月経不順の症状と原因、診断

月経不順の症状

月経不順の主な症状
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周期の異常

月経周期が24日以内の頻発月経、または39日以上の希発月経が見られます

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出血量の変化

経血量が増加する過多月経や、逆に極端に少ない過少月経が起こります

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期間の異常

出血期間が8日以上続く過長月経、または3日以内に終わる過少月経が認められます

月経不順の頻発月経における症状

頻発月経は月経周期が24日以内と通常より短く、月に2回から3回も月経が来る状態を指します。月経による出血は頻繁にあるものの、実は排卵が起こっていないための無排卵性出血であることが少なくありません。19日以内の頻発月経の60%が無排卵であるといわれており、この無排卵状態が長期化すると将来的な骨粗鬆症や子宮体がんの発症リスクを高める可能性があります。

参考)生理不順とは│金沢区の婦人科(金沢さくら医院)


排卵から次の月経までの黄体期が短い場合、あるいは排卵までの期間である卵胞期が短い場合に頻発月経が起こります。黄体期が短い場合は婦人科疾患│ユイ・レディースクリニック横浜│女医

月経不順の希発月経における症状

希発月経は月経周期が39日以上、3ヶ月未満の状態を指し、無排卵や卵胞期の延長によって起きるとされています。51日以上の希発月経の30%が無排卵であると報告されており、妊娠していないのに3ヶ月以上月経が来ない場合は「続発性無月経」と診断されます。

参考)https://medicalnote.jp/diseases/%E6%9C%88%E7%B5%8C%E4%B8%8D%E9%A0%86


急激な体重の増減や精神的ストレスが主な原因となることが多いですが、多嚢胞性卵巣症候群や甲状腺機能障害といった病気が潜んでいる可能性もあります。3ヶ月以上生理が来ていない場合は、できるだけ早く婦人科を受診することが推奨されます。ただし、初潮から2~3年以内であれば生理的な範囲内として様子を見ても問題ない場合もあります。

参考)月経不順・月経困難症|目黒本町ウィメンズクリニック|産婦人科

月経不順の過多月経と過長月経の症状

過多月経は経血量が多く、レバー状の血の塊が混じる状態で、月経痛が酷いなどの症状も見られます。過長月経は月経期間が8日以上続く状態を指し、ホルモンバランスの乱れや子宮の病気が原因と考えられます。​
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜増殖症、子宮がんなどの疾患が原因になっていることもあるため、婦人科疾患の可能性を念頭に置いた診察が必要です。女性ホルモンの分泌に関係する器官である視床下部、脳下垂体、卵巣などに何らかのトラブルがあって無排卵周期になっていたり、黄体ホルモンの分泌が不十分なために黄体機能不全になっている可能性もあります。​
出血量が多い場合は貧血を引き起こすこともあり、頻繁な不正出血によって患者のQOLが著しく低下することがあります。月経不順と健康への影響に関する研究では、月経不順が代謝症候群、冠動脈疾患、2型糖尿病、関節リウマチなどの様々な疾患と関連していることが示されています。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC10733621/

月経不順におけるホルモンバランスの乱れと症状

月経不順の症状として、月経周期の異常だけでなく、排卵周期の乱れや排卵が止まっている場合があります。排卵障害がある場合は、排卵してはじめて十分量分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)が不足するため、骨形成、皮膚の代謝や記憶力などに衰えをみせることがあります。

参考)月経異常・排卵障害


ホルモンバランスの乱れによって、骨の量が減少したり、子宮体がんになる確率が高くなることがあります。長期にわたって卵巣機能の低下が続くと、不妊の原因となることもあります。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の場合は、無月経や月経不順のほか、男性ホルモンの影響で体毛が濃い、にきびができやすい、太りやすく痩せにくいといった症状が現れます。​
プロラクチン値が異常に高い状態である高プロラクチン血症では、妊娠していなくても月経が止まり、少量の母乳が分泌される場合があります。また、月経不順に伴って下腹部痛、腰痛、頭痛、吐き気、嘔吐、のぼせ、しびれ、めまい、便秘、下痢、食欲不振、精神的不安定、イライラするといった月経困難症の症状が見られることもあります。

参考)月経困難症・月経不順・月経前症候群(PMS)

月経不順の無排卵周期症における独自の症状パターン

無排卵周期症は月経様の出血はあるものの、排卵を伴っていない病態を指します。思春期や更年期女性では生理的な無排卵が多く見られますが、20代から30代の性成熟期の女性では『無排卵周期症』と診断されたら?


排卵がないためにプロゲステロンが十分に分泌されず、厚くなった子宮内膜がはがれ落ちることによって出血する「破綻出血」が起こります。無排卵月経は自覚症状がないことが多く、クリニックで検査することで判明するケースがほとんどです。慢性化するとプロゲステロンの不足により骨形成や皮膚代謝、記憶力の衰退にもつながるため、早期治療が求められます。

参考)無排卵月経の翌月は妊娠しやすい?無排卵月経の原因と治療法を解…


入学や就職に伴う環境の大きな変化、ストレスなどが原因となって毎年4月に無排卵周期症で受診される女性が増加する傾向があります。長期に渡る無排卵周期症は将来の骨粗鬆症や子宮体がんの発生リスクを高める可能性もあるため、医療従事者として早期発見と適切な介入が重要になります。​
月経不順の症状を正確に把握し、患者の背景にある生活習慣やストレス状況、既往歴などを総合的に評価することが、適切な診断と治療につながります。基礎体温の測定や、超音波検査血液検査などを組み合わせることで、排卵の有無や原因疾患の特定が可能になります。

参考)月経不順 |大阪 梅田の内科・婦人科|西梅田シティクリニック…


月経不順の詳細な医学情報では、症状の種類と診断基準について詳しく解説されており、医療従事者にとって有用な情報源となります。​