感染性関節炎 原因 菌 血流 関節穿刺

感染性関節炎 原因

感染性関節炎の原因を最短で把握
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原因は「菌」と「侵入経路」

黄色ブドウ球菌が最も多い一方、血流・直接侵入・周囲感染波及で原因菌の想定が変わります。

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確定は関節穿刺+培養

抗菌薬投与前の関節液培養と血液培養が基本で、陰性でも感染を否定しきれない点が重要です。

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独自視点:バイオフィルム

関節液内で菌が凝集し、抗菌薬が効きにくい状態が起こり得るため「原因の見えにくさ」に直結します。

感染性関節炎 原因 菌:黄色ブドウ球菌とMRSA

 

感染性関節炎化膿性関節炎を含む)の「原因」でまず押さえるべきは起炎菌の頻度で、成人では黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)が最も多いとされます。原因菌の優先順位が明確だと、初期治療(原因菌が判明するまでの経験的抗菌薬)や感染対策(接触予防策、院内伝播の警戒)が組み立てやすくなります。

また臨床では、黄色ブドウ球菌のうちメチシリン耐性株(MRSA)が一定割合で関与しうる点が重要です。MSDマニュアル(プロフェッショナル版)でも、市中分離株でメチシリン耐性がよくみられる旨が記載されています。抗菌薬選択の前提が変わるため、入院歴・透析・介護施設入所・既往のMRSA保菌などの情報は、原因菌推定に直結します。

原因菌としては黄色ブドウ球菌に次いで、連鎖球菌(streptococci)が一定割合を占めると報告されています。さらに患者背景によってはグラム陰性桿菌や弱毒菌(例:表皮ブドウ球菌)も鑑別に入ります。特に免疫不全や人工物が関与する状況では「頻度が低い=起こらない」ではなく、「頻度は低いが起こると見逃しやすい原因」と捉えると診療の安全性が上がります。

参考(原因菌の概観がまとまる・原因菌の頻度と侵入経路の整理)。

済生会:化膿性関節炎(原因菌・侵入経路の説明)
MSDマニュアル:急性の感染性関節炎(成人の原因菌など)

感染性関節炎 原因 血流:菌血症からの播種

感染性関節炎の原因として最も典型的なのは、血行性(血流)に菌が関節へ播種するルートです。関節は本来無菌ですが、菌血症が起点になると、皮膚軟部組織感染や肺炎、尿路感染、感染性心内膜炎など「関節以外の感染巣」が“原因の源”になり得ます。したがって関節症状が主訴でも、同時に「発熱」「悪寒」「全身倦怠」「皮膚所見」「心雑音」など全身評価をセットで行う必要があります。

血流由来を疑う臨床上のヒントとして、単関節炎で急速に進行する強い疼痛・腫脹・可動域制限に加え、炎症反応高値や敗血症所見を伴うケースが挙げられます。血液培養の位置づけは非常に高く、関節液検査に加えて血液培養を採取する重要性が日本医事新報社の「関節液検査」解説でも触れられています。

ここで実務的に効く工夫は、「原因菌同定のための検体採取」を抗菌薬投与より前に完了させることです。すでに抗菌薬が先行していると培養陰性になりやすく、原因が曖昧なまま治療が長期化するリスクが上がります。

参考(血液培養の重要性・関節液検査の位置づけ)。

日本医事新報社:関節液検査(化膿性関節炎では血液培養採取が必須)

感染性関節炎 原因 関節穿刺:直接侵入と医原性

感染性関節炎の原因は血流だけではなく、関節内への「直接侵入」も重要です。典型は外傷や咬傷(ヒト・犬・猫など)で、皮膚バリアが破綻した部位から関節内へ菌が入り、局所で増殖します。MSDマニュアル(家庭版)でも、近くの感染部位や血流以外に、手術・注射・けがによって関節が汚染され直接感染することがあると説明されています。

医療従事者にとって注意すべきは、関節穿刺や関節注射、関節手術が「原因(リスク因子)」になり得る点です。MSDマニュアルの危険因子表では、関節穿刺(リスクはごくわずか)・関節注射・関節手術が危険因子として挙げられています。頻度は高くないとしても、発症した場合は医原性の可能性を含めた説明・記録・感染対策が必要になり、現場対応の重みが増します。

また「穿刺=診断の鍵」でもあります。関節穿刺で得られた関節液は、肉眼所見(膿性・混濁)、細胞数、糖、グラム染色、培養、必要に応じて結晶検索まで評価し、原因を“感染”に固定せず鑑別に耐えるデータを揃えます。特に結晶誘発性関節炎痛風・CPPD)は臨床像が似ることがあり、感染が否定できない状況では両者の併存も視野に入れます。

参考(直接侵入の説明、危険因子表)。

MSDマニュアル家庭版:感染性関節炎(原因:血流・近接感染・注射/けが)
MSDマニュアル:感染性関節炎の危険因子(高齢、関節穿刺/注射/手術など)

感染性関節炎 原因:リスク因子(高齢・糖尿病・関節リウマチ・人工関節)

同じ菌に曝露されても感染性関節炎を発症しやすい人がいる、という視点は「原因」理解の実務で効きます。MSDマニュアルの危険因子には、高齢、皮膚感染症、免疫不全(HIVなど)、免疫抑制療法(コルチコステロイドなど)、注射薬物の使用などが列挙されています。つまり原因を「菌」だけでなく「宿主側の条件」まで含めて捉えると、見落としが減ります。

例えば関節リウマチ(RA)では、疾患そのものによる関節構造変化に加えて、ステロイドや生物学的製剤、JAK阻害薬など免疫抑制治療が関与しうるため、感染が重症化しやすい文脈があります。大阪大学の関節リウマチ治療解説でも、高齢、一定量以上のステロイド、糖尿病などが重篤な感染症のリスク因子として触れられています。外来で「痛みがいつもと違う」「局所が熱い」「動かせない」などの訴えが出た際、炎症の増悪として処理してしまうと、原因が感染であるケースを拾いにくくなります。

人工関節(プロテーゼ)に関連する感染では、原因菌として表皮ブドウ球菌などバイオフィルム形成菌が問題になりやすく、治療が長期化しやすい点が特徴です。一般に人工物があると、菌が付着して凝集・定着し、抗菌薬が届きにくい環境が形成されます(詳細は次項の独自視点で掘り下げます)。

参考(危険因子、RA治療と感染リスク)。

MSDマニュアル:感染性関節炎の危険因子
大阪大学:関節リウマチの治療(感染症リスク因子の記載)

感染性関節炎 原因 バイオフィルム:培養陰性と「関節液内の菌の凝集」(独自視点)

検索上位の一般向け解説では「黄色ブドウ球菌が多い」「血流で入る」「関節穿刺で診断」といった骨格が中心ですが、臨床現場で厄介なのは“原因が分かりにくい感染”です。とくに、関節液培養が陰性でも感染が強く疑われる状況(抗菌薬先行、弱毒菌、採取条件、菌量が少ない等)では、原因菌が同定できないまま治療が続くことがあります。科研費成果報告の資料でも、抗菌薬投与後や弱毒菌感染では培養が偽陰性になりやすいことが述べられています。

ここで意外性がありつつ実務に直結する概念が、関節内でのバイオフィルム(あるいは“バイオフィルム様凝集体”)です。黄色ブドウ球菌(特にMRSAを含む)は関節感染で強い凝集体を作ることが示され、抗菌薬治療に対して反応が悪くなる機序の一端として議論されています。実際、ヒトの関節液中でMRSAがバイオフィルム様の凝集を形成しうることを示した研究報告もあります。こうした凝集体は、通常の培養・感受性結果のイメージ(“浮遊菌”)と臨床反応がズレる理由になり得ます。

この視点を診療に落とすと、次のような実務判断が明確になります。

  • 🧠「培養陰性=感染否定」ではなく、「原因菌同定が難しい感染」を想定して追加検査を検討する。
  • 🧫 採取済み検体があれば、施設の運用範囲で16S rRNA broad-range PCR等の分子検査の適応を検討する(特に小児例などで報告あり)。
  • 🧩 人工関節や既存関節疾患の背景では、バイオフィルム形成を前提に“治療反応が鈍い理由”を説明し、外科的介入(洗浄・デブリードマン等)も含めて多職種で方針を揃える。

関連論文(関節液内のバイオフィルム様凝集の示唆)。

Effect of biofilms on recalcitrance of staphylococcal joint infection to antibiotic treatment (2015)
Infected synovial fluid中のbiofilm-like aggregatesの検討(Frontiers in Microbiology, 2020)

参考(培養偽陰性・分子診断の示唆、16S rRNA PCRの例)。

培養が陰性になりやすい状況(抗菌薬投与後など)と迅速同定法の背景。

科研費成果:Tm mapping法を用いた骨関節軟部組織感染症の原因菌種迅速同定

培養陰性でもPCRで細菌DNAを検出した小児例。

日本小児感染症学会:培養陰性でも16S rRNA PCRで検出した報告

感染性関節炎 スーパーヒーロー ウォリアーファイターサポート トレーナー