胃鉗子と手術と洗浄と滅菌と特徴

胃鉗子と手術

胃鉗子:使いどころと管理の要点
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目的(胃内容物流出防止)

現在の胃手術では自動縫合器が一般的でも、開腹手術では胃内容物の流出防止などで胃鉗子が重要になる。

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特徴(隙間・溝・サイズ)

把持部の「約10mmの隙間」や縦溝は、胃壁を愛護的に把持するための設計。サイズも24–35cm帯が多い。

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洗浄・滅菌と点検

鋼製小物として基本は高圧蒸気滅菌。ネジの緩みや先端形状の歪みなど、使用前後の点検が事故予防に直結する。

胃鉗子の特徴とサイズと形状

 

胃鉗子は、その名の通り「胃を把持するための鉗子」で、他の鉗子より大きく、把持部の構造に明確な意図があります。代表的な設計として、把持部に約10mm程度の隙間をつくり、先端が“当たりすぎない”ようにして胃壁に過度な圧をかけない工夫が紹介されています。

さらに把持部内側の縦方向の溝により、組織を確実に把持しながらも低侵襲(愛護的)に扱う狙いがあります。

サイズの理解は器械出しで意外と効きます。一般的な全長として24~25cmの小さめ、28~35cmの大きめが多いとされますが、型式差が大きく「見た目の印象だけ」で大小判定しにくい点がポイントです。術式や術者の好みで“同じ胃鉗子”でも選択が揺れやすいので、施設のセット構成(どの型式が標準か)を棚卸ししておくと迷いが減ります。

・現場で混同しやすいポイント

  • 腸鉗子に似た形状の型式がある(ドヤン型など)ため、サイズ差で見分ける意識が必要。
  • 把持部の隙間は「不良」ではなく「仕様」だが、歪みで隙間が狂うと“仕様通りに優しく持てない”。
  • 大きくて重いが、把持部はしなやかで繊細というギャップが落下・圧迫事故を招きやすい。

胃鉗子の使い方と手術と胃内容物

胃鉗子は、従来は胃切除術の切除時・吻合時に胃体部を低侵襲に把持する目的でよく使われてきた器械です。現在は自動縫合器が一般的になったため、胃鉗子の主目的は「胃内容物の流出防止」と説明されています。切除後再建の局面で胃体部を把持し、胃・空腸吻合や胃・胃吻合へ進み、吻合が成立した段階で胃鉗子を外す、という流れが典型例として挙げられます。

器械出し視点では「どの瞬間に出るか」を理解しておくと強いです。胃鉗子は手術の山場で登場し、術者が“確実に閉じた感触”を欲しがることが多いため、手渡しの安定性が重要になります。先端を上に向け、親指・示指・中指の3指で持って術者の手のひらにしっかり当てる、といった具体的な手渡しのコツも紹介されています。

✅「開腹手術の知識を落とさない」ことも実務的には大切です。予定手術は内視鏡・腹腔鏡が増えても、緊急時は開腹が基本になりやすく、夜間など限られたスタッフで普段見ない器械が出る場面があるため、日頃から開腹術式と器械を押さえるべき、という指摘があります。

胃鉗子の洗浄と滅菌と高圧蒸気滅菌

胃鉗子は鋼製小物として、基本的な洗浄・滅菌の考え方は他の鉗子と共通ですが、形状由来の“事故りどころ”があります。洗浄用ケース(カゴ)に並べる際、先端の溝が引っかからない位置に置き、器械同士が重ならないよう余裕を持たせる必要があるとされています。把持部は横方向の力に弱く、余分な圧で歪みが出るため、詰め込みは禁物です。

滅菌方法は、他の鉗子類と同様に高圧蒸気滅菌が最も有効的と説明されています。ここで重要なのは、「滅菌手段」だけでなく「滅菌に耐えうる状態に整える前処理」です。血液・蛋白汚れを残したまま工程に入ると、関節部や溝の微小領域に残渣が残りやすく、結果として機能不良(開閉不良、ラチェットのかかり不良)につながります。

参考:鋼製小物全般の「洗浄前の一次消毒は行わない」「酸・アルカリ・塩素系の強い洗浄剤を避ける」等の注意がまとまっている(洗浄・滅菌の共通原則の確認に有用)

PMDA:鉗子(洗浄・滅菌・保管の注意事項)

胃鉗子の点検とネジとラチェット

胃鉗子は「禁忌は特にない」とされる一方、用途外使用(胃以外のもっと固い組織を把持するなど)は破損リスクがあるため避けるべきとされています。つまり、現場の安全は“禁忌の有無”よりも「点検と適正使用」で守る器械です。使用前点検として、把持部を閉じたときの隙間がきちんと保たれているか、ラチェットの締め具合で隙間幅が変化するか、スムーズに開閉できるか、欠け・破損がないかを確認する、という具体策が提示されています。

胃鉗子はネジ構造が表に出ているタイプがあり、使用後にネジが取れていないか・緩みがないかの確認が重要とされています。術野から戻ってきた時点でネジ脱落が疑われれば、術野確認が必要になるため、回収直後のチェックが“患者安全”に直結します。

また、胃鉗子は全長が長く重さもあるため、手渡し時に術者の顔や肩へ接触しないよう注意し、落下させない保持が求められます。

・点検のチェックリスト(器械出し/中材で共通化すると強い)

  • 先端の「仕様の隙間」が左右で不自然に偏っていない。
  • ラチェットが段階的に作動し、途中で“空振り”しない。
  • 関節部(ネジ部)が緩んでいない/脱落兆候(ガタつき)がない。
  • 把持部の溝に欠け・曲がりがない(洗浄カゴ内の圧迫で起きやすい)。

胃鉗子の独自視点と予備と単品

検索上位の解説では「器械そのものの説明」に寄りがちですが、現場で地味に効くのは“予備動線”です。胃鉗子は胃の開腹手術以外では使わないことが多く、手術室内に予備が無い可能性があるため、単品滅菌としてどこに置かれているか事前に確認すると良い、という実務的アドバイスがあります。つまり、器械の知識だけでは不十分で、供給配置まで含めて「胃鉗子を運用」することが安全と時短に直結します。

特に夜間・緊急では、セット外追加が発生しても“探す時間がない”ことが現実です。術式が予定変更(開腹移行など)したとき、胃鉗子がすぐ出せるかはチームの成熟度が出ます。日中の落ち着いたタイミングで、①胃鉗子の型式の種類(ドヤン型、塩田氏型、三宅氏型など施設採用)②単品の保管場所③セットへの戻し忘れ防止(カウントと棚卸し)を短時間で確認できる手順を作ると、ミスの芽が減ります。

参考:胃鉗子の形状・用途・点検・洗浄の要点(把持部の隙間、胃内容物流出防止、ネジ確認、洗浄カゴの注意など)がまとまっている

看護roo!:胃鉗子(特徴・使い方・洗浄の注意)

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