方、術後CME(Irvine-Gass)では発症時期が術後3〜12週間が多いとされる一方、数か月〜数年後に発症する症例もあるため、「術後早期しか起きない」という思い込みは危険です。

参考)囊胞様黄斑浮腫への対策 (臨床眼科 64巻11号)

また、白内障術後の囊胞様黄斑浮腫の発生頻度が術後5週で5.7%と報告された文献もあり、術式や合併症の影響を含め“頻度はゼロではない”前提で説明することが患者対応上も重要です。

参考)https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/JJOS_PDF/106_297.pdf

■黄斑のう胞で確認したい所見(OCT中心)

(検査と解釈の参考:糖尿病網膜症診療ガイドラインPDF)

日本眼科学会の糖尿病網膜症診療ガイドライン(糖尿病黄斑浮腫を含む評価と治療選択の考え方)

参考)https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/diabetic_retinopathy.pdf

黄斑のう胞の治療と抗VEGFとステロイド

黄斑のう胞の治療は“所見を消す”より、原因疾患の制御と中心窩機能の保全を目的に組むと再現性が高く、糖尿病黄斑浮腫では抗VEGF薬が第一選択になり得る、という臨床的整理が示されています。

抗VEGF治療は、糖尿病黄斑浮腫に対して月1回を3回連続して行い、その後はOCTなどで評価しながら追加投与する運用例が提示されています。

また、ぶどう膜炎関連CMEでは、持続性ステロイド剤の後部テノン嚢下注射など、ステロイド局所投与が治療選択肢として扱われています。

ステロイドは抗炎症作用を通じて浮腫を軽減し得ますが、緑内障・白内障などの副作用プロファイルや感染リスクを含め、投与経路(硝子体内、テノン嚢下など)を背景に応じて選ぶ必要があります。

抗VEGFが効きにくい・再発を繰り返す例では、病態が炎症優位なのか、牽引が残っているのか、あるいは慢性化で構造障害が進んでいるのかを再評価することが重要です。jstage.jst+1​

なお、患者説明では「注射で良くなる」だけでなく、効果が一過性で再発し得ることを前提に通院・評価の重要性を共有した方がトラブルが減ります(抗VEGFの効果が1〜2か月で一過性と説明される資料もあります)。

参考)糖尿病黄斑浮腫治療におけるアフリベルセプト硝子体注射に 網膜…

■外来での治療整理(原因別の発想)

  • 糖尿病黄斑浮腫:抗VEGFを軸に、全身管理も並走(血糖、血圧、脂質)。mj-ditn+1​
  • ぶどう膜炎関連:炎症コントロール(局所〜全身)+黄斑浮腫評価(OCT)。ikec+1​
  • 術後CME:経時的に自然軽快もあり得るが、発症時期・遷延例を意識して介入判断。​

黄斑のう胞と手術と黄斑円孔と鑑別

黄斑のう胞が見えたときに必ず考えたい鑑別のひとつが、硝子体牽引が主因となる黄斑円孔の前段階(牽引性嚢胞)や黄斑前膜など、硝子体黄斑界面疾患です。

黄斑円孔の病態では、硝子体の牽引がさらに強くなると中心窩の網膜が引き伸ばされ、嚢胞(液体が溜まった袋状構造)を形成し、“穴が開く一歩手前”と理解できる、という説明があります。

このタイプは、抗VEGFやステロイドで浮腫を抑えても牽引が残れば限界があり、手術(硝子体手術)を含む“牽引解除”の議論が必要になります。

白内障術後の囊胞様黄斑浮腫(Irvine-Gass)でも、硝子体手術が検討されるケースがあり、術後CME=点眼だけで終わる、とは限らない点は医療者側で共有しておきたい事項です。

また、術後CMEは「3〜12週間で発症」が典型とされつつ、数か月〜数年後発症例もあるため、患者が“手術と関係ない”と思って受診が遅れるリスクもあります。

鑑別の実務では、OCTで牽引サイン(黄斑前膜、硝子体の付着様式、中心窩形状)を拾い、必要に応じて網膜硝子体専門へ紹介する導線を作ると安全です。eyeclinic-tokyo+1​

■鑑別チェック(迷いやすいポイント)

  • 牽引性(黄斑円孔前段階)か、血管漏出性(糖尿病・静脈閉塞)か、炎症性(ぶどう膜炎)か。matsuokaganka+2​
  • 「視力」だけでなく「変視」の強さ(黄斑前膜・円孔の訴えは生活障害が大きいことがある)。aichi.med+1​

黄斑のう胞と点眼と薬剤と術後(独自視点)

検索上位の一般解説では、糖尿病・静脈閉塞・ぶどう膜炎・白内障術後が中心になりがちですが、実務的に“盲点”になりやすいのが薬剤・点眼と黄斑のう胞の関係です。

プロスタグランジン点眼薬緑内障治療薬)の副作用として、炎症性病変として「嚢胞様黄斑浮腫」や「ぶどう膜炎」が挙げられ、視力低下や変視を来し得るため、ハイリスク眼(術後眼など)では特に注意が必要と説明されています。

同資料では、PG関連薬が炎症や血管透過性亢進(VEGFなどの関与を含む説明)を介して黄斑浮腫に関与し得る可能性にも触れており、「点眼=局所で安全」の先入観を揺さぶる情報として有用です。

また、術後CMEの話題では、NSAIDs点眼による予防・発症抑制の文脈があり、日本眼科学会関連のPDFではジクロフェナク点眼液の白内障手術後CMEに関する検討が掲載されています。

参考)https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/JJOS_PDF/102_522.pdf

さらに、別PDFでは術後CMEの発症頻度が術後5週で5.7%と報告されており、術後フォローの設計(どのタイミングでOCTを入れるか、どの訴えで前倒し受診にするか)を考える材料になります。

「黄斑のう胞の原因検索」に薬剤歴(緑内障点眼、術後点眼、全身薬)を必ず入れる、という運用ルールは、忙しい外来ほど診断の取りこぼしを減らします。cjnext+1​

■薬剤・術後の確認項目(問診テンプレ案)

(術後CMEの発症時期・自然軽快の考え方がまとまっている参考)

囊胞様黄斑浮腫への対策(術後3〜12週間の発症、遅発例、自然軽快などの臨床整理)

まるごと黄斑疾患 (新篇眼科プラクティス 11)