膝関節内側の痛み原因と症状について

膝関節内側の痛み原因と症状

膝関節内側痛の主な原因
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変形性膝関節症

軟骨摩耗による炎症と痛み

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鵞足炎

滑液包の炎症による内側痛

半月板損傷

軟骨クッション機能の障害

膝関節内側の変形性膝関節症の症状特徴

変形性膝関節症は膝関節内側の痛みの最も一般的な原因とされ、軟骨の摩耗により大腿骨と脛骨が直接接触することで炎症と痛みが生じます 。特に日本人に多いO脚体型では、膝関節の内側に荷重が集中しやすく、内側軟骨の磨耗が進行しやすい傾向があります 。初期症状として起床時や歩き始めの内側痛が特徴的で、進行すると階段昇降時や長時間の立位でも痛みが増強します 。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11680467/

変形性膝関節症による内側痛は、関節軟骨の変性に伴う炎症性サイトカインの放出が関与しており、特に荷重時の疼痛が顕著です 。疼痛の性質は鈍痛から鋭い痛みまで多様で、患者の約45歳以上で活動時に膝関節痛がある場合、変形性膝関節症の可能性が高いとされています 。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9105801/

診断には単純X線撮影による関節裂隙狭小化の確認が基本となり、進行例では骨棘形成や軟骨下骨硬化像が観察されます。早期診断には MRI検査が有用で、軟骨変性の程度や半月板損傷の合併も評価できます 。

参考)鵞足炎(がそくえん)

膝関節内側鵞足炎の病態と診断

鵞足炎は膝関節内側下方の鵞足部位における滑液包の炎症で、縫工筋、半腱様筋、薄筋の腱が脛骨に付着する部位での炎症が特徴です 。オーバーユース症候群の一つとして分類され、ランニングやサッカーなどの膝屈曲動作を繰り返すスポーツで発症しやすいとされています 。

参考)ひざの内側が痛いのはなぜ?原因となる病気や対処方法

鵞足炎の症状は膝関節屈伸時の内側痛、鵞足部の圧痛、腫脹、熱感が主体で、階段昇降時や運動時に痛みが増強します 。重症化すると安静時痛も出現し、膝関節可動域制限を来すことがあります。診断には鵞足部の限局性圧痛と運動時痛の確認が重要で、超音波検査やMRI検査により滑液包の肥厚や炎症所見を確認できます 。

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治療は安静、冷却療法、非ステロイド性抗炎症薬の投与が基本で、効果不十分な場合はエコーガイド下ステロイド注射が考慮されます 。運動療法としてハムストリングスや内転筋のストレッチが有効とされ、再発予防には下肢アライメント矯正が重要です 。

参考)膝半月板損傷

膝関節内側半月板損傷の機能解剖

内側半月板は膝関節の荷重分散とクッション機能を担う重要な構造物で、その損傷は膝関節内側痛の重要な原因となります 。内側半月板は関節包との付着が強固で、外側半月板と比較して可動性が低いため外傷性損傷を受けやすい特徴があります 。

参考)膝の痛みの場所でわかる!原因と対処法│ひざ関節症クリニック

内側半月板損傷では荷重時の内側痛、膝関節屈曲時のクリック音、膝崩れ感が特徴的症状として現れます 。マックマレーテストや圧縮回旋テスト(アプライテスト)が陽性となり、MRI検査では半月板内の信号変化や断裂線が確認されます 。

参考)膝痛改善記録:半月板損傷と鵞足炎の治療プロセス

変性断裂では保存治療として安静、理学療法ヒアルロン酸注射が選択され、外傷性断裂で機械的症状が持続する場合は関節鏡下手術が検討されます 。治療選択には患者年齢、活動レベル、断裂形態などの総合的評価が重要とされています。

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膝関節内側痛の鑑別診断と病態生理

膝関節内側痛の鑑別診断では、内側側副靭帯損傷、タナ障害、離断性骨軟骨炎、大腿骨内側顆骨壊死なども考慮する必要があります 。これらの疾患は症状の類似点が多く、詳細な病歴聴取と身体所見、画像診断による総合的評価が不可欠です 。

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内側側副靭帯損傷では外反ストレステストが陽性となり、急性期には靭帯付着部の圧痛と腫脹が認められます。タナ障害は膝蓋骨内側の滑膜ひだの炎症で、膝関節屈曲時のひっかかり感と内側痛が特徴的です 。
病態生理学的には、膝関節内側痛は侵害受容性疼痛が主体ですが、慢性例では中枢性感作や神経障害性疼痛の要素も関与することが報告されています 。疼痛の慢性化には炎症性メディエーターや神経栄養因子の関与が示唆され、包括的疼痛評価の重要性が指摘されています 。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9808033/

膝関節内側痛の神経支配と感作メカニズム

膝関節内側の疼痛伝達には大腿神経、脛骨神経、閉鎖神経の分枝が関与し、特に内側膝蓋下枝による支配が重要とされています 。近年の研究では、軟骨下骨内への侵害受容器の新生が変形性膝関節症における疼痛発生に重要な役割を果たすことが明らかになっています 。
慢性膝関節痛では中枢性感作による痛覚過敏が生じ、通常では痛みを感じない軽微な刺激でも強い痛みを感じる状態となります 。この現象は脊髄後角における興奮性神経伝達の増強と抑制性神経伝達の減弱によるもので、疼痛の治療抵抗性に関与します。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3381480/

神経障害性疼痛の要素を有する膝関節痛では、従来の消炎鎮痛薬に加えてガバペンチノイドや三環系抗うつ薬の併用が有効とされています 。疼痛評価にはPainDETECTクエスチョネアなどの神経障害性疼痛評価ツールが有用で、個別化医療の観点から重要な診断ツールとなっています 。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11758734/