医療情報取得加算 薬局 2025
医療情報取得加算 薬局の点数と算定頻度(2025の前提)
2025年に薬局で運用するうえで最初に押さえるべき前提は、調剤における医療情報取得加算が「患者のマイナ保険証利用の有無にかかわらず1点」に整理され、算定頻度が「12カ月に1回」に変更されている点です。厚生労働省資料でも、令和6年12月以降の見直しとして、調剤時は「12月に1回に限り算定」と示されています(それ以前は6月に1回)ので、レセプト設定や社内ルールの更新が必須です。
また、同じ資料の「医療情報取得加算の見直し」では、区分を細かく分けるよりも、施設基準等を満たしていれば一律に算定する方向が明確に読み取れます。これにより、受付での“保険証種別”だけで点数が決まる時代から、「情報を取得し、活用し、記録に残せるか」という運用品質がより重要になりました。
ここで現場で混乱しやすいのが「点数が小さい=重要度が低い」という誤解です。1点は小さく見えますが、オンライン資格確認・掲示・薬歴の整合性が一連のストーリーになっているため、監査・個別指導で突かれると“加算全体の運用”として説明を求められやすい性質があります。点数の大小ではなく、制度が薬局業務の標準プロセス化(受付→同意→取得→活用→記録)を促している、と捉えるほうが安全です。
なお、薬局側で「12カ月に1回」を守るには、同一患者の算定履歴を見える化する必要があります。レセコン任せで済む場合もありますが、店舗異動やグループ内の別店舗利用があると“二重算定”や“取りこぼし”が発生しがちです。運用ルールとして、患者IDの統合や、服薬情報提供・在宅等の別フロー時にも算定履歴が参照できる導線を作ると事故が減ります。
(参考リンク:制度変更の根拠となる「医療情報取得加算の見直し(令和6年12月~)」の点数・頻度が記載)
https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001277499.pdf
医療情報取得加算 薬局の施設基準とオンライン資格確認の実務
医療情報取得加算を薬局で算定する実務は、「オンライン資格確認を行う体制」さえあれば終わり、ではありません。厚生労働省資料では、医療情報取得加算の施設基準として、(1)電子情報処理組織を使用した診療報酬請求、(2)オンライン資格確認を行う体制、(3)見やすい場所およびウェブサイト等への掲示(オンライン資格確認体制・情報取得活用の方針)が挙げられています。つまり、端末導入と並行して“説明可能な掲示”と“活用の実体”が要件に組み込まれています。
オンライン資格確認の運用面では、次の3つが薬局の成否を分けます。
- 受付導線:患者がマイナ保険証を出すかどうか以前に、顔認証付きカードリーダーへ自然に誘導できるか。
- 同意導線:同意が必要な情報(閲覧可能な情報)を、患者が理解できる言葉で短時間に説明できるか。
- 取得後の活用:取得した薬剤情報・特定健診情報等を、薬学的に意味のある形で服薬指導や疑義照会に反映できるか。
制度上は「取得・活用して診療(調剤)を行うこと」が掲示事項として明記されているので、実態が伴わないと説明が破綻します。特に「同意が得られない」「カードが読めない」などのケースが続くと、現場では“もういいや”となりがちですが、そこで受付が諦めるほど、加算の趣旨(情報活用)が形骸化してしまいます。
意外と見落とされるのが、オンライン資格確認の結果は“保険資格確認”にとどまらず、過誤請求(資格過誤)リスクの低減にもつながる点です。制度資料では主眼は医療DX・情報活用ですが、実務では「返戻・再請求が減る」ことが店舗の工数削減に直結します。点数は1点でも、月間の資格過誤対応にかかる時間が減れば、店舗全体では十分ペイします。
(参考リンク:医療情報取得加算の施設基準(掲示事項含む)がまとまっている)
https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001277499.pdf
医療情報取得加算 薬局の掲示とウェブサイト掲載のチェック項目
薬局で“差し戻し・指摘”が起きやすいのが掲示関連です。厚生労働省資料では、医療情報取得加算の施設基準として、オンライン資格確認体制を有すること、そして「受診歴、薬剤情報、特定健診情報その他必要な診療情報を取得・活用して診療を行うこと」を、見やすい場所およびウェブサイト等に掲示することが明示されています。薬局では「診療」を「調剤・服薬指導」に置き換えて、患者に誤解のない表現に整えることが重要です。
掲示物は“貼ってある”だけでは弱く、次の観点で整備すると実務が安定します。
- 掲示の言葉が具体的:オンライン資格確認を行うこと、取得した情報を調剤に活用することが読み取れる。
- 患者の不安に触れる:個人情報の取り扱い、同意の位置づけ(必要な範囲で活用)を簡潔に示す。
- 院内掲示とWebの整合:薬局内の文言とWeb掲載の文言が食い違わない。
- 更新履歴:制度改定(2024年12月の見直し等)を踏まえて最新版にしている。
特にWeb掲載は、現場では「本部が管理」「外注で更新が遅い」などの事情で放置されがちです。しかし施設基準に“ウェブサイト等”が含まれる以上、監査では“店舗の責任”として見られます。紙掲示は即日差し替え可能でも、Webが古いままだと「患者に対する説明が不十分」と判断されるリスクがあります。
さらに、掲示文言はクレーム抑制にも効きます。「マイナ保険証を使わないと不利なのか」といった誤解は、制度が変遷してきた経緯(以前は区分で点数が違った)から生まれます。現在は調剤の医療情報取得加算は一律1点であることを踏まえ、患者に“利用強制ではない”ことを丁寧に示すと受付が楽になります。
(参考リンク:掲示事項(見やすい場所+ウェブサイト等)が施設基準として示されている)
https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001277499.pdf
医療情報取得加算 薬局での薬剤情報と特定健診情報の活用ポイント
医療情報取得加算の“本丸”は、取得した情報を薬局がどう活用するかです。厚生労働省資料では、取得・活用する情報として「受診歴、薬剤情報、特定健診情報その他必要な診療情報」が示されており、単なる資格確認ではなく、内容を見て調剤に反映することが制度設計の中心にあります。薬局側の強みは、医師の診療情報よりも「服薬全体」を横断的に見やすい点にあるため、オンライン資格確認で得られる情報は“薬学的介入の起点”として活かせます。
活用の具体例を、現場で回せる粒度で整理します。
- 薬剤情報:他院処方・過去の処方歴から、重複投薬・相互作用・同種同効の併用を早期に疑う。
- 受診歴:複数科受診が見えると、処方目的の推定がしやすくなり、服薬指導の質問が具体化する。
- 特定健診情報:腎機能・肝機能・代謝系の所見がある場合、用量・禁忌・生活指導(食事、脱水、アルコール)に踏み込みやすい。
- その他必要情報:アレルギー、既往、検査値の一部が共有される流れの中で、薬歴の精度を上げる。
特定健診情報は“見てもどう使うのか”が曖昧になりがちですが、薬局では例えば腎機能低下が疑われる患者でNSAIDsのOTC相談があった場合、受診勧奨やセルフメディケーションのリスク説明につなげられます。ここが実は「意外な効きどころ」で、処方せん調剤だけでなくOTCや健康相談にも波及します。
薬歴記載は、監査対応という意味でも、患者安全という意味でも重要です。取得した情報をただ眺めるだけではなく、「何を見て」「どう判断し」「何を説明し」「必要なら疑義照会したか」を短く残すと、後から再現できます。医療情報取得加算は1点ですが、この記載整備は結果的に薬剤師の判断の質を底上げし、他の算定や地域連携の説得力にもつながります。
(参考リンク:取得・活用する情報(受診歴、薬剤情報、特定健診情報等)が示されている)
https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/001277499.pdf
医療情報取得加算 薬局の独自視点:2025は「利用率」より「説明設計」で差が出る
検索上位の記事では、医療情報取得加算そのものより、医療DX推進体制整備加算の「マイナ保険証利用率要件」に話題が寄りがちです。しかし薬局の現場で2025年に本当に差がつくのは、利用率の数字そのものより、患者の理解を得るための“説明設計”です。厚生労働省資料では、医療DX推進体制整備加算はマイナ保険証利用率等の実績要件が絡み、さらに利用率の算定方法(レセプト件数ベース/オンライン資格確認件数ベース)や、支払基金からの通知・ポータルでの確認が示されています。ここが複雑なため、現場では「数字を上げなきゃ」に意識が偏りやすいのが実情です。
一方で、医療情報取得加算の運用は、“患者が同意しない/カードが不安/暗証番号が分からない”といった日常の摩擦で止まります。つまり、制度の成否は「受付での30秒の説明」に依存します。説明設計のポイントは、次のように“患者の損得”ではなく“安全と手間削減”で語ることです。
- 安全:過去のお薬や健診の情報があると、重複や飲み合わせの確認がしやすい。
- 手間:保険証の確認がスムーズで、資格過誤が起きにくい。
- 選択:同意は任意で、必要な範囲で使う。
この説明の型ができると、マイナ保険証利用率(医療DX推進体制整備加算側)にも副次的にプラスに働きます。つまり、医療情報取得加算の実務を磨くことが、医療DX推進体制整備加算の実績要件達成にも“間接的に効く”のが、2025の現場的なうまみです。
さらに、あまり知られていない論点として、国の資料には新生児(1歳未満)への顔写真なしマイナンバーカードの交付や、オンライン資格確認の暗証番号入力が必要といった運用上の注意が示されています。小児対応が多い門前や、家族来局が多い薬局では、こうした例外運用を知らないと受付が詰まり、結果的に“やっぱり使いにくい”という体験を患者に与えてしまいます。制度の説明設計には、こうした例外ケースの対応も組み込むべきです。
(参考リンク:医療DX推進体制整備加算の利用率要件・確認方法、さらに新生児のマイナンバーカード運用など「現場で詰まる点」がまとまっている)