ectとは 医療における電気けいれん療法の基礎と実践
ectとは 医療でいうElectro Convulsive Therapyの定義と歴史
ectとは 医療分野ではElectro Convulsive Therapyの略で、日本語では「電気けいれん療法」と訳される精神科治療手技を指す。頭部に電気刺激を与えて全身性けいれん(現在は筋弛緩薬使用により脳内発作のみ)を惹起し、その後の脳機能変化を利用して症状改善を図る治療法として1930年代に開発された。
1930〜40年代の初期ECTはサイン波装置を用い、無麻酔・無筋弛緩で行われていたため骨折などの合併症が問題となったが、現在の修正型電気けいれん療法(mECT)は全身麻酔・筋弛緩薬・パルス波刺激装置の導入により安全性が飛躍的に向上している。
日本でも2000年代以降、専用治療室を備えたECTセンターを設置し、数千例規模で実施している施設もあり、薬物抵抗性うつ病などに対する標準的治療オプションとして再評価が進んでいる。
国内ガイドラインでは、ECTは他の医学的治療と同様にエビデンスと専門家コンセンサスに基づく手技と位置づけられ、適応・手順・安全管理が細かく示されている。例えば日本精神神経学会の推奨事項改訂版では、急性期ECT・継続ECT・維持ECTそれぞれの位置づけと実施条件が整理されている。
一方で、一般患者への説明資料では「薬物療法が効かないときに用いる最後の手段」という印象が強調されがちだが、ガイドライン上は第一選択として検討されるケースもあり、「最終手段」というイメージだけでは現代ECTの位置づけを正しく反映していないことに留意したい。
参考)https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/journal/3.ECT_Explanation%20pamphlet.pdf
ectとは 医療現場での適応疾患と適応基準
ectとは 医療現場では主にうつ病、双極性障害、統合失調症など重症精神疾患に対して用いられ、とくに薬物治療抵抗性のうつ病に対する寛解率の高さが繰り返し報告されている。
日本精神神経学会の推奨事項では、急性期ECTの適応は「診断」「症状の型」「重症度」「治療歴」「他治療との危険と利益の比較」「患者の希望」「作用発現速度」などを総合的に評価して決定することが求められており、単に「薬が効かないから」で決まるわけではない。
代表的な診断学的適応としては以下が挙げられる。
- 重症うつ病(精神病症状を伴ううつ病を含む)
- 治療抵抗性うつ病(十分量・十分期間の薬物療法でも改善しない症例)
- 緊張病(カタトニア)を伴う統合失調症や気分障害
- 重度の躁状態、難治性双極性障害
- 一部のパーキンソン病や認知症関連の精神症状など
さらに興味深い点として、「精神症状が原因で身体状態が悪化している症例」に対して、身体合併症管理と並行してECTを早期に検討するべきだとする報告がある。
例えば拒食・水分拒否による脱水や電解質異常、長期臥床による深部静脈血栓症など「二次的身体合併症」を引き起こした重症精神疾患では、精神症状の改善こそが身体状態の安定化に直結するため、ECTがより安全な選択肢となりうると指摘されている。
ectとは 医療としての実施手順とmECTの実際
ectとは 医療行為としては、現在ほとんどの施設で修正型電気けいれん療法(mECT)が採用されており、全身麻酔・筋弛緩薬投与下で短時間に実施される。
典型的な流れは、術前評価(身体診察・血液検査・心電図・胸部画像など)→絶食・禁水の確認→麻酔導入→筋弛緩薬投与→刺激電極装着→発作誘発→覚醒・経過観察というステップで、1回あたりの刺激時間は8秒前後であると説明されている。
1コースの回数は施設により異なるが、週2〜3回で計6〜12回程度行われることが多く、症状に応じて延長や維持ECTが検討される。
参考)302 Found
ある精神科病院では2000回以上のECT実施経験が報告されており、適切な麻酔管理と術前評価を行った場合に重篤な合併症は稀であることが強調されている。
現場で重要なのは、多職種によるチーム医療体制である。
こうした役割分担が明確なECTセンターでは、年間数百件規模のECTを安定して運用している報告があり、手技そのものの安全性だけでなくプロセス全体の標準化が鍵であるといえる。
参考)電気けいれん療法(ECT)|埼玉県の精神科|久喜すずのき病院…
ectとは 医療安全の観点からみた有害事象と身体合併症への対応
ectとは 医療安全の観点では、「全身麻酔を伴う短時間の手術的手技」としてのリスク評価が求められる。
代表的な急性期有害事象には、高血圧・頻脈・不整脈などの循環器系変化、遷延性無呼吸などの呼吸器系合併症、覚醒期せん妄や一過性健忘といった中枢神経系症状があり、術前の心血管・呼吸器評価とモニタリングが重要となる。
興味深い臨床報告として、肺炎や電解質異常、下肢静脈血栓など身体的リスクを抱えたレビー小体型認知症患者に対するECT施行例が報告されている。
この報告では、術前に呼吸状態・循環動態・凝固系などを詳細に評価し、必要な治療介入(抗凝固療法の調整、感染コントロールなど)を行った上でECTを慎重に実施し、精神症状の改善に伴い全身状態も改善したとされる。
さらに日本のある病院のデータでは、1万回近いECT施行歴の中で重篤な合併症発生は非常に稀であり、むしろ麻酔前の絶食・禁水が守られないことによる誤嚥リスクなど、基本的な周術期管理のほうが事故防止の観点では重要であることが示されている。
高齢患者では麻酔からの覚醒が遅くなる傾向があるため、術後観察時間を十分に確保し、転倒など二次的事故を防ぐ体制づくりが求められる。
長期的な認知機能への影響については、一時的な逆行性健忘や近時記憶障害は知られているものの、多くは数週間〜数か月で改善するという報告が多い。
ただし高齢者や既存の認知症を持つ患者では回復に時間を要する可能性があり、家族を含めたインフォームド・コンセントで「期待される効果」と「認知機能の一時的悪化リスク」を丁寧に説明することが不可欠である。
ectとは 医療チームでの独自活用と今後の展望(独自視点)
ectとは 医療チームの中で、従来の「最後の手段」から「早期から選択肢に含める治療」へと役割が変化しつつあり、その運用には施設ごとの工夫が求められている。
近年の適応基準改訂では、「患者本人の意思決定能力」を重視し、うつ病などで判断能力が低下している患者でも、回復後の生活や価値観を見越した治療選択をチームで検討することが提案されている点は、あまり一般には知られていないポイントである。
具体的な独自的運用の例として、以下のような取り組みが考えられる。
- 難治性うつ病に対し、長期高用量薬物療法による多剤併用や薬物相互作用リスクを避ける目的で、早期からECTを提示する
- 統合失調症の緊張病患者で、身体合併症が進行する前にECTを導入し、早期離床・リハビリテーションにつなげる
- 高齢者の重症うつ病で、認知症と鑑別困難な「仮性認知症」例にECTを行い、うつ病改善とともに認知機能が回復するかを評価する
また、ECTセンターを地域精神医療のハブとして位置づけ、紹介患者の集約と標準化された評価・フィードバックを行うことで、地域全体の治療成績を底上げする試みも報告されている。
このような運用は、単に1施設の治療オプションにとどまらず、地域精神科医療における治療パスの再設計にもつながりうるため、今後の高齢社会におけるうつ病・認知症医療の重要なインフラとなる可能性がある。
医療従事者にとって重要なのは、「ectとは 医療において何を目指す治療なのか」をチーム内で共有し、患者・家族にもわかりやすく説明できる共通言語を持つことだろう。
薬物療法・心理社会的支援・リハビリテーションと並ぶ一つの柱としてECTを捉え、どのタイミングで、どのような患者に、どのような体制で提供するのかを、今一度施設ごとに整理してみてはいかがだろうか。
ECT適応とガイドラインの詳細を確認したい場合に有用な資料
日本精神神経学会「電気けいれん療法(ECT)推奨事項 改訂版」:適応基準・実施方法・副作用対策の詳細な推奨がまとめられている。
身体合併症を有する患者へのECT施行の工夫を知りたい場合の参考
「身体的リスクのある患者への電気けいれん療法の施行」:肺炎や血栓などを抱える高リスク症例への具体的な評価・対応が解説されている。
患者・家族への説明に使えるやさしい解説資料
「電気けいれん療法(ECT) に関する Q & A」:治療の流れや副作用を平易な言葉で説明したパンフレット形式の資料。

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