外用抗真菌薬使い分けの基準
アゾール系も白癬菌に同じくらい効きます
外用抗真菌薬の基本分類と作用機序
外用抗真菌薬は大きく「アゾール系」と「非アゾール系」に分類されます。アゾール系は真菌の細胞膜成分エルゴステロールの生合成を阻害し、非アゾール系は主に細胞膜の機能を直接障害します。sugamo-sengoku-hifu+1
アゾール系にはイミダゾール系とトリアゾール系が含まれ、イミダゾール系にはケトコナゾール、ミコナゾール、ビホナゾール、ラノコナゾール、クロトリマゾールなどがあります。非アゾール系にはアリルアミン系のテルビナフィン、ベンジルアミン系のブテナフィン、チオカルバミン酸系のリラナフタート、モルホリン系のアモロルフィンなどが含まれます。0thclinic+2
外用薬は表皮の一番外側にある角層に貯留して抗菌作用を発揮します。真菌は角層に寄生するため、多くの皮膚真菌症では外用薬で十分な治療効果が得られるのが特徴です。
参考)抗真菌薬の選びかた・使いかた(medicina連載まとめ) …
処方する際には、症状のほか、原因となっている真菌の種類、使用する部位、アレルギー歴や副作用歴の有無などを考慮して薬剤を決定します。つまり、単純に「効く薬」を選ぶのではなく、患者背景と病態を総合的に判断することが基本です。
外用抗真菌薬のカンジダと白癬での選択
カンジダ症に対してはアゾール系外用薬のエビデンスが豊富です。特にイミダゾール系はカンジダに対して高い活性を示し、皮膚カンジダ症の第一選択薬はケトコナゾールクリーム2%とされています。ビホナゾール、ネチコナゾール塩酸塩も代表的な選択肢です。kaiseihp+2
白癬菌感染症に対しては、アゾール系、非アゾール系のどちらも有効です。しかし、アリルアミン系薬剤は皮膚糸状菌に対して良好な活性を示す一方、カンジダに対する活性は比較的弱いという特徴があります。msdmanuals+1
イミダゾール系は皮膚糸状菌とカンジダのどちらに対してもより高い活性を示します。このため、カンジダと白癬の両方に適応がある外用抗真菌薬も存在しますが、たとえ残薬があっても指示された部位以外に自己判断で塗布するのは避けるべきです。stg.sugamo-sengoku-hifu+1
体部白癬や股部白癬における抗真菌薬による外用療法では、薬剤間の効果を比較した臨床試験がわずかであるため、薬剤間の優劣を示すことは難しいとされています。
それでも基本原則があります。
参考)http://www.kaiseihp.com/user/media/kaiseihp/page/medical_personnel/index/pdf/formula/pdf12.pdf
足白癬に抗真菌薬による外用療法は有用か、という臨床疑問に対して、推奨度Aが付けられています。角化型や接触皮膚炎を合併しているような難治例に対しては内服の抗真菌薬で治療を行うのも良いとされています。
参考)治療方針が明確に、「皮膚真菌症診療ガイドライン2019」|医…
外用抗真菌薬の剤型選択と使用部位
外用抗真菌薬にはクリーム、軟膏、液の3剤形があります。剤型選択は病変の状態をみて適切に行うことが重要です。tokyoderm+1
クリームは最も汎用性が高く、湿潤した部位から乾燥した部位まで幅広く使用できます。軟膏は刺激が少なく、びらんや亀裂がある部位、乾燥が強い部位に適しています。液剤は浸透性に優れ、有毛部位や指間など、クリームが塗りにくい部位に適しています。0thclinic+1
ルリコナゾール(ルリコン®)はクリームと液、軟膏の3剤形があるため、症状や使用感に応じた選択が可能です。テルビナフィン(ラミシール®)も1%クリームまたは溶液として外用剤が利用できます。msdmanuals+1
使用部位による選択も重要です。外陰部や股のかゆみ、赤み、ふやけ、皮むけは真菌によることがあり、鑑別を行い適切な抗真菌外用薬を選びます。体部白癬、股部白癬、手足白癬では高い有効性を示すアリルアミン系のテルビナフィンがよく選択されます。
参考)抗真菌外用薬(塗り薬)|外陰部のかゆみ・カンジダ・股部白癬
外用抗真菌薬の塗布方法と範囲
外用抗真菌薬の塗布方法には重要なポイントがあります。シャワー後に水分をやさしく拭き取り、完全に乾かしてから、症状部位プラス周囲1~2cmまで薄く広めに塗ります。
水虫と診断されたら、指の間全てと足の裏全体に塗った方が良いとする医師も多く、とにかく「広め広め」に外用した方が良いとされています。菌が生き残ると、いつまでたっても治らなかったり再発してしまうからです。
「足首から下全体に塗る」というくらいの感覚で広く塗るのが推奨されています。患部にお薬をのせ、擦り込まずに、患部全体にやさしく伸ばすのが基本です。shionogi-hc.co+1
塗布回数は朝夕など指示通りに行います。表面がテカってベタつく程度、ティッシュペーパーが貼りつくくらいが適切な塗り広げ方となります。
擦り込む必要はありません。
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外用抗真菌薬の内服薬との使い分け
外用薬で治らない難治例や、病変が広範囲で外用薬を塗るのが難しい場合では経口薬を検討します。爪白癬は外用のみでは不十分なことがあり、内服治療や長期治療を検討します。derma-derma+1
爪白癬に適用がある経口抗真菌薬にはホスラブコナゾール、イトラコナゾール、テルビナフィンがあります。爪白癬には、イトラコナゾールよりテルビナフィンのほうが適していると考えられています。
テルビナフィンは250mg錠を連日内服し、12週間で費用は約68,452円です。イトラコナゾールは400mg/日を1週間内服後、3週間休薬を3回繰り返すパルス療法を行い、費用は約31,786円です。ホスラブコナゾール(ネイリン®)は100mg/日を連日内服します。
参考)皮膚真菌症 抗真菌薬のまとめ【白癬・カンジダ・爪白癬】 – …
経口抗真菌薬は肝炎および好中球減少を引き起こすことがあります。経口抗真菌薬を1カ月以上投与する場合は、肝機能検査および血算の定期的なモニタリングが推奨されます。
参考)Table: 表在性真菌感染症の治療選択肢*-MSDマニュア…
イトラコナゾール、テルビナフィン、フルコナゾールの経口薬は、チトクロムP450によって代謝されるため、多くの薬剤と相互作用を起こす可能性があります。一部の相互作用は重度となることがあり、一部の患者には不整脈のリスクがあるため、特別な注意を払うべきです。
皮膚真菌症の診断・治療の原則、各病型に対する推奨度が示された診療ガイドラインです。
外用抗真菌薬選択での独自視点:残薬の自己判断使用リスク
医療現場では、患者が以前処方された外用抗真菌薬を自己判断で別の部位に使用してしまうケースが散見されます。カンジダと白癬の両方に適応がある外用抗真菌薬は存在しますが、指示された部位以外への自己判断での塗布は避けるべきです。
理由は明確です。カンジダ症と白癬では病態が異なり、同じ「かゆみ」でも原因菌が違えば最適な薬剤選択も変わります。誤った薬剤使用は治療効果を下げるだけでなく、症状を悪化させるリスクもあります。
患者教育の場面では、「残った薬は別の場所には使わない」という指導が重要です。これは薬剤の無駄を防ぐという意味ではなく、適切な診断に基づいた治療を担保するための原則です。
処方時には、原因となっている真菌の種類、使用する部位、アレルギー歴や副作用歴の有無などを考慮して薬剤を決定しています。自己判断での流用はこのプロセスを無視することになります。
📌 症状が再発した場合や別の部位に症状が出た場合は、必ず再診を促す指導を徹底する
📌 「同じような症状」でも原因菌が異なる可能性があることを説明する
📌 残薬管理について患者に具体的な指示を出す(使い切る、廃棄するなど)
外用抗真菌薬は比較的安全性が高い薬剤ですが、有害作用はまれであっても、いずれの外用抗真菌薬も皮膚刺激、灼熱感、接触皮膚炎を引き起こす可能性があります。だからこそ適切な診断と処方が不可欠なのです。
