カリウム mg meq 換算
カリウム mg meq 換算の分子量と価数
臨床で出てくる「mEq(ミリ当量)」は、“電荷(当量)の量”を表す単位で、電解質の見方としてmgよりも直感的に扱える場面があります。特に輸液や体液の電解質はmEq/Lで示され、陽イオン・陰イオンのつり合いを見やすくする目的があります(Na+、K+、Cl-など)。
換算の核は「分子量」と「価数(電荷数)」です。mEqは「mmol×価数」で表せるので、1価のイオン(K+など)では 1 mmol = 1 mEq と一致し、2価(Ca2+など)では 1 mmol = 2 mEq になります。
参考)輸液の単位
mgからmEqへは、一般式として「mEq = mg ÷ 式量(分子量) × 価数」で考えると整理しやすく、同じ“mg”でも何の物質(元素Kなのか、塩KClなのか)を指しているかで式量が変わる点が最大の注意点です。
参考)測定単位の変換 – リソース – MSDマニュアル プロフェ…
カリウム(元素K)の分子量(原子量)はおよそ39なので、Kが「1価」であることを踏まえると、K 1 mEq は約39 mgに相当します(逆にK 39 mg ≒ 1 mEq)。
参考)初心者向け!カリウムやナトリウムのmEqをmgから換算(計算…
ここで大事なのは「KCl」と混ぜないことです。KClは分子量が約74.55で、同じ“1 mEqのK+”を入れるにも、KClとしては約74.55 mgが必要になります(KCl 74.55 mg ≒ K+ 1 mEq)。
参考)https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00051010.pdf
- 覚え方(現場向け):K(39)とKCl(74.5)をセットで暗記し、「どっちのmgか」を必ず確認する。
- よくある誤解:KClのmgをKのmgだと思って換算すると、mEqが約半分にズレる。
カリウム mg meq 換算の計算式と例
計算を“手順化”すると、忙しい場面でも再現性が上がります。まず「対象がK(元素)かKCl(塩)か」を確定し、次に価数(K+なので1)を置き、最後に分子量(K=約39、KCl=約74.55)を使います。
カリウム(K)をmEqにする基本例です。たとえばK 390 mgは、390 ÷ 39 × 1 = 10 mEq なので、K 390 mg ≒ 10 mEq と判断できます。
逆方向(mEq→mg)も同じロジックです。K 20 mEqは、20 × 39 = 780 mg(カリウムとして)となり、製剤や栄養表示がmg表記のときに「必要mEqが何mgに当たるか」を素早く見積もれます。
KClを使うときの例も重要です。KCl 745.5 mg は、745.5 ÷ 74.55 × 1 = 10 mEq(K+として10 mEq)になり、“KClのmg”を使う場合はKの分子量39ではなくKClの分子量74.55を使う点が要所です。
- カリウム(K)として:mEq = mg ÷ 39(概算)。
- 塩化カリウム(KCl)として:mEq = mg ÷ 74.55(概算)。
- 1価のイオン(K+):mEq = mmol × 1 なので、mmolと同じ数字になりやすい。
なお、輸液や検査で「mEq/L」という形で出てくる場合、これは“濃度”であり、“総量”を出すには投与量(L)を掛け算する必要があります。たとえば40 mEq/Lの溶液を0.5 L投与すると、総量は20 mEqです。
カリウム mg meq 換算とmEq/L mmol/Lの違い
単位の混在が起きる理由は、「mgは質量」「mmolは物質量」「mEqは当量(電荷量)」「mEq/Lは濃度」というように、見ている“物差し”が違うからです。輸液領域では、電荷のつり合い(陽イオンと陰イオン)を直に追えるmEq/Lが便利で、実際に電解質組成はmEq/L表記が中心です。
mEq/Lとmmol/Lの関係はシンプルで、mEq/L = mmol/L × 価数です。K+は1価なので、K+に関しては「mEq/Lとmmol/Lは同じ数字」になり、ここが初心者の混乱を減らす一方、Ca2+などでは数が変わるため“いつも同じではない”点が落とし穴になります。
もう一段の落とし穴が「mg/L」です。mg/Lは質量濃度なので、mg/L→mEq/Lへは分子量(式量)を経由する必要があり、同じmg/Lでも物質が変わるとmEq/Lは変わります。
臨床でよくある場面を、誤解が起きにくい言い方に直すと次の通りです。
- 検査値のK 4.0 mEq/L:血中のK+濃度(“K+の電荷量の濃さ”)。
- 処方のK 20 mEq:患者に入れる(または飲ませる)K+の総量(“電荷量の合計”)。
- ラベルの「Kとして1573.36 mg(40 mEq)」:質量表記と当量表記を併記している(取り違え防止に重要)。
輸液オーダーや薬剤部門では、成分表がmEq/Lで与えられることが多く、投与総量の計算は「mEq/L × 投与L」で落ち着きます。ここに“製剤の濃度制限”や“投与速度”が絡むと、単位換算ミスがそのまま安全性に直結します。
カリウム mg meq 換算の塩化カリウム製剤の注意
カリウム製剤は、換算の正確さが“そのまま安全性”に直結しやすい領域です。塩化カリウム(KCl)注射製剤の添付文書では、たとえば1アンプル中にKCl 3 gが含まれ、カリウム(K)量として40 mEq(1573.36 mg)といった形で明示されており、「KCl量」「K量」「mEq」が同居します。
この“同居”が、現場での取り違えポイントです。カリウム補正の指示が「Kとして何mEq」と書かれているのに、手元の情報が「KClとして何mg」だけだと、分子量の取り違えでmEqがズレます(K=39、KCl=74.55の違い)。
さらに、KCl製剤は希釈濃度と投与速度が強く意識される薬剤です。添付文書では「カリウムとして40 mEq/L以下の濃度」や「点滴静脈内注射のみに使用」などの注意が記載され、急速投与で不整脈・心停止のリスクがあり得ることが強調されています。
このため、換算計算は「合っているか」だけでなく、「投与設計として安全か」も同時にチェックするのが実務的です。最低限のセルフチェック手順を固定すると事故が減ります。
- ステップ1:指示は「K+のmEq」か「KClのg」かを確認する(単位と主語を読む)。
- ステップ2:薬剤ラベルの併記(例:40 mEq=Kとして1573.36 mg)を使い、分子量計算を省略できるなら省略する。
- ステップ3:最終濃度(mEq/L)と速度(mEq/hrやmL/min)を、施設基準・添付文書と突き合わせる。
意外に見落とされがちなのは、「mEqはイオン(K+)の当量」であり、KClという“塩”のmEqではない、という感覚です。KClを投与しても最終的に体内で問題になるのはK+(とCl-)の負荷なので、指示系統がmEqベースになりやすい背景があります。
カリウム mg meq 換算の独自視点: 取り違えパターン
検索上位の解説は「式」「例題」が中心になりやすい一方、現場で本当に起きるのは“計算の仕方”より“前提の取り違え”です。ここでは、医療従事者の確認文化に合わせて、ミスが起きる分岐点を「パターン」で整理します(計算力ではなく、読み取り力の問題として扱うのがポイント)。
パターンA:K(元素)とKCl(塩)を同一視する
K 1 mEqは約39 mgですが、KCl 1 mEq(K+として1 mEq)には約74.55 mgが必要です。オーダーがmEqで来たのに、手元の薬剤量をKの分子量で割ってしまうと、必要量が約2倍ズレる方向に傾きます。
パターンB:「濃度」と「総量」を混同する
K 40 mEq/Lは“1L当たり”なので、500 mLなら20 mEqです。混同すると投与総量が2倍になったり半分になったりし、特に補正の微調整で誤差が積み上がります。
パターンC:1価であることに甘えて、2価の換算癖が崩れる
K+ではmEqとmmolが一致するため、思考停止しやすいのが罠です。Ca2+などが混ざる処方設計(電解質補液の全体設計)では「mEq/L=mmol/L×価数」を都度当てる必要があります。
パターンD:「添付文書に書いてある併記」を使わず、自力計算だけで突っ走る
KCl製剤は「Kとして何mEq・何mg」が明確に書かれていることがあり、そこを使うと分子量計算より堅牢です。特に夜間・緊急時は、併記値でクロスチェックする運用が安全側です。
最後に、教育的に効く“ミニチェック”を載せます。計算結果が妥当かを暗算で確認できると、入力ミス(桁ミス)を拾えます。
- K(元素)なら:1 mEq ≒ 40 mg(ざっくり)なので、10 mEq ≒ 400 mgのオーダー感で見る。
- KClなら:1 mEq ≒ 75 mg(ざっくり)なので、40 mEq ≒ 3 g(KCl)のオーダー感で見る(添付文書の値とも整合)。
日本語で権威性が高く、単位の定義とmEq/L・mmol/Lの関係がまとまっている参考(単位の背景整理の参考リンク)。
日本で流通する塩化カリウム注射製剤の添付文書情報(K量mEqとmgの併記、濃度・速度の注意の参考リンク)。
https://pins.japic.or.jp/pdf/newPINS/00051010.pdf
海外だが式の形が簡潔で、mg・mmol・mEqの相互変換式が整理されている参考(換算式の確認の参考リンク)。
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/%E3%83%AA%E3%82%BD%E3%83%BC%E3%82%B9/%E6%B8%AC%E5%AE%9A%E5%8D%98%E4%BD%8D%E3%81%AE%E5%A4%89%E6%8F%9B

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