重度視力低下と視覚障害とロービジョンケア

重度視力低下と視覚障害

重度視力低下の要点(医療従事者向け)
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まずは緊急性の評価

数分〜数日で悪化する「急激な視力低下」は重篤原因が多く、速やかな眼科受診・検査が重要です。片眼/両眼、視野全体/一部、眼痛・頭痛・充血など随伴症状を短時間で整理します。

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病態は「光の入口」か「神経の通り道」か

角膜〜硝子体などの混濁で網膜に光が届かない場合と、網膜〜視神経〜脳の経路異常のどちらでも視力低下は起こります。訴えだけで層別せず、所見と検査で当たりを付けます。

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制度(障害年金等級)を知って連携する

重度視力低下では診療と同時に、視力・視野の客観データが社会保障に直結します。例:両眼0.03以下、または片眼0.04+他眼手動弁以下など、等級表の基準を把握して記録精度を上げます。


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重度視力低下の原因疾患と急激な視力低下

 

重度視力低下の評価では、まず「時間経過」を病歴の最上流に置きます。急激な視力低下(数分〜数日以内)は、重篤原因が多く、速やかな眼科受診・検査が重要とされています。

急激な視力低下の原因として、日本眼科学会は、角膜の傷や感染、急性緑内障発作、硝子体出血、網膜血管閉塞、網膜剥離、視神経症、脳卒中や一過性脳虚血発作などを挙げています。

この「原因候補の幅」が重要で、眼球前方(角膜など)から、眼底(網膜血管閉塞・網膜剥離)さらに中枢(脳卒中/TIA)まで含むため、救急現場・病棟・外来での初期対応は“眼科だけの問題”として閉じない方が安全です。

臨床的には、問診テンプレを短く固定すると見逃しが減ります。例えば「片眼か両眼か」「痛み・頭痛・悪心はあるか」「視野欠損はあるか(カーテン状、中心が抜ける、ギラギラする等)」「外傷・コンタクト・感染リスク」「既往(糖尿病心房細動片頭痛、免疫抑制)」などです。

身体所見・簡易検査での分岐も有用で、瞳孔不同や対光反射異常、眼圧上昇を示唆する症状、眼底の出血や網膜所見、神経学的異常の有無をセットで確認すると、鑑別の方向性が定まりやすくなります。

意外と盲点になりやすいのは、「視力低下=屈折の問題」と短絡し、度数合わせで様子を見る流れです。急性緑内障発作や網膜血管閉塞、網膜剥離などは時間が予後を左右しやすく、“眼鏡を作り直す前”に除外すべき病態が多い点をチームで共有しておく必要があります。

参考:急激な視力低下の原因疾患の一覧(初期対応で見逃したくない疾患がまとまっている)

日本眼科学会:急に見にくい(急激な視力低下)

重度視力低下と視覚障害の評価(視力・視野)

重度視力低下は、単に視力(小数視力)だけではなく、視野障害やコントラスト感度低下などを伴って日常生活機能を大きく損なうことがあります。

そのため医療従事者としては「本人の困りごと(読み、移動、まぶしさ、段差、対人認知)」を臨床アウトカムとして扱い、視力・視野と結びつけて記録する姿勢が、次の支援(ロービジョンケア)につながります。

制度対応まで含めて考えると、視力測定は矯正視力で評価するという原則が明記されており、記録の質が申請や判定にも影響します。

障害年金の障害等級表では、視覚障害の基準として、例えば1級は「両眼の視力がそれぞれ0.03以下」または「一眼0.04、他眼手動弁以下」などが示されています。

2級も「両眼0.07以下」や「一眼0.08、他眼手動弁以下」などが挙げられ、視力だけでなく視野(ゴールドマン型視野計や自動視野計の基準)も等級判断に用いられます。

医療側での実務的ポイントは、「視力が出ない理由が未確定でも、現時点の機能を客観化して残す」ことです。視力・視野の結果が縦断で残ると、治療反応性(改善/悪化)だけでなく、生活指導や就労配慮の根拠としても使えます。

また、視野障害は本人が自覚しにくいことがあるため、転倒や運転リスク、服薬自己管理、調理の安全性など“生活上の事故予防”の観点で早めに拾い上げると、医療安全にも直結します。

参考:視力・視野の等級基準(記録や診断書作成で参照される条文ベースの根拠)

日本年金機構:障害等級表

重度視力低下とロービジョンケア(支援の入口)

ロービジョンケアは、視覚障害があるため生活に支障を来している人に対する支援の総称で、医療・教育・職業・福祉・心理など複数領域をまたぐ概念です。

WHOの定義では矯正視力0.05以上0.3未満が低視力の一つの目安とされる一方、日本では視力・視野だけでなく、日常生活の不自由さを含む広い意味で「ロービジョン」と総称するとされています。

つまり重度視力低下の患者に対しては、疾患治療(薬・手術)と並行して、生活機能を補う支援を“治療の一部”として設計することが現実的です。

現場で起こりがちな断絶は、「治療が頭打ちになってから初めて支援を考える」ことです。視機能が固定する前でも、読み書き・移動・眩しさ対策・家屋環境調整などは早期に着手でき、患者の自己効力感を保ちやすくなります。

参考)ロービジョンケアとは

特に中途視覚障害では、病状の不確実性や将来不安が強く、支援紹介のタイミングが遅れるほど抑うつや受療中断のリスクが上がりやすい点は、チームで意識しておく価値があります。

医療従事者が押さえるべき実務は、紹介先の選択肢を“固定ルート化”することです。例えば眼科(疾患治療)+視能訓練士(評価・訓練)+地域のロービジョン外来/相談窓口+福祉(手帳、補装具、就労)という流れを院内で見える化すると、担当者が替わっても支援の質が保たれます。

重度視力低下の視覚補助具と環境調整(読み・移動・眩しさ)

ロービジョン領域では、視覚補助具は大きく「光学的補助具」と「非光学的補助具」に分けられると、日本眼科医会の解説で整理されています。

拡大鏡(ルーペ)は読み書きのニーズで頻用されますが、倍率が高いほど視野(見える範囲)が狭くなるというトレードオフがあるため、患者の課題(新聞なのか薬袋なのかスマホなのか)に合わせた選定が必要です。

この“見える範囲が狭くなる問題”は、単に道具の問題ではなく、読みのストラテジー(行を見失わない工夫)や姿勢・照明まで含めて調整することで改善余地が広がります。

環境調整は、重度視力低下の患者にとって即効性が高い介入になり得ます。例として、照明の位置(影を作らない)、高コントラスト化(白地に黒、段差の縁を目立たせる)、反射を減らす配置、ラベルの大型化などは、医療機関側が具体例を提示するだけでも実行率が上がります。

参考)視覚補助具

「眩しさ(羞明)」が強い場合は、遮光の考え方を含めて説明し、外出時の安全(横断歩道、階段、ホーム)と結びつけて指導すると、本人・家族の理解が進みやすくなります。

あまり知られていない臨床のコツとして、“補助具を出しただけで終わらせない”ことが挙げられます。補助具は使い方の学習コストがあり、短時間でも練習・再評価の機会を作ると定着率が上がりやすいので、外来枠や多職種連携の設計で差が出ます。

参考:視覚補助具の具体例(拡大鏡などの使い分け、注意点が整理されている)

公益社団法人 日本眼科医会:視覚補助具

重度視力低下の独自視点:院内の「見えにくさ」安全対策

重度視力低下の患者支援で見落とされがちなのが、医療機関そのものが“見えにくい環境”になっている点です。ロービジョンは生活上の不自由さを含む広い概念であるため、院内導線・表示・書類・服薬説明の設計も支援の一部として捉える発想が有効です。

例えば、受付番号表示のコントラスト、段差の視認性、トイレ誘導のピクト、問診票の文字サイズ、診察室への呼び出し方法(音声+近接声かけ)などは、設備投資が小さくても改善できる領域です。

また、重度視力低下の患者では、検査や治療説明の“情報アクセス”が障壁になります。紙の同意書や説明資料が読めない場合、説明が一方通行になりやすいため、音声読み上げ・拡大表示・要点を箇条書きで口頭確認するなど、説明プロセス自体を標準化すると医療事故予防にもつながります。

制度面でも、視力・視野の客観データが生活や保障に影響するため、検査結果の渡し方(本人が扱える形式、家族共有の方法)を整えることは、治療継続と社会参加を支える土台になります。

最後に、急激な視力低下が疑われる局面では、院内で“迷わせない”導線(誰が眼科に連絡し、どの検査を優先し、どこまで神経学的評価を並走するか)を手順化することが、患者の視機能予後に直結し得ます。

重度視力低下の支援は、診断名を付けることだけでは完結せず、「緊急性の見極め」→「機能評価(視力・視野)」→「ロービジョンケア」→「制度・環境調整」の順で切れ目なく組むと、現場の負担も結果的に減らしやすくなります。jstage.jst+1​


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