肥厚性胃炎 原因とピロリ菌と診断

肥厚性胃炎 原因

肥厚性胃炎 原因:臨床で外さない全体像
🔎

まず「巨大皺襞」を見たら鑑別へ

肥厚性胃炎は所見名として使われやすく、メネトリエ病や悪性疾患など別疾患の“入口”になり得るため、鑑別の設計が最重要です。

🧫

原因は「ピロリ菌・ウイルス」も念頭

成人ではピロリ菌、小児ではサイトメガロウイルスが関与しうるという報告があり、背景因子の拾い上げが診療の質を左右します。

🧪

低アルブミン血症=蛋白漏出性を疑う

巨大皺襞+低タンパク血症は蛋白漏出性胃腸症の文脈で捉えると、必要検査(便検査やシンチ等)と治療選択が整理しやすくなります。

肥厚性胃炎 原因:ピロリ菌と慢性胃炎

 

肥厚性胃炎という言葉は、内視鏡で「胃粘膜が厚い」「皺襞が太い」などの所見から使われることが多く、原因検索ではまず“背景に慢性炎症があるか”を確認します。H. pylori(ピロリ菌)は胃粘膜に感染して胃炎(H. pylori感染胃炎)を起こし、慢性的な炎症を持続させ得ることがガイドラインでも明記されています。

臨床では、肥厚性変化が「前庭部優位の炎症」「体部の皺襞肥厚」など、どの領域に強いかで次の思考が変わります。ピロリ菌感染は萎縮性変化が注目されがちですが、活動性炎症が強い時期・部位では粘膜浮腫やひだの腫大として見えることがあり、所見名としての“肥厚”に結びつくことがあります。

また、ピロリ菌関連疾患は胃潰瘍十二指腸潰瘍胃MALTリンパ腫胃過形成性ポリープなど幅が広く、単に「肥厚=胃炎」と決め打ちすると見落としが起こります。ピロリ菌の検査・除菌の適応や、除菌がもたらす炎症改善の考え方は日本ヘリコバクター学会ガイドラインで整理されています。

肥厚性胃炎 原因:メネトリエ病と巨大皺襞

肥厚性胃炎の中でも、巨大皺襞を主体とする病態としてメネトリエ病(巨大皺壁性胃炎)が重要です。メネトリエ病は胃粘膜が異常に厚くなり、粘膜からタンパクが漏出して低タンパク血症や蛋白漏出性胃腸症を来しうると解説されています。

原因は明確ではないものの、成人発症例ではピロリ菌感染、小児発症例ではサイトメガロウイルス感染が関与する可能性が指摘され、原因検索では感染の評価が“実務的に外せない項目”になります。

症状が典型的でない点も落とし穴です。上腹部痛・下痢・食欲不振など一般的な消化器症状だけで進行することもあれば、健診などで偶然に巨大皺襞が見つかることもあるとされ、無症状例でも血液データ(Albなど)を一緒に見ないと診断が遅れます。

肥厚性胃炎 原因:低タンパク血症と蛋白漏出性胃腸症

巨大皺襞+低アルブミン血症(または浮腫)というセットは、原因を“胃粘膜肥厚そのもの”ではなく「蛋白漏出」という機序で捉えると整理が進みます。メネトリエ病では進行に伴い胃粘膜から血液中タンパクが漏れやすくなり、体重減少、むくみ、腹水、うっ血性心不全などを来すことがあるとされています。

検査としては、血清総タンパク・アルブミン評価に加え、便検査を組み合わせたα1-アンチトリプシンクリアランス試験、蛋白漏出シンチ検査といった“蛋白漏出の裏取り”が挙げられています。

ここでの実務上のポイントは、「栄養不良・腎症・肝硬変」などの一般的な低アルブミン原因と並行して、消化管喪失(protein-losing gastroenteropathy)も同時に走らせることです。巨大皺襞があるのにAlbを見ていない、あるいはAlbが低いのに便・シンチに進まない、という断絶が起きやすいので、所見→機序→検査の順にチームで共有すると診療が安定します。

肥厚性胃炎 原因:内視鏡と鑑別(胃がん・悪性リンパ腫)

肥厚性胃炎は「所見」なので、最終診断では必ず鑑別が必要です。メネトリエ病の解説でも、内視鏡検査は胃粘膜ひだの肥厚を確認するだけでなく、類似所見を呈する一部の胃がんや悪性リンパ腫などとの鑑別に有用とされています。

実際、巨大皺襞を示す疾患には肥厚性胃炎のほか悪性リンパ腫やスキルスなどがある、という臨床報告もあり、形だけで「胃炎っぽい」で終えるのは危険です。

現場で差がつくのは“生検の設計”です。ひだ頂部だけでなく、谷部・周辺粘膜、必要に応じて深部の評価を意識し、画像検査(CT等)も含めて「局所所見」から「病態・進展度」へ視点を上げます。メネトリエ病では画像検査が悪性腫瘍との鑑別にも使われる、と整理されています。

肥厚性胃炎 原因:独自視点としての「除菌後フォロー」

検索上位の一般向け記事では「原因=ピロリ菌」「治療=除菌」で終わりがちですが、医療従事者向けには“除菌後の経過観察設計”まで含めて原因論を閉じると実務に直結します。H. pylori除菌は、胃炎の改善や胃癌一次予防効果が期待されることから、感染胃炎に対して強く推奨されるとガイドラインに記載されています。

一方で、ガイドラインは除菌の利益だけでなく、除菌後も一定のリスクが残り得る文脈(例:内視鏡フォローの重要性)を繰り返し扱っています。特に早期胃癌内視鏡治療後では、除菌しても胃癌発生を完全にゼロにできず、定期的なスクリーニングが重要だと説明されています。

肥厚性胃炎という“見た目の変化”が入口だった症例ほど、原因(感染)を処理した後に「粘膜はどう変化するのか」「ひだの肥厚は引くのか」「Albや症状は追えているか」を追跡し、鑑別疾患の可能性を時間軸で再評価する姿勢が有用です。メネトリエ病でも確立した治療法はなく、除菌や酸分泌抑制、食事療法、場合により手術が必要とされるため、“経過で診断が固まる”症例が一定数出ます。

原因と治療の基本(ピロリ菌・慢性炎症・巨大皺襞)を押さえた上で、低アルブミン血症があれば蛋白漏出性を疑い、悪性疾患を必ず鑑別し、最後に除菌後フォローまで設計する――この流れをテンプレ化すると、肥厚性胃炎の「原因検索」がブレにくくなります。

参考)メネトリエ病(巨大肥厚性胃炎)

ピロリ菌の診断・治療を標準化する根拠(日本ヘリコバクター学会ガイドライン)。

https://www.jshr.jp/medical/journal/file/guideline2016.pdf

メネトリエ病(巨大皺壁性胃炎)の概要、原因、検査(α1-アンチトリプシン、蛋白漏出シンチ)と治療の要点。

メネトリエ病について

胃潰瘍の説明に適した模型,萎縮性胃炎や出血性胃潰瘍などを再現しています,胃潰瘍モデル – 3B Scientific