大腿骨頸部骨折の症状
大腿骨頸部骨折の典型的な疼痛パターン
大腿骨頸部骨折では股関節部、特に鼠径部(足の付け根)に強い疼痛が出現します。この疼痛は動作時に著明に増強し、患者さんは自力で脚を持ち上げることができなくなりますよ。
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骨折直後から自動運動不能になり、患肢を外旋させると局所に疼痛があります。触診により大腿骨頸部前面で圧痛を認めることが診断のポイントとなりますね。日本整形外科学会の診療ガイドライン2021では、この疼痛パターンが診断の重要な手がかりとして位置づけられています。
疼痛の程度は骨折のタイプによって異なり、不完全骨折(ひび)では痛みがあっても歩行可能なケースもあるんです。特に認知症を有する高齢者では痛みの訴えが乏しい場合もあるため、転倒後の行動変化にも注意が必要となります。
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大腿骨頸部骨折による運動機能障害の特徴
大腿骨頸部骨折の患者さんは、ほとんどの場合立つことや歩くことができなくなります。体を支える役割のある大腿骨を骨折してしまうと、足の付け根に痛みを感じて立位や歩行が困難になるんですよ。
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仰向けの状態から膝を立てたり足を持ち上げることができなくなることも、この骨折の特徴的な症状です。股関節の屈曲、伸展、回旋の可動域制限が生じ、バランス障害も出現します。
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転倒後に立ち上がれなくなった高齢者では、まずこの骨折を疑うべきだとされています。救急搬送となるケースが多く、医療従事者として初期対応での迅速な判断が求められます。
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大腿骨頸部骨折における下肢変形の臨床所見
骨折した側の下肢は、通常より短く見える短縮と、外側に回転した状態である外旋変形が特徴的な所見として現れます。症状がひどい場合は、膝やつま先が外側を向き、外観から見ても変形しているのが分かるんです。
参考)大腿骨頸部骨折
転位のある骨折では下肢が短縮し、外旋している場合が多いですね。この身体所見は身体診察における視診の重要なチェック項目となっており、後の精密検査の方向性を決定する手がかりとなります。
参考)大腿骨頸部骨折
ただし、関節内骨折である大腿骨頸部骨折の場合は、関節包が周囲にあるため出血するスペースが少なく、腫脹や皮下出血は少ない傾向にあります。転子部骨折と比較して、大転子部から臀部にかけての腫脹や皮下出血は出現しにくいという特徴を理解しておく必要がありますよ。
大腿骨頸部骨折の不全骨折における症状の特異性
不全骨折(ひび)の状態では、痛みはあるものの歩行可能な場合もあるんです。骨がずれていない不完全骨折の場合は痛みを感じず骨折に気づかない場合もあるため、注意が必要となります。
特に中等度以上の認知症の方は、痛みを訴えないこともあり、周囲の人が歩行障害に気づき骨折が判明する場合もあるんですよ。認知症などのためハッキリわからないこともありますが、高齢者が転んだりした後、立てなくなったら第一にこの骨折を考えるべきです。
日本整形外科学会では、大腿骨頸部骨折の患者さんが何日か前から足の付け根を痛がっていたが、ある時急に立てなくなったというエピソードをよく経験することが報告されています。おそらく立てなくなった時、骨折部で”ずれ”が生じたと考えられるんです。
不全骨折タイプだったものが、歩行などでずれて完全骨折に移行し、症状が出た可能性も考慮すべきですね。痛みを伴う症状を伴っているにもかかわらず無理して歩行を続けていると、骨折が進行し、完全骨折になったことで治療が困難になるケースもあることを知っておく必要があります。
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大腿骨頸部骨折の症状から見た分類と病態
医学的には、病態が大きく異なりますので、関節の中で折れる場合(大腿骨頸部内側骨折)とそれよりもう少し膝側の関節外で折れる場合(大腿骨頸部外側骨折)の2つに分けて考えます。
頸部内側骨折は、骨粗鬆症がある場合、ちょっと脚を捻ったぐらいでも発生するんです。一方外側骨折は、明らかな転倒・転落で発生します。
両者の大きな違いは、内側骨折は血液循環が悪いため骨癒合が得られにくいが、その一方関節内のため周りにスペースがなく内出血も少ないことに比べ、外側骨折は骨癒合は得やすいが、受傷時の外力も大きく、内出血もするため全身状態に影響が出やすいということですね。
大腿骨頸部骨折の分類法では、Garden分類が最も多く使われています。stageⅠ(不完全骨折でひびが入った状態)、stageⅡ(転位を伴わない完全骨折の状態)、stageⅢ(転位を伴う完全骨折の状態)、stageⅣ(高度の転位を伴う完全骨折の状態)の4段階に分類され、大腿骨頭への血流がどの程度保たれているかで大腿骨頭壊死の危険性が予測されるんです。
参考)https://nsmc.hosp.go.jp/Journal/2016-6/SMCJ2016-6_review02.pdf
日本整形外科学会の大腿骨頚部骨折に関する解説では、症状から診断までの流れが詳しく説明されています。
大腿骨頸部骨折が引き起こす合併症リスク
大腿骨頸部骨折は、寝たきりや認知症の原因になることもある重篤な骨折です。最も癒合しにくい骨折ともいわれており、保存療法による長期臥床は、安静期間が長い為、これがきっかけで筋力低下や廃用症候群により寝たきりになったり、痴呆症状が生じる問題があるんですよ。
高齢者に長期臥床を強いると、褥創を作ってしまったり、肺炎を生じたりという合併症も発生しますし、寝たきりの状態になってしまうこともまれではありませんでした。
参考)大腿骨頚部骨折と大腿骨転子部骨折|一般社団法人 日本整形外傷…
大腿骨頸部骨折では、肺炎、心不全、肺塞栓症、尿路感染症などの合併症が頻発して、これらが主な死亡原因となります。骨折後に長期間寝たきりになると、急速な筋力低下や誤嚥性肺炎、褥瘡(床ずれ)などの廃用症候群が生じるんです。
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深部静脈血栓症では脚の静脈に血の塊ができ、肺に飛ぶと肺塞栓症を引き起こします。寝たきりによる抵抗力の低下や、飲み込み機能の低下で誤嚥性肺炎を発症するリスクも高まりますね。
参考)整形外科で行う股関節の骨折治療とリハビリ – 足立慶友整形外…
大腿骨頸部骨折は、骨頭への血流が途絶えやすいため、骨壊死を合併しやすい骨折として知られています。大腿骨頸部は、大腿骨頭(股関節を形成する丸い部分)に血液を供給する血管が走行している重要な部位で、この部位が骨折すると、血管が損傷したり圧迫されたりして、大腿骨頭への血流が途絶え、骨壊死(特に大腿骨頭壊死)を引き起こす可能性が高まるんです。
大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021では、合併症予防のための早期手術の重要性が強調されています。
大腿骨頸部骨折の診断における身体診察と画像検査
大腿骨頸部骨折の診断では、身体診察と画像診断を組み合わせて行います。身体診察のポイントとして、視診では外見上の変形、腫脹、皮下出血などを確認し、触診では圧痛の有無、骨の異常な動きを確認します。
可動域検査では股関節の動きの制限を評価し、神経学的検査では神経障害の有無を確認するんですよ。身体診察の診察結果により、後の精密検査の方向性を決定します。
画像診断では、X線検査が最も基本的で重要な検査となります。骨折の有無や位置、転位の程度を評価できるんです。CT検査は複雑だったり微妙であったりしてX線では見えにくい骨折や周囲の組織の状態を詳細に把握できます。
MRI検査は骨折線が不明瞭な場合や軟部組織の損傷評価に有用ですよ。亀裂骨折(いわゆる”ひび”)でX線で判りにくい場合はMRIで診断可能です。一般的に急性期には使用しませんが、疲労骨折を疑うときなどに実施します。
時々骨盤の亀裂骨折と間違えられることがありますが、骨盤の亀裂骨折では、多くの場合歩行は何とか可能ですね。術前MRIによる骨頭壊死予測も重要な検査項目として位置づけられています。
参考)大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021(改訂第3版)…