へバーデン結節とは何か症状と原因、治療法

へバーデン結節とは

へバーデン結節の基本情報
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定義と特徴

指の第一関節(DIP関節)に起こる変形性関節症で、痛みや腫れ、変形を伴う病気

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好発年齢と性別

40代以降の女性に多く発症し、女性ホルモンの減少が関係している

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発症部位

主に人差し指から小指の第一関節に発症し、複数の指に同時に起こることも多い


へバーデン結節は、指の第一関節(DIP関節)に発生する変形性関節症の一種で、関節の軟骨がすり減ることで痛みや腫れ、変形が起こる病気です。第一関節に発生する変形、突出、疼痛が特徴で、レントゲン写真で関節のすき間が狭くなったり、関節が壊れたり、骨のトゲ(骨棘)が認められることで診断されます。

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この病気は40代以降の女性に多く発症しており、手を良く使う人は発症しやすい傾向があります。遺伝性については不明ですが、血縁者にへバーデン結節にかかった方がいる場合は、体質が似ていることを考慮し、指先に負担をかけないよう過ごすことが推奨されています。

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病名はイギリスの医師ウィリアム・ヘバーデンにちなんで名付けられたもので、指の変形性関節症として古くから知られています。同様の症状が第二関節(PIP関節)に生じる場合は、ブシャール結節と呼ばれ、区別されます。

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へバーデン結節の症状と初期サイン

へバーデン結節の初期症状として、第一関節の痛み、腫れ、皮膚の赤み、熱感、起床時の手指の違和感やこわばりなどが挙げられます。初期には柔らかく熱感や赤みを伴うことがあり、炎症による痛みを感じることもあります。

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症状が進行すると、痛みが強くなり指を曲げる動きも制限され、ものをつかみにくくなります。症状が出ては治まるという波が繰り返され、放置しておくと、10年ほどの期間をかけて関節や骨の変形に至ります。最終的には側方変異(横に広がる)や、屈曲した状態で関節が固まってしまうこともあります。

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  • 第一関節の痛み、腫れ、熱感
  • 起床時の手指の違和感やこわばり
  • 指を曲げる動作の制限
  • 関節の変形(側方への広がりや屈曲変形)
  • 粘液嚢腫(ミューカスシスト)の形成
  • 爪の変形や凸凹

稀に、第一関節の近くに水ぶくれのような透き通ったでっぱりができることがあり、これはミューカスシスト(粘液嚢腫)と呼ばれます。これは第一関節の変形に伴い、関節液が外に膨らんできているものです。また、爪の根本部分が第一関節の近傍に位置しているため、影響を受けて爪が変形し凸凹になることがあります。

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へバーデン結節の原因とリスク因子

へバーデン結節の原因は長い間不明とされてきましたが、近年の研究により、女性ホルモンエストロゲン)の減少が重要な要因であることが明らかになってきました。エストロゲンには腱や滑膜(関節を包む膜)の腫れを取る抗浮腫作用があり、このホルモンが減少すると滑膜炎が起こりやすくなります。

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エストロゲンは滑液(関節の潤滑液)の分泌をサポートし、軟骨や骨を保護する働きも担っていますが、その減少により関節構造が弱くなり、変形が進む原因となります。40代以降の女性に多く発症するのは、更年期にエストロゲンが急激に減少することが関係していると考えられています。

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加齢や使いすぎも原因として考えられており、変形性関節症という病気の一種であることから、これらの要因も発症に関わっています。指に負担がかかる作業には、掃除や洗濯、庭の手入れなどの指を使う家事全般、重い物を持つ行為、指に負担のかかるスポーツ、パソコン仕事や楽器の演奏などの長時間にわたる指の細かな動きなどが挙げられます。

参考)へバーデン結節

リスク因子 詳細
エストロゲンの減少 閉経後の女性ホルモン減少により滑膜の炎症抑制機能が低下
年齢(40代以降) 加齢による関節の摩耗が進行
手指の酷使 職業や趣味で指を頻繁に使用する習慣
遺伝的要因 血縁者に発症者がいる場合、体質が似ている可能性

へバーデン結節の診断方法と検査

へバーデン結節の診断は、問診、視診、触診に加えて、レントゲン検査を中心に行われます。第一関節の腫れや熱感、変形、動きの悪さ、痛みの有無を医師が確認します。​
レントゲン検査では、骨と関節の状態を確認し、軟骨のすり減り状況を確認できる正面図と、骨の一部がとげ状になった骨棘の有無が確認できる側面図を撮影します。レントゲン写真で関節の隙間が狭くなったり、関節が壊れたり、骨棘が突出するなどの所見があれば、へバーデン結節と診断されます。​
関節リウマチが疑われる場合には血液検査を行い、鑑別診断を行います。関節リウマチの症状として、両側性におこる関節痛や腫れ、炎症による体のだるさなどが挙げられますが、手指の場合の発症部位は手関節(手首)、指ではPIP関節(指先から2番目の関節)、MP関節(指先から3番目)が多く、DIP関節に起こることはほとんどありません。​

  • 視診・触診:第一関節の腫れ、熱感、変形、可動域の確認
  • レントゲン検査:関節の隙間、骨棘、関節の破壊状況の評価
  • 血液検査:関節リウマチとの鑑別のため
  • 骨密度検査:骨粗鬆症との関連を評価

発症によって骨が溶けてゆく関節リウマチに対して、へバーデン結節では、骨が負担などにより増殖している(骨棘など)像が診られるため、レントゲン検査でも区別することができます。​

へバーデン結節の治療法と保存療法

へバーデン結節の治療は、保存療法、薬物療法、手術療法といった3種類の方法から検討することになります。個人差があるものの、数か月〜数年のうちに痛みが落ち着くことが多いので、保存療法が中心となります。

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保存療法には、テーピング、サポーター、アイシング、外固定(金属のリング等)で関節を固定(安定)する方法があります。痛みがあるときには、関節が必要以上に動かないようテーピングで固定します。進行予防として、炎症を早期に沈静化させることも重要です。​
薬物療法としては、痛みや腫れが強い場合に、少量のステロイド薬を第一関節内に注射する方法が有効です。更年期障害などのホルモンバランス変化に対するサプリメントや、体調や循環改善目的の漢方なども一緒に検討されることがあります。

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これらの保存的療法で痛みが改善しない場合や、変形がひどくなり日常生活に支障をきたす場合には手術を考慮します。手術法としては、でっぱってしまった骨(結節部、骨棘)や、水ぶくれ(嚢胞)を切除する関節形成術や、スクリューネジを挿入して、第一関節の前後の骨を固定する関節固定術が一般的に行われています。固定した関節は曲げられなくなるため、動作が若干制限されますが痛みはなくなります。​

治療法 内容 適用
保存療法 テーピング、サポーター、アイシング、外固定 軽度〜中等度の症状
薬物療法 関節内ステロイド注射、サプリメント、漢方 痛みや腫れが強い場合
手術療法 関節形成術、関節固定術 保存療法で改善せず日常生活に支障がある場合

へバーデン結節の予防と日常生活での対策

へバーデン結節を予防するには、指に負担をかけ過ぎないことが最も重要です。1時間につき10分は休憩を入れるなど、指への負担を減らす工夫をすることが推奨されます。指に負担がかかる作業を積み重ねると、軟骨がすり減ってへバーデン結節を発症するリスクが高まります。​
関節を適度に動かし、柔軟性を保つことで予防する効果が期待できます。定期的な手指の運動は、関節の動く範囲(可動域)を維持し、周囲の筋力を強化することで症状改善に役立ちます。例えば、指をゆっくり曲げ伸ばしする可動域訓練(グーパー運動など)や、柔らかいボールを握る握力トレーニングによって、指の柔軟性と握力を向上させることができます。

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痛みがある場合は冷やすと症状がやわらぎます。どうしても指を使う必要がある場合は、テーピングをして固定するのがおすすめです。強くマッサージをすることは避けるべきで、偏った食生活も改善することが大切です。​

  • 指に過度な負担をかけない(1時間につき10分休憩)
  • 痛みや腫れが現れたら早期受診する
  • 強いマッサージを避ける
  • 関節可動域訓練(グーパー運動)を継続する
  • 柔らかいボールを使った握力トレーニング
  • 温熱療法(温湿布・温浴・パラフィン浴)
  • バランスの取れた食生活

温める療法も古くから関節痛の緩和に用いられており、へバーデン結節にも有効です。温湿布、温浴、パラフィン浴、超音波治療などの温熱療法は、血行を促進し、こわばりを和らげる効果があります。

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指の第一関節に痛みがあるときは手指をできるだけ使わないようにし、安静に保つことが重要です。血縁者にへバーデン結節にかかった方がいる場合は、体質が似ていることを鑑み、より一層指先に負担をかけないよう過ごすことが推奨されます。​