血漿分離器 膜素材
血漿分離器 膜素材の基本:中空糸膜と血漿分離
膜型血漿交換(PE)は、血液を血漿分離膜で血球成分と血漿成分に分け、分離した血漿を廃棄して、FFPまたはアルブミン溶液で置換する治療として整理されます。
臨床のイメージとしては「血漿(IgG, IgM, Fib, Albなどを含む)をまとめて捨てる」ため、置換液が治療の安全性とコスト、合併症(アレルギー、低Caなど)に直結します。
同じ“血漿交換”でも、モード(PE/DFPP/選択的血漿交換)で「何を落とし、何を残すか」の思想が異なり、その差を作る主役が血漿分離器の膜素材と膜孔径です。
医療機器としての血漿分離器は、多くが中空糸膜(hollow fiber)を束ねたモジュールで、膜の表面・孔径・親水性が血漿透過と蛋白の付着挙動を左右します。
参考)https://patents.google.com/patent/JP2007215569A/ja
たとえば“血漿分離”の膜孔径は、一般的な説明でも0.3µm(PEの図示)などが示され、DFPPでは1次膜と2次膜を組み合わせて分画する考え方が提示されています。
参考)https://patents.google.com/patent/WO2013147001A1/ja
ここで重要なのは「カタログ上の孔径」だけではなく、孔径分布、表面の濡れ性、蛋白が作る二次膜(ファウリング層)まで含めて、実運用の透過性とTMP挙動が決まる点です。
血漿分離器 膜素材EVAL:エチレンビニルアルコール共重合体と透過性
日本の膜型血漿分離器では、EVAL(エチレン‐ビニルアルコール共重合体樹脂)を素材とする中空糸からなる血漿分離器があることが、学術論文の記載から確認できます。
同系統の装置として、旭化成メディカルの「エバキュアープラス」は、一般的な膜型血漿分離器より膜孔径が小さく、大分子量物質を除去せずに小・中分子量物質の除去ができる、という“中間的な透過性能”を特長として説明されています。
この設計思想は、選択的血漿交換(SePE)の考え方と接続しやすく、凝固因子をなるべく保持しながら、病因物質を狙う方向性に合います。
実際にSePEの説明では、特定の選択的膜型血漿分離器で「膜孔径が0.03μmで一般的な膜型血漿分離器より1/10程度小さい」こと、IgGは一定程度通過する一方でフィブリノゲンや凝固第13因子の通過が小さい、という“通し方の差”が示されています。
このタイプの発想は、出血リスクやFFP使用量の問題に悩む現場にとって、膜素材+孔径設計が治療安全性の手触りを変える代表例です。medicalonline+1
一方で、IgMや免疫複合体のような大分子領域は除去しにくい、と同資料内で限界も明記されているため、適応(狙う病因物質)と膜設計がずれると“効いている感じがしない”運用になり得ます。
(参考:選択的血漿交換の原理と、孔径0.03µmの考え方、IgG/フィブリノゲンの通過の違いがまとまっています)
自治医科大学資料:選択的血漿交換療法(SePEの孔径・通過率イメージ)
血漿分離器 膜素材ポリスルホン:親水化PVPと補体・凝固の論点
ポリスルホン系中空糸膜は、血液浄化分野で広く議論され、特許情報でも「ポリスルホン系高分子とポリビニルピロリドン(PVP)からなる中空糸膜型の血漿成分分離器」という構成が示されています。
同資料では、IgGの透過率やフィブリノゲンの透過率、孔径(円換算直径)など、分離性能を規定するパラメータを置いて設計していることが読み取れ、膜素材が“分画の精密さ”の前提になっていることが分かります。
また、補体活性化や凝固系活性化の抑制を課題として掲げる記載があり、生体適合性が単なる副次項目ではなく設計目標になり得ることが示唆されます。
PVPは膜表面の親水化に用いられる代表的な添加剤ですが、別特許では「膜表面の親水性が血液適合性に重要」「PVP濃度が低すぎると膜表面が疎水性となり血漿蛋白が吸着しやすく、血液の凝固も起こりやすい」という趣旨の説明があり、表面設計が凝固トラブルと繋がる論点が提示されています。
参考)https://patents.google.com/patent/JPH11309355A/ja
さらに同特許は、PVPの溶出量を抑える工夫に言及しており、“親水化すれば終わり”ではなく材料の安定性まで含めて評価対象になることを示しています。
医療者の現場感に落とすなら、抗凝固薬の量や回路圧の変化を「患者の凝固能」だけで説明しないで、膜素材・表面親水性・蛋白吸着の相互作用として疑うと、原因探索が早くなります。
血漿分離器 膜素材とTMP:運用で起きる“膜の二次変化”を読む(独自視点)
JSFAのガイドライン総説では、わが国で膜型血漿分離器など中空糸型デバイスを用いたアフェレシス療法が発達してきた背景が述べられており、装置を“使いこなす文化”が臨床工学技士制度などの体制と結びついている点が示されています。
この文脈にTMPを重ねると、TMPは単なる機械指標ではなく「膜と血液の相互作用の実況中継」として読む価値が高い、という発想になります(ここが運用の差になります)。
特に膜型血漿分離では、膜表面に蛋白が吸着して形成される層(いわゆるファウリング層)が“二次膜”として働き、透過性や選択性を時間とともに変え得ます。
この“二次変化”は、同じ膜素材でも患者背景(高フィブリノゲン、炎症、脂質異常など)や置換液選択(FFP/アルブミン)、抗凝固の置き方で様相が変わり、結果としてTMP上昇のタイミングやパターンが変わります。
また、SePEのように孔径を小さく設計した装置は、狙いどおり大分子を通しにくい一方で、運用面では“詰まりやすさ”や流量設計への感度が上がる可能性があり、TMPの立ち上がりを早期警戒サインとして扱う意義が増します。
上位記事が「素材の種類紹介」で終わりがちな一方、臨床では“素材×孔径×蛋白層×運用”の掛け算で結果が決まるため、TMPの波形(じわじわ上がる/段階的に跳ねる/片側だけ上がる)を、膜素材に紐づく仮説で言語化しておくとチーム内共有が速くなります。
血漿分離器 膜素材の選択:ガイドラインと適応疾患から逆算する
アフェレシス療法は、体外循環で病因物質(抗体、サイトカイン、有害代謝物など)や細胞成分を除去して病態改善を図る治療として定義され、PE/DFPP/IAPPなど複数の手段が含まれます。
日本アフェレシス学会は診療ガイドライン(JSFAガイドライン2021)を発刊したことが総説内で紹介され、国内の適応と推奨を整理する枠組みがあることが分かります。
膜素材の選定は「素材名で選ぶ」のではなく、ガイドラインで想定される疾患領域(神経、腎、皮膚など)ごとのターゲット(多くはIgGなど)を踏まえて、PE/DFPP/SePEのどれが目的に合うかを決め、その後に膜孔径・素材の特徴へ落とすのが安全です。
実務上の目安を、素材そのものではなく“設計の向き”としてまとめると次のようになります。
- 「凝固因子補充も必要」寄り:FFP置換PEが選ばれやすいが、置換に伴う有害事象(アレルギー、低Caなど)も含めて管理する。
- 「凝固因子をできるだけ落としたくない」寄り:SePEのように孔径設計でFib保持を狙う発想があり得る(ただしIgM領域は苦手)。
- 「分画して狙う」寄り:DFPPのように二段階(1次膜・2次膜)で除去対象を設計する選択肢がある。
(参考:国内のアフェレシス療法の枠組み、治療法の定義、ガイドラインの位置づけがまとまっています)
日本アフェレシス学会関連:アフェレシス療法におけるガイドライン総説(定義・国内の特徴)

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