滑車神経萎縮と解剖と症状と検査

滑車神経萎縮と症状と検査

滑車神経萎縮:臨床で最初に押さえる3点
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主訴は「上下の複視」が核

下方視(読書・階段)で悪化しやすく、代償頭位がヒントになります。

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解剖が「評価の難しさ」に直結

滑車神経は背側から出て交叉し、走行が独特です。どこが障害され得るかを先に決めると診断が速くなります。

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検査は眼球運動+必要ならMRI

Parks 3段階法、頭部傾斜試験、回旋評価で絞り、原因検索として画像検査を組み合わせます。


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滑車神経萎縮の解剖と走行の要点

 

滑車神経(Ⅳ脳神経)は、脳神経の中で「背側から出る」点が特徴で、臨床で病変部位を考える際の出発点になります。滑車神経核は中脳の下丘下部付近に位置し、核から出た線維は中脳内で交叉してから背側へ出て、脳幹の側壁を回り込むように前方へ走行します。

その後、海綿静脈洞外側壁を通り、上眼窩裂から眼窩内へ入り、上斜筋を支配します。 つまり「中脳(核〜交叉)→テント縁付近→海綿静脈洞→上眼窩裂→上斜筋」という長いルートのどこでも障害され得ます。

上斜筋の作用は単純な上下運動だけではなく、内転位での下転と内旋が絡むため、滑車神経障害の診察では「回旋」を避けて通れません。 ここが動眼神経・外転神経よりも“診察が難しい”と感じる理由で、症状を「上下の複視」だけで終わらせず、頭位や回旋所見まで取りに行く価値があります。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/9b13398e4cf75acb1cb0267a44d5b1bcf044141b

滑車神経萎縮の症状と複視と代償頭位

滑車神経機能が落ちると、上斜筋の働き(内転位での下転、内旋)が弱くなり、患者は上下方向の複視を訴えやすくなります。 とくに下方視で悪化しやすく、「本を読む」「階段を降りる」といった場面で困る訴えが典型です。

また、頭位で複視が軽くなる方向を無意識に探し、代償性頭位(斜頸、顎の位置の工夫)をとることがあります。 診察室で正面視だけを見て「軽い」と判断すると、日常生活での危険(階段・車の運転など)を過小評価しやすいので、下方視の状況を具体的に聞き取ると情報密度が上がります。

「頭部傾斜で悪化する/軽快する」という訴えは、回旋制御の破綻が背景にあり、滑車神経領域を疑う強い手がかりになります。 ここまで聞けると、単なる“複視”から“外眼筋麻痺の鑑別”に会話が進み、検査計画も立てやすくなります。

滑車神経萎縮の検査とParks 3段階法と頭部傾斜試験

滑車神経麻痺(上斜筋麻痺)の評価は、眼球運動制限の観察に加えて、Parks 3段階法やBielschowsky頭部傾斜試験を組み合わせて行うのが基本的な流れです。 頭部傾斜試験は、頭の傾きに対して眼球の回旋がどう代償されるかを利用し、回旋系の破綻(上斜筋の不全)をあぶり出します。

臨床の落とし穴は「合併病変」で、動眼神経麻痺を伴うと内下転位が作れず、通常の評価が効きにくくなる点です。 その場合は、上斜筋の“内方回旋作用”を使い、内下転あるいは下転を命じたときに内方回旋が起こるかどうかで上斜筋機能を評価する、という工夫が紹介されています。

参考)https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jja2.12939

このときは「勢いよく内下転してもらう」のがコツとされ、回旋が見えにくいときは観察対象(結膜血管など)を決めておくと見落としが減ります。onlinelibrary.wiley+1​

滑車神経萎縮という言葉を使うなら、単に「麻痺の診断」に留めず、どのレベルの障害が疑わしいか(中脳核近傍か、海綿静脈洞か、眼窩か)まで当たりをつけることが、後述の画像検査の選び方に直結します。

滑車神経萎縮の画像検査とMRIと原因検索

滑車神経障害が疑われる場合、原因を特定するためにCTやMRIなどの画像検査が行われることがあります。 とくに外傷後、特徴的な眼球運動異常が出たケースでは、CT/MRIで原因評価が進められることがあるとされています。

ただし臨床的には、画像で「明らかな構造病変がない」ことも珍しくなく、そこで診断が宙に浮くと患者説明が難しくなります。滑車神経は細く走行が長いことから、末梢側の障害をまず考える、という臨床的な発想も提示されています。

参考)302 Found

この発想は、画像が“陰性”でも診断の納得感を作る材料になり、「症状・眼球運動・頭位」から病態を説明し、必要に応じて時間経過で再評価する戦略を立てる助けになります。jstage.jst+1​

医療従事者向けの実務としては、眼球運動所見(Parks 3段階法・頭部傾斜試験・回旋評価)で責任筋をある程度絞ったうえで、病変候補(中脳背側、テント縁、海綿静脈洞、上眼窩裂、眼窩内)に合わせて撮像範囲・読影ポイントを共有すると、神経内科・脳外科・眼科間の連携が滑らかになります。

参考:滑車神経麻痺の診断・原因検索としてCT/MRIが行われる点

MSDマニュアル家庭版:第4脳神経(滑車神経)麻痺

滑車神経萎縮の鑑別とskew deviationと現場の工夫(独自視点)

滑車神経領域の症状は“上下の複視”が前面に出るため、鑑別としてskew deviation(眼位が垂直方向にずれる状態)を意識しないと、末梢神経障害として固定してしまうリスクがあります。 実際に、skew deviationは滑車神経麻痺と間違うことがある、と整理されています。

そのため、診察テンプレートに「眼振の有無」「回旋偏位の有無」「追従運動の障害の有無」など、skew deviationを拾う観点を最初から入れておくと、忙しい外来でも再現性が上がります。

独自視点として強調したいのは、“萎縮”という語を使う場面の設計です。滑車神経萎縮は、画像所見として明瞭に言い切れないこともあり得るため、診療録では「滑車神経麻痺疑い(上斜筋麻痺所見)」「回旋評価で支持」など、所見ベースで積み上げる書き方が後の説明責任に強いです。onlinelibrary.wiley+1​

患者説明でも「神経が細く、走行が長い」「回旋の制御が関わるので頭位で症状が変わる」といった解剖と症状の“つながり”を話すと、画像が陰性でも不信感が生まれにくく、フォローアップ(再診時に眼位・頭位の変化を比較)に協力が得られやすくなります。jstage.jst+1​

最後に現場のチェックリストとして、滑車神経萎縮(疑い)を見たら以下を固定化すると診断の揺れが減ります。

  • 👁️ 下方視(読書・階段)での複視の増悪があるか。
  • 🧭 頭部傾斜での増悪/軽快(Bielschowsky頭部傾斜試験の考え方)が合うか。
  • 🔄 回旋(内方回旋)が観察できるか、動眼神経麻痺合併時も評価を工夫したか。
  • 🧠 鑑別としてskew deviationを外したか(眼振・回旋偏位など)。
  • 🧲 必要に応じてCT/MRIで原因検索を行う方針を立てたか。

外転神経萎縮を臨床で扱うときは、「外転神経麻痺(第6脳神経麻痺)」の診察・鑑別・治療を土台にしつつ、画像で外直筋の“萎縮”を確認して慢性化や不可逆性(回復見込み・手術適応)を見立てる、という整理が実務的です。jstage.jst+1​


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