過敏性血管炎 症状
過敏性血管炎 症状の紫斑と触知可能な紫斑
過敏性血管炎(臨床的には皮膚小型血管炎の文脈で語られることが多い)の入口は、皮膚の紫斑の「質」を見極めることです。
小型血管炎で典型とされる皮疹は、圧迫しても消えない紫斑に加えて、皮膚表面よりやや隆起して触れる“触知可能な紫斑(palpable purpura)”で、病理学的には真皮の小血管で壊死性血管炎(白血球破砕性血管炎:LCV)を示すことが多いと整理されています。
この「触れるかどうか」は、単なる紫斑(例:血小板減少性紫斑)や紅斑と分ける実地的なポイントになり、まずは血小板減少の有無、紫斑の分布(下肢優位など)、壊死や水疱・潰瘍の有無を同時に観察します。
臨床では「紫斑=皮膚症状」だけで完結させないことが重要です。
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IgA血管炎では、紫斑は下腿に多い一方で、臀部・顔面・体幹・上肢にも出現し得るとされ、皮疹の広がりだけで臓器障害の有無は決められません。
また、自覚症状に乏しい、あるいは全身倦怠感や微熱などの非特異的症状のみの例もあるため、「皮疹が軽いから軽症」と短絡しない態度が安全です。
過敏性血管炎 症状の腹痛と吐下血
過敏性血管炎の鑑別で特に重要なのが、皮膚小型血管炎の中でもIgA血管炎(旧Henoch-Schönlein紫斑病)を念頭に置く場面です。
IgA血管炎は、紫斑・関節痛/関節炎・腹痛・糸球体腎炎を四主徴とする免疫複合体性の細小動脈〜毛細血管炎とされ、消化器症状を高頻度に伴い、腹痛に加えて悪心、吐下血を認めることがあると記載されています。
小児では腸重積に至ることもあるため、強い腹痛、血便、嘔吐、循環動態の変化があれば、皮疹の有無に関わらず緊急性を判断します。
腹部症状は「皮膚所見の後に出る」と決めつけない点が落とし穴です。
IgA血管炎では、全身倦怠感・微熱などから始まる例があり、皮疹が遅れると診断の手がかりが減るため、原因不明の腹痛・消化管出血で皮膚の点状出血や紫斑がないかを丁寧に確認する意義があります。
また、重症例ではステロイドや免疫抑制療法が検討される領域に入るため、腹部症状の重症度(繰り返す腹痛、出血、穿孔・梗塞など)を早期に見極めることが、治療のタイミングに直結します。
(関連論文例:免疫複合体の除去を目的とした治療報告)
過敏性血管炎 症状の関節痛と関節炎
皮膚小型血管炎の診療では、関節痛が「皮疹の随伴症状」として見過ごされやすい一方、IgA血管炎の文脈では主要所見として明確に位置づけられています。
IgA血管炎では関節炎は下肢(股・膝・足関節)に多いとされ、痛みの訴えが強い場合は日常動作や歩行に影響し、患者の生活機能を大きく落とします。
症状が中等度以上の場合、非ステロイド抗炎症薬が選択肢として挙げられていますが、腎障害や消化管症状の併存を考えると、同時にリスク評価が必要になります。
関節症状の評価では、腫脹・可動域制限の有無を確認し、炎症性関節炎として成立しているかを分けて記録します。
分類基準の観点でも、急性に発症する関節痛/関節炎は重要項目として扱われており、皮膚所見と組み合わせて診断の確度を上げる設計になっています。
一方で、関節痛があっても皮疹が非典型、あるいは薬剤歴や感染前駆がある場合は、同じ小型血管炎でも別の病型(例:ANCA関連血管炎など)を鑑別に入れる必要があります。jstage.jst+1
過敏性血管炎 症状の腎炎と血尿
医療従事者向けに強調したいのは、「皮膚が主病変に見えても、腎は遅れて来る」パターンがある点です。
IgA血管炎では腎症状が20〜50%でみられ、紫斑や関節症状から少し遅れて(1か月以内)出現することがあるため注意が必要とされています。
腎障害の所見としては、赤血球円柱を伴う顕微鏡的血尿、肉眼的血尿、蛋白尿が挙げられ、ネフローゼ症候群や腎機能低下が起こりうるとされています。
したがって、外来で皮膚症状が落ち着いても、尿検査フォローを「途中でやめない」設計が重要です。
重症の腎炎では、グルココルチコイドを基本に、効果不十分で免疫抑制薬や血漿交換を併用する場合があるとされ、皮膚症状中心の印象から治療強度を過小評価しないことが求められます。
腎障害が疑われる例、あるいは臨床像で診断が難しい例では、皮膚や腎の生検を実施して確定に近づけるという方針が明示されています。
過敏性血管炎 症状の独自視点:名称と分類の落とし穴
「過敏性血管炎」という言葉は現場で便利に使われがちですが、分類学的には注意が必要です。
日本皮膚科学会ガイドラインでは、Chapel Hill分類1994の枠組みの中で「過敏性血管炎」はMPAまたは皮膚白血球破砕性血管炎に分類される病態であり、疾患名としては採用されなかった、という経緯が述べられています。
この背景を踏まえると、「過敏性血管炎=原因がアレルギー性で皮膚限局」と決め打ちするのは危険で、むしろ“LCVという病理パターンから入り、全身性血管炎や二次性(薬剤・感染・基礎疾患)を除外していく”発想が安全です。
もう一つの落とし穴は、IgA血管炎と「皮膚白血球破砕性血管炎(単一臓器血管炎)」の境界です。
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ガイドラインでは、触知可能な紫斑を呈した症例はまず生検でLCVを確認し、その後に全身検索を行い、他の小型血管炎の所見がなければ「皮膚白血球破砕性血管炎」の診断で経過を見る、という臨床プロセスが推奨される流れとして記載されています。
つまり「皮膚限局に見える」こと自体がゴールではなく、時間軸で全身所見が出現する可能性(腎障害の遅発など)を踏まえて、診断を“固定”せずに更新する姿勢が、医療安全上の独自の実務ポイントになります。jstage.jst+1
(権威性のある日本語の参考リンク:IgA血管炎の疾患概念・症状・検査・治療・鑑別がまとまっている)
(権威性のある日本語の参考リンク:皮膚血管炎の分類と「触知可能な紫斑→生検→全身検索」という診療の考え方が詳しい)