緩徐な視野異常と緑内障と視野検査

緩徐な視野異常

緩徐な視野異常:まず押さえる3点
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自覚が乏しいまま進む

緑内障は視神経・視野障害が「非可逆」で、患者が気づかないうちに「徐々に進行」することがあるため、問診より検査が主役になりやすい。

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視交叉病変を同時に疑う

下垂体腺腫などが視交叉を圧迫すると「両耳側半盲」を来しうるため、視野パターンで中枢性病変を想起する。

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視野検査は“1回で決めない”

自動視野は学習効果や信頼性指標の影響を受けるため、再現性を確認しつつ、経時的に進行速度を評価する設計が重要。


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緩徐な視野異常の緑内障と自覚と進行

緩徐な視野異常で最初に想起されやすいのは緑内障で、視神経障害・視野障害は基本的に進行性で非可逆、しかも患者の自覚がないまま徐々に進行しうる点が臨床上の落とし穴です。

医療者側は「本人が困っていない=軽症」と捉えがちですが、緑内障では自覚した時点で障害が相当に進んでいることがあるため、症状より検査(眼底・OCT・視野)から逆算して重症度を判断します。

特に正常眼圧緑内障を含む原発開放隅角緑内障(広義)は慢性進行性で、視神経乳頭や網膜神経線維層の形態変化が視野異常より先に検出されることがあるため、「視野がまだ軽い」局面で眼底所見が強い症例に注意が必要です。

  • 外来での実務ポイント:患者が「見えている」と言っても、両眼で補い合って気づきにくい(片眼ずつの確認が重要)。
  • 危険サイン:片眼が進行している、乳頭出血が出た、進行速度が速い、などは治療強化の検討材料になる。

参考:緑内障の定義・検査(視野検査の推奨や進行判定の考え方)

日本眼科学会/日本緑内障学会:緑内障診療ガイドライン(第5版)PDF

緩徐な視野異常の視野検査と信頼性と読み方

緩徐な視野異常の評価では「視野検査をどう読むか」が診断精度を左右し、緑内障診療では静的視野(自動視野)が初期の変化検出に鋭敏で、診療上推奨されています。

ただし自動視野は学習効果が大きく、初回は信頼性が低くなりやすいので、固視不良・偽陽性/偽陰性など信頼係数を見て「まず再現性」を確保してから所見を確定します。

進行判定は単発の“悪化っぽさ”ではなく、イベント解析(ベースラインと比較して統計学的に悪化した点が連続するか)とトレンド解析(MDやVFIの年あたり変化)を使い分け、少なくとも複数回の測定が必要とされています。

  • 臨床でよくある偽の視野異常:眼瞼下垂、屈折矯正不良、中間透光体混濁、縮瞳、疲労・集中力低下。
  • “緩徐”こそ頻回フォローが必要:新規診断後の初期2年間はできるだけ頻回測定が推奨される、という考え方が紹介されています。

緩徐な視野異常の視交叉と下垂体腺腫と両耳側半盲

緩徐な視野異常を「緑内障」と決め打ちしないためには、視交叉病変を並行して疑う姿勢が重要です。

下垂体腺腫は腫瘍が大きくなると視交叉を下方から圧迫し、両眼の外側視野が欠ける両耳側半盲を特徴とする視野障害を来しうるため、視野パターンが“縦の正中”を境に揃う場合は特に注意します。

診断には頭部CT/MRIと、ホルモン検査、眼科での視力・視野検査が必要とされており、視野異常の紹介先が「眼科のみ」になっていないかを振り返ることが安全管理につながります。

  • 見逃しやすいポイント:視力が保たれていても、視野(特に外側)が欠けると生活上の支障が出にくい患者がいる。
  • 紹介の目安:両眼で左右対称の異常、両耳側半盲を疑う所見、頭痛や内分泌症状の併存。

参考:下垂体腺腫での視交叉圧迫と視野障害、検査(CT/MRI)の説明

秋田県立循環器・脳脊髄センター:下垂体腺腫(視交叉圧迫と両耳側半盲、CT/MRI)

緩徐な視野異常の眼圧と目標眼圧と落とし穴

緩徐な視野異常が緑内障に由来する場合でも、「眼圧が低いから安心」とは限らず、ガイドライン上も緑内障は複雑な症候群で、病期・危険因子を踏まえて目標眼圧を設定し、経過で再評価・修正することが合理的とされています。

目標眼圧は絶対値で固定するというより、無治療時眼圧からの下降率(例:20%、30%)で設定する考え方が示されており、目標達成でも進行する例/未達でも進行が緩やかな例がある点を前提にします。

さらに、十分な眼圧下降治療を行っても進行する例があること、進行した緑内障ではOCTのfloor effectで構造評価が頭打ちになり視野評価が主役になることなど、実臨床での“詰まりどころ”が整理されています。

場面 ありがちな誤解 現場での修正
眼圧が低い 緑内障ではない 正常眼圧緑内障を含め、眼圧だけで否定しない(構造+機能で判断)。
視野が少し悪い 軽症だから経過でよい 再現性確認後、進行速度を評価して治療強度を決める(トレンド解析の発想)。
OCTであまり変わらない 進行していない 進行例ではfloor effectがあり、視野がより有用になることがある。

緩徐な視野異常の独自視点:視野検査とQOLと運転

緩徐な視野異常は“検査の異常”として片づけられやすい一方、緑内障が進行すると視野障害に伴いQOLが低下し、運転・読書・歩行・顔の認識など日常機能への影響が報告されています。

このため医療従事者向けには、単に「視野が欠けている」ではなく、患者の生活背景(夜間運転の有無、段差や階段の多い職場、見落とし事故の既往)を短時間でも聴取し、視野障害の部位と生活上のリスクを結びつけて説明するのが有用です。

また、緑内障は長期の点眼・通院が必要になりやすい疾患で、治療継続(アドヒアランス)の悪さが問題になりうるため、検査結果のフィードバックと通院設計(次回予約の具体化、点眼手技の確認)を“視野悪化の予防策”として扱うと現場実装しやすくなります。

  • 安全配慮の一言例:視野異常が疑われる段階から「転倒」「運転」「作業ミス」リスクの可能性を共有し、必要なら職場配慮や家族同席を提案する。
  • 意外と効く工夫:自覚が乏しい患者ほど、視野のグレースケールや進行速度の説明で治療納得度が上がり、点眼が続きやすい。