蕁麻疹 症状 原因
蕁麻疹の主な症状と特徴
蕁麻疹の主な症状は、突然現れる赤い膨疹(ぼうしん)と強いかゆみです。これらの症状は以下のような特徴を持ちます:
- 膨疹(ぼうしん)
- 皮膚の一部が突然赤く盛り上がる
- 大きさは1~2mmから手足全体に及ぶものまで様々
- 形状は円形、楕円形、線状、花びら状、地図状など多様
- かゆみ
- 激しいかゆみを伴うことが多い
- 焼けるような痛みや刺されるような痛みを感じることもある
- 一過性
- 個々の膨疹は通常24時間以内に消失
- 跡形も残さず完全に消える
- 再発性
- 場所を変えて繰り返し出現することがある
- 全身性
- 身体のどの部分にも発症する可能性がある
これらの症状は、皮膚の肥満細胞からヒスタミンなどの化学伝達物質が放出されることで引き起こされます。
蕁麻疹の原因と誘発因子
蕁麻疹の原因は多岐にわたり、個人によって異なります。以下に主な原因と誘発因子を示します:
- 食物アレルギー
- 卵、乳製品、魚介類、穀物類、果物類など
- 食品添加物(防腐剤、人工色素など)
- 薬物アレルギー
- 解熱鎮痛剤(アスピリン、ロキソプロフェンなど)
- 抗生物質
- 物理的刺激
- 寒冷刕激(寒冷蕁麻疹)
- 圧迫(遅延性圧蕁麻疹)
- 日光(日光蕁麻疹)
- 振動(振動性蕁麻疹)
- 感染症
- ウイルス感染
- 細菌感染
- ストレス
- 精神的ストレス
- 身体的ストレス
- その他
特に注目すべきは、食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)という特殊なタイプの蕁麻疹です。これは特定の食物摂取後に運動することで発症するアレルギー反応で、10代の若者に多いとされています。
日本アレルギー学会:食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)に関する詳細情報
蕁麻疹の原因を特定することは難しく、70%程度は原因不明(特発性)とされています。しかし、原因を特定できれば、その回避により症状の改善や予防が可能になります。
蕁麻疹の種類と分類
蕁麻疹は、その持続期間や原因によって以下のように分類されます:
- 急性蕁麻疹
- 持続期間:6週間未満
- 特徴:突発的に発症し、短期間で消失
- 慢性蕁麻疹
- 持続期間:6週間以上
- 特徴:症状が長期間持続し、再発を繰り返す
- 特発性蕁麻疹
- 原因:不明
- 特徴:蕁麻疹全体の約70%を占める
- 誘発性蕁麻疹(物理性蕁麻疹)
- 原因:特定の物理的刺激
- 種類:
- 寒冷蕁麻疹:寒冷刺激で誘発
- 日光蕁麻疹:紫外線で誘発
- 温熱蕁麻疹:体温上昇で誘発
- 振動性蕁麻疹:振動で誘発
- 圧迫性蕁麻疹:持続的な圧迫で誘発
- 機械性蕁麻疹:皮膚の擦過で誘発
- コリン性蕁麻疹
- 原因:体温上昇(運動、入浴、精神的緊張など)
- 特徴:1~3mm程度の小さな膨疹が多発
- 接触性蕁麻疹
- 原因:特定の物質との皮膚接触
- 特徴:接触部位に限局して発症
- アレルギー性蕁麻疹
- 原因:特定のアレルゲン(食物、薬物など)
- 特徴:アレルゲン摂取後に全身に発症
これらの分類は互いに排他的ではなく、複数のタイプが重複することもあります。正確な診断と適切な治療のためには、専門医による詳細な問診と検査が重要です。
蕁麻疹の診断方法と検査
蕁麻疹の診断は主に以下の方法で行われます:
- 問診
- 症状の詳細(発症時期、持続時間、再発頻度など)
- 生活習慣や環境の変化
- 食事内容
- 服用中の薬剤
- アレルギー歴
- 家族歴
- 視診
- 皮疹の形状、大きさ、分布
- 皮疹の消退時間
- 皮膚描記法(ダーモグラフィズム)
- 皮膚を鈍的に擦過し、膨疹の出現を確認
- 物理性蕁麻疹の診断に有用
- 血液検査
- 一般血液検査:炎症マーカーの確認
- 特異的IgE抗体検査:アレルゲンの特定
- 自己抗体検査:自己免疫性蕁麻疹の診断
- 皮膚生検
- 慢性蕁麻疹や血管性浮腫の鑑別に使用
- 負荷試験
- 寒冷負荷試験:寒冷蕁麻疹の診断
- 圧迫試験:遅延性圧蕁麻疹の診断
- 運動負荷試験:コリン性蕁麻疹や食物依存性運動誘発アナフィラキシーの診断
- アレルギー検査
- プリックテスト:即時型アレルギーの診断
- パッチテスト:接触性蕁麻疹の診断
これらの検査を組み合わせることで、蕁麻疹の原因や種類を特定し、適切な治療方針を立てることができます。しかし、約70%の症例では明確な原因が特定できないため、症状のコントロールに重点を置いた治療が行われます。
蕁麻疹の最新治療法と薬物療法
蕁麻疹の治療は、症状の緩和と再発防止を目的として行われます。最新のガイドラインに基づいた治療法は以下の通りです:
- 第一選択薬:第二世代抗ヒスタミン薬
- 非鎮静性で副作用が少ない
- 例:ビラスチン、ルパタジン、デスロラタジンなど
- 通常量で効果不十分な場合、4倍量まで増量可能
- 第二選択薬:オマリズマブ(生物学的製剤)
- 抗IgE抗体
- 慢性蕁麻疹に対して高い有効性
- 2週間または4週間ごとの皮下注射
- 第三選択薬:シクロスポリン
- 免疫抑制剤
- 重症例や難治例に使用
- その他の治療薬
- 急性期の対症療法
- 短期的なステロイド全身投与
- アドレナリン(重症アナフィラキシーの場合)
- 局所療法
- 保湿剤
- ステロイド外用薬(重症例や局所症状が強い場合)
- 非薬物療法
- 原因・悪化因子の回避
- ストレス管理
- 生活習慣の改善(十分な睡眠、バランスの取れた食事など)
最新の研究では、慢性蕁麻疹に対する新たな治療薬の開発が進んでいます。例えば、IL-4/IL-13受容体α阻害薬(デュピルマブ)や、BTK阻害薬(フェンブルチニブ)などが臨床試験段階にあり、従来の治療に抵抗性を示す患者さんに新たな選択肢を提供する可能性があります。
PMC: Histamine H2‐receptor antagonists for urticaria (最新の蕁麻疹治療に関する研究レビュー)
治療法の選択は、症状の重症度、持続期間、患者の年齢や併存疾患などを考慮して個別に行われます。また、治療効果の評価には、蕁麻疹活動性スコア(UAS7)などの客観的指標が用いられます。
蕁麻疹の予防と日常生活での注意点
蕁麻疹の完全な予防は難しいですが、以下の対策を講じることで発症リスクを低減し、症状を軽減することができます:
- 原因・誘発因子の特定と回避
- アレルギー検査で特定された食物や薬物を避ける
- 物理的刺激(寒冷、圧迫、摩擦など)を最小限に抑える
- 食生活の改善
- 新鮮な食材を使用し、加工食品を控える
- 食品添加物や保存料の摂取を減らす
- アルコールや香辛料の多い食事を控える
- 衣類の選択
- 通気性の良い素材(綿100%など)を選ぶ