エフピー薬の効果と副作用を解説

エフピー薬の効果と副作用

エフピー薬の基本情報
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選択的MAO-B阻害作用

脳内ドーパミンの分解を抑制し、濃度を増加・持続させる

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副作用発現率40.9%

臨床試験では約4割の患者に何らかの副作用が認められる

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薬物相互作用に注意

抗うつ剤との併用で重篤な副作用リスクあり

エフピーの作用機序とドーパミン増加効果

エフピー(セレギリン塩酸塩)は、選択的モノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害剤として、パーキンソン病の症状改善に重要な役割を果たします。

作用メカニズム:

  • 脳内でドーパミンの分解を担うMAO-B酵素を選択的に阻害
  • ドーパミン濃度の増加と持続時間の延長を実現
  • レボドパ含有製剤との併用により相乗効果を発揮

臨床試験データによると、レボドパ含有製剤を併用する場合の改善率は、中等度改善以上が30.2%(48/159例)、軽度改善以上が65.4%(104/159例)と報告されています。

UPDRS評価での効果:

レボドパ含有製剤非併用の患者を対象とした試験では、日本語版UPDRS partⅠ,Ⅱ,Ⅲ合計スコアのベースラインからの変化量が、プラセボ群との比較で有意な改善を示しました。

エフピーの副作用発現率と主要症状

エフピーの副作用は決して軽視できない頻度で発現し、処方時には十分な注意が必要です。

主要副作用の発現頻度:

  • 幻覚:10.7%
  • 悪心・嘔吐:7.5%
  • ジスキネジア:6.3%
  • 食欲不振:5.0%
  • 頭痛・頭重感:4.4%

レボドパ含有製剤併用時の臨床試験では、159例中65例(40.9%)に副作用が発現し、比較的高い発現率を示しています。

重篤な副作用への対応:

特に注意すべきは精神症状で、幻覚、妄想、錯乱、せん妄などが報告されています。これらの症状は投与初期に現れやすく、患者や家族への事前説明が重要です。

また、悪性症候群(無動緘黙、発汗、高熱、血圧変動、頻脈、高度の筋硬直、不随意運動)や胃潰瘍といった重篤な副作用についても、定期的な観察が必要です。

エフピーと他剤との相互作用リスク

エフピーの処方において最も注意すべき点の一つが、他剤との相互作用です。特に抗うつ剤との併用は禁忌とされています。

禁忌・慎重投与が必要な薬剤:

薬剤分類 主な薬剤 休薬期間
三環系抗うつ剤 アミトリプチリン、イミプラミンなど エフピー中止後14日間
SSRI パロキセチン、セルトラリンなど エフピー中止後14日間
選択的MAO-B阻害剤 ラサギリン、サフィナミドなど 相互に14日間
オピオイド系 トラマドール、タペンタドールなど エフピー中止後14日間

これらの薬剤との併用により、高血圧クリーゼ、セロトニン症候群、高血圧、失神、てんかん、筋強剛などの重篤な副作用が報告されており、死亡例も確認されています。

エフピー処方時の患者モニタリング指針

安全な薬物療法を実施するため、処方時から継続的なモニタリングが不可欠です。

初回処方時の確認事項:

  • 併用薬剤の詳細な確認(市販薬、サプリメントを含む)
  • 既往歴(精神疾患、消化器疾患)の聴取
  • ベースラインでの症状評価(UPDRS、H&Y分類)

定期観察項目:

  • 精神症状の出現・変化(幻覚、妄想、錯乱)
  • 消化器症状(悪心、食欲不振、胃痛)
  • 血圧変動の監視
  • 肝機能、腎機能の定期的評価

患者・家族指導のポイント:

副作用の早期発見のため、患者・家族への教育が重要です。特に幻覚や錯乱などの精神症状については、「薬の副作用である可能性」を事前に説明し、症状出現時の速やかな受診を促します。

エフピー長期投与における効果持続性の評価

エフピーの長期投与時の効果と安全性について、臨床データに基づいた評価が重要です。

長期投与試験の結果:

レボドパ含有製剤非併用患者131例を対象とした56週間投与試験では、UPDRS合計スコアの変化量が投与4週後で-2.6、投与20週後で-5.6、投与56週後で-2.8と、長期投与時も効果が維持されることが確認されています。

長期投与時の副作用プロファイル:

長期試験では131例中58例(44.3%)に副作用が発現し、主要な副作用は以下の通りでした。

  • 不眠症:5.3%
  • 便秘:4.6%
  • 血中CK増加:3.8%
  • 高血圧:3.1%
  • 背部痛:3.1%

効果減弱時の対応戦略:

長期投与中に効果の減弱が認められた場合、以下の対応が考慮されます。

  • レボドパ含有製剤の併用検討
  • 他のMAO-B阻害剤への変更
  • ドーパミンアゴニストの追加
  • 深部脳刺激療法(DBS)の適応評価

エフピーは適切な患者選択と十分なモニタリングにより、パーキンソン病治療において有効性を発揮する重要な選択肢となります。しかし、副作用発現率の高さと重篤な相互作用リスクを十分に理解し、慎重な処方判断が求められる薬剤でもあります。

医療用医薬品添付文書情報(KEGG MEDICUS)

https://www.kegg.jp/medicus-bin/japic_med?japic_code=00053454