腎孟尿管移行部狭窄と水腎症
腎孟尿管移行部狭窄の疾患概念と水腎症
腎孟尿管移行部狭窄は、腎盂と尿管のつなぎ目(腎盂尿管移行部)に狭窄が生じ、狭窄より上流の腎杯・腎盂が拡張して水腎症となる病態です。
重要なのは、腎盂尿管移行部は正常でも「生理的に少し狭い」ため、画像だけで“狭い=病的”と短絡せず、拡張の程度・症状・腎機能の推移で通過障害として意味があるかを判断する点です。
臨床では、無症状で偶然見つかるケースと、疼痛や感染・結石などのイベントで顕在化するケースが混在します。
そのため医療従事者向けには、「水腎症(形態)」「通過障害(動態)」「腎機能(実害)」の3軸で整理すると、説明も方針決定もブレにくくなります。
腎孟尿管移行部狭窄の原因と交差血管
原因は大きく内因性(尿管自体の狭窄・尿管ポリープなど)と外因性(尿管を横切る血管による圧迫=交差血管)に分けて考えると臨床で扱いやすくなります。
年齢層で頻度が異なることも実務上のポイントで、内因性は乳幼児に多く、交差血管など外因性は年長児〜成人に多いと整理されています。
交差血管が疑われるときは、単に「狭窄を切る」だけでなく、血管との位置関係を踏まえた再建(圧迫を避ける位置で吻合する等)まで含めて手術戦略が変わり得ます。
また原因が炎症など多様である点も押さえておくと、鑑別(結石、腫瘍、尿管狭窄など)を並走させる姿勢を保ちやすくなります。
腎孟尿管移行部狭窄の症状と腎機能低下
症状は腰背部痛が典型の一つですが、痛みがなく進行することもあるため、無症状の水腎症でも“放置してよい”とは限りません。
進行すると腎機能低下に至り、最終的に無機能腎となり得る点は、患者説明でも医療連携でも重要なリスク提示になります。
水腎症に尿路感染症や尿路結石が合併しやすく、繰り返す感染・結石がきっかけで腎孟尿管移行部狭窄が診断されることもあります。
小児では腹痛の訴えが難しく、嘔吐が主症状となることがあるため、非特異的症状の背景に尿路の通過障害が隠れていないか注意が必要です。
腎孟尿管移行部狭窄の検査と利尿レノグラム
検査は、超音波で水腎症の程度を把握しつつ、通過障害の有無と腎機能への影響を追加評価する流れが基本になります。
利尿レノグラム(利尿レノグラム/腎シンチグラム)は、左右の腎機能の比率(分腎機能)や尿の流れにくさを評価し、手術が必要かどうか判断するために行う検査として位置づけられています。
形態評価としてはCTやMRIで狭窄部の形態や、圧迫する血管の有無を確認し、必要に応じて逆行性尿路造影で狭窄の位置・長さを把握して術式選択の材料にします。
ここでの実務的なコツは、「拡張している=閉塞」と決め打ちしないことです。水腎症の見た目が強くても、機能低下が乏しく経過観察となる例がある一方、軽度拡張でも症状反復や排泄遅延が強い例があるため、形態と機能を分けて記録・説明します。
腎孟尿管移行部狭窄の治療と腎盂形成術の血流温存(独自視点)
治療の中心は手術療法で、第一選択として腎盂形成術(ロボット支援・腹腔鏡下を含む)が標準術式として扱われています。
腎盂形成術は狭窄部を切除し腎盂と尿管を縫合する手術で、標準術式としてAnderson-Hynes法が広く行われています。
一方で“手術がうまくいくか”を左右しやすい盲点として、吻合部や尿管側の血流があります。血流低下は術後の腎機能悪化や再狭窄の要因になり得るため、ロボット支援下では細い動脈の温存や、必要に応じてICGで血流を確認しながら血流温存を重視する考え方が紹介されています。
また、経尿道的バルーン拡張術は腎盂形成術より再狭窄が多い方法として説明されており、体力面などで腎盂形成術が難しい場合に適応を選ぶ整理が安全です。
原因や検査の全体像(画像・機能・症状)を短時間で院内共有したい想定なら、どの診療科(泌尿器科/小児科/救急)向けの文脈で寄せますか?
(画像検査・腎シンチ・治療方針の概説がまとまっている参考)
筑波大学附属病院の解説(CT、逆行性尿路造影、腎シンチ、腎盂形成術、バルーン拡張など)
(小児〜成人の原因分類、症状、検査、ロボット保険適応などの整理に有用)
兵庫医科大学病院 みんなの医療ガイド(利尿レノグラム、CT/MRI、逆行性尿路造影、治療の適応)