下行性視神経萎縮と診断と原因と検査

下行性視神経萎縮と診断

下行性視神経萎縮:臨床で押さえる3点
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「下行性」は眼より中枢側の障害を疑う

視神経~視交叉~視索などの圧迫・炎症・浸潤が背景になり得るため、眼底だけで安心せず画像評価へつなげます。

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視野・RAPD・経過が診断の起点

視力や眼底所見が軽微でも、視野欠損パターンと瞳孔所見(RAPD)で視神経疾患を疑い、検査設計を組み立てます。

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MRI(眼窩・頭部)が「原因の取りこぼし」を減らす

球後視神経は眼底で見えないことがあり、STIRや造影T1で炎症・腫瘍性・髄膜病変の鑑別に役立ちます。


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下行性視神経萎縮の原因と病態

下行性視神経萎縮は、視神経線維(網膜神経節細胞の軸索)が障害された結果として、眼底で視神経乳頭の蒼白化や萎縮が観察される「状態名」であり、原因疾患の同定が本体です。

臨床的には「眼より中枢側(視神経~視交叉~視索、あるいは頭蓋内)」の病変が関与しやすい、という意味で“下行性(逆行性変性)”を意識します。

眼窩部MRIの解説では、視神経萎縮は「逆行性変性と順行性変性がある」と整理され、逆行性変性の代表例として下垂体腫瘍や脳動脈瘤などの圧迫性病変が挙げられています。

原因の大枠は、①圧迫(腫瘍・動脈瘤・肥厚性硬膜炎など)、②炎症・脱髄(視神経炎、自己免疫関連など)、③虚血、④浸潤・腫瘍性(視神経鞘髄膜腫、髄膜癌腫症など)、⑤中毒・薬剤、⑥外傷、⑦遺伝性、のように「視神経に到達する機序」で分類すると、検査の優先順位が作りやすくなります。jstage.jst+1​

また、視神経障害は初期に眼底所見が乏しいことがあるため、患者の訴え(視力低下、視野異常、色覚異常など)と経過から“視神経疾患らしさ”を拾い上げることが重要です。jstage.jst+1​

医療従事者向けに強調したい点として、「下行性」と聞くと視神経炎の慢性期だけを想起しがちですが、実臨床では圧迫性病変の見逃しが最も不利益になりやすく、画像での原因検索が診療の安全性を上げます。

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特に視交叉近傍の病変は両眼性・特徴的視野欠損を取り得るため、片眼の乳頭所見だけで説明しようとすると破綻しやすい、という落とし穴があります。

「視神経萎縮=治らない」ことが多い一方で、原因が圧迫・炎症であれば進行抑制や追加障害の回避が期待できるため、原因同定に意味があります。jstage.jst+1​

下行性視神経萎縮の診断と症状と所見

視神経萎縮は、視神経線維の変性・萎縮により、網膜神経節細胞の軸索の消失が眼底検査で確認される状態、と説明されています。

症状としては視力低下や視野欠損が中心で、視神経乳頭が萎縮して蒼白となり、視野狭窄をきたし得るとされています。

片眼・両眼いずれも起こり得て、通常は回復しないことが多い点も、患者説明で誤解が生まれやすいポイントです。

診断の起点は「どの部位の視神経が、どの時間経過で障害されたか」を言語化することで、検査の選択が合理化されます。

眼窩部MRIの解説では、視神経疾患の診断にはRAPDの有無、視野欠損の形、発症経過の詳細な聴取が重要であり、それに加えてMRIによる頭部・眼窩部の画像診断も不可欠と述べられています。

つまり、視神経乳頭の蒼白化という“結果”に到達した時点でも、RAPDや視野パターンは原因推定のヒントとして残りやすく、後追い診断に有効です。

現場で頻出する悩みは「緑内障性の視神経萎縮(順行性)と、圧迫などによる逆行性の萎縮の鑑別」です。

同資料でも、両者は眼底で乳頭が蒼白、OCTで神経線維の菲薄化を示し鑑別が難しいため、視野所見で鑑別し、グレーゾーンでは頭部MRIによる頭蓋内精査が必要と説明されています。

この“グレーゾーン対応”が、医療安全と紹介・連携の品質を左右します。

下行性視神経萎縮の検査とMRIとOCT

視神経萎縮の評価では、視力検査、視野検査、中心フリッカー検査、眼底検査、視覚誘発電位の測定などを行い、原因検索として血液検査なども実施するとされています。

しかし、球後視神経など眼底で直接観察しにくい部位の病変が多いことが、視神経疾患の診断を難しくする要因として挙げられています。

そのため、MRIは原因病変(眼窩内・頭蓋内)を“見える化”する目的で重要になります。

眼窩部MRIの解説では、視神経の急性変化(虚血や炎症)を捉えるにはSTIRと脂肪抑制併用の造影T1強調画像の組み合わせが有用とされています。

また、視神経萎縮はMRIで正常より細く描出されることが特徴で、STIRで高信号を示すことが多く、gliosisや神経線維減少に伴う周囲髄液信号の相対的強調が要因と説明されています。

「萎縮=細い」という形態情報は、視神経炎の活動性所見(造影効果やSTIR高信号)とは別軸で、慢性期の“残存障害”を示す情報として扱えます。

OCTは神経線維層の菲薄化を提示できる一方、逆行性か順行性かの決め手になりにくい、と同資料でも示唆されています。

そこで、OCTは“程度の定量と経時変化”に強く、MRIは“原因の探索と部位診断”に強い、という役割分担で説明するとチーム内合意が取りやすくなります。

撮像の質も重要で、眼窩部MRIは撮影条件を誤ると診断価値が下がるため、放射線技師・画像診断医とのコミュニケーションが重要と述べられています。

参考リンク(眼窩部MRIで視神経炎・虚血・腫瘍・視神経萎縮をどう見分けるかの具体例)

眼窩部MRIによる視神経疾患の画像診断(PDF)

参考リンク(視神経萎縮の症状・検査・治療の概説:視野検査やVEP、ビタミンB12など)

関西医科大学附属病院:視神経萎縮

下行性視神経萎縮の鑑別と緑内障

臨床で最も実務的な鑑別は、「緑内障性視神経萎縮(順行性変性)なのか、圧迫性などによる逆行性(下行性)視神経萎縮なのか」です。

眼窩部MRIの資料では、順行性変性の代表疾患として緑内障、逆行性変性の代表として下垂体腫瘍や脳動脈瘤などの圧迫性病変が挙げられ、両者は眼底・OCTだけでは鑑別が難しいとされています。

この前提があるため、「眼圧が高くないから緑内障ではない」「乳頭が蒼白だから緑内障ではない」といった単純化は危険です。

鑑別の実装としては、視野欠損パターンと臨床経過(急性か慢性か、疼痛、神経症状の随伴)を軸にし、説明がつかない場合はMRIへ進める流れが合理的です。

資料でも、視野所見から鑑別するがグレーゾーンが多く、その場合は頭部MRIによる頭蓋内精査が必要と明記されています。

“グレーゾーンで止めない”ことが、下行性視神経萎縮の診療品質を上げます。

また、髄膜癌腫症や視神経周囲炎では、造影MRIで視神経周囲の輪状造影など特徴的所見が示されることがあり、これらは緑内障の枠組みでは説明できないため、画像所見の言語化が重要です。

腫瘍性では視神経鞘髄膜腫のtram-track signなど、典型を知っていると紹介時の要約が明確になります。

「視神経萎縮」という結果に対して“原因のラベルを付け直す”作業が、実は鑑別の本質です。

下行性視神経萎縮の独自視点:診療の説明と連携

下行性視神経萎縮は、患者側には「眼の病気」としか認識されにくい一方、実務としては「眼窩・頭蓋内まで含めた神経眼科・脳神経領域の連携課題」になりやすい病態です。

眼窩部MRIの資料が強調するように、視神経疾患では問診(発症経過)と視野・RAPDに加えてMRIが不可欠であり、眼科単独で完結しない設計が前提になります。

この前提を患者説明に落とす際は、「眼底で見える範囲は限られ、見えない場所(球後視神経や頭蓋内)に原因があることがある」ことを、検査の必要性と結びつけて説明すると同意が得られやすいです。

さらに、視神経萎縮は通常回復しないことが多いとされるため、説明が「治らない」だけで終わると通院中断につながりやすい点が臨床上のリスクになります。

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そこで、“治療”の目的を「視機能の回復」だけでなく「原因疾患の治療や進行抑制」「反対眼や中枢合併症の予防」「日常生活支援」へと再定義して共有すると、医療者側の介入余地が残ります。jstage.jst+1​

関西医科大学附属病院の説明でも、一般的に有効な治療法はないが症例により悪化予防にビタミンB12内服が有効なことがある、とされており、“できること”を具体化して提示する姿勢が重要です。