外傷性視神経萎縮と診断と治療
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外傷性視神経萎縮の病態生理と視神経管骨折
外傷性視神経萎縮は、外傷性視神経症(視神経障害)が急性期に生じ、その後に視神経線維の不可逆的変化が進んだ結果として理解すると臨床像が整理しやすいです。
外傷性視神経症の病態として、視神経管骨折による直接圧迫・断裂だけでなく、視神経管内での揺さぶりによる浮腫や軸索流の変化が想定されており、画像で骨折線が明瞭でなくても病態が否定できない点が重要です。
臨床現場では「骨折が見えない=軽症」という思い込みが起こりやすく、受傷機転(転落・交通事故など高エネルギー)と症状の組み合わせで疑い続ける姿勢が見逃しを減らします。
外傷性視神経萎縮の症状とRAPDと視力と視野
症状は軽い視力低下や部分的視野欠損から全盲まで幅があり、外傷の重症度と必ずしも直線的に一致しないため、救急初期対応で「眼科的な評価が必要な外傷」を拾い上げる設計が要点です。
診断上のキーファインディングとして、眉毛外側の打撲痕と、対光反射での相対的瞳孔求心路障害(RAPD)の検出が挙げられ、視機能検査(視力・視野・眼底など)と組み合わせることで外傷性視神経症を強く疑えます。
視神経萎縮は“結果”であり、急性期には眼底が目立たないこともあるため、RAPDと視機能の変化を軸に時系列で追う発想が、現場の診断精度を底上げします。
外傷性視神経萎縮の画像診断とCTと血腫
画像評価では視神経管周囲のCTで骨折・狭窄・血腫の有無を確認することが重要で、眼科の視機能検査とセットで診断を進めます。
CTで骨折線が認められない場合でも視神経管骨折を否定できず、手術中に骨折が確認されることもあるとされているため、「画像で確定できない病態」を前提に、臨床所見との統合で意思決定するのが実務的です。
また、視神経障害が疑われる状況では、同時に眼窩内出血などの眼窩外傷(眼窩コンパートメント症候群を含む)も鑑別に上がるため、眼球突出・眼球運動障害・眼瞼腫脹の有無も並行して拾います。
外傷性視神経萎縮の治療とステロイドと視神経管開放術
治療は大きく、点滴で副腎ステロイド大量投与を行う方法と、外科的に視神経管を開放して圧迫を解除する視神経管開放術が柱になります。
明らかに骨片が視神経を圧迫している場合には骨片の摘出を早急に行う方針が述べられており、原因が「圧迫」なのか「浮腫主体」なのかの見立てが治療選択に直結します。
一方で、視神経管骨折を認めない場合にもステロイド治療や視神経管開放術が検討されるものの、無治療で改善する例もあるため、リスク・ベネフィットを説明した上で介入する姿勢が推奨されています。
治療適応・時期に関しては、治療開始時期が重要で、内視鏡下視神経管開放術は早いほど(目安として48時間以内が望ましいとされる)改善が見込まれる一方、発症から1週間以上では改善可能性が低くなるとされています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/816c5e3d0d64b0781ae321c3525c3ef6545a878f
手術アプローチは経鼻法と開頭法に大別され、近年は低侵襲な内視鏡下手術が選択される傾向がある、と整理すると多職種カンファレンスで共通言語になりやすいです。
外傷性視神経萎縮の予後とチームアプローチ(独自視点)
外傷性視神経萎縮は、初療での見逃しや治療開始遅延が起こると“取り返しがつかない結果(萎縮)”として固定化しやすく、診療科横断のチーム設計そのものが予後に影響し得ます。
実際に、耳鼻咽喉科・眼科・脳神経外科の3科連携で視神経管骨折を伴う外傷性視神経症の診断・治療を行う体制が紹介されており、視神経管開放術とステロイド大量投与を並行して運用するなど、単科完結しない設計が示されています。
独自視点として、救急外来では「眼科コンサルトのトリガー」をプロトコル化すると実装しやすく、例えば①高エネルギー外傷、②眉毛外側の打撲痕、③視力低下または視野異常の訴え、④RAPD疑い、⑤CTで視神経管周囲の評価が必要――のいずれかを満たしたら眼科+(必要に応じて)頭蓋底手術チームへ早期連絡、といった運用が現場の再現性を上げます。
また説明・同意の場面では、「骨折がCTで見えないこともある」「無治療で改善する例もある」「一方で早期介入が論点になることがある」という三点セットを押さえると、患者・家族の納得形成と医療者側の判断の透明性が両立しやすくなります。semanticscholar+1
参考:外傷性視神経症の診断(RAPD・眉毛外側打撲痕)と、視神経管骨折/非骨折時の治療方針(ステロイド・視神経管開放術・無治療改善例)
http://www.jsomt.jp/journal/pdf/073030047.pdf
参考:視神経管周囲CTの見方、視神経管開放術とステロイド大量投与、治療開始時期(48時間以内が望ましい等)とチーム医療の実際
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/presentation/202202/

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