腸鉗子 種類
腸鉗子 種類とドヤン型・コッヘル型の位置づけ
腸鉗子は腸管を把持するための専用鉗子で、腸管の切断・吻合操作では欠かせない器械として扱われます。
一般に「腸鉗子の種類」というと、まず“○○型”という型名(人名由来が多い)で語られ、代表例としてドヤン(ドワイヤン)型、メイヨーロブソン型、コッヘル型などが挙げられます。
ただし臨床の現場で困るのは、型名だけでは「把持圧のかかり方」「先端の当たり」「滑りやすさ」などの挙動が読み切れない点で、同じ“ドヤン型”でも直型/反型や溝のパターンで使用感が変わります。
腸鉗子の設計思想として重要なのは、腸管を“強く噛み潰す”のではなく、腸壁へのダメージを抑えながら均等な圧で把持し、必要時には内容物の漏洩を防ぐことです。
参考)Doyen 腸鉗子
そのため、止血鉗子(例:ペアン鉗子)のように「血管を圧挫して止血する」ことを主目的にした鉗子とは、同じ“鉗子”でも思想が異なります。
参考)ペアン鉗子|鉗子(2)
器械出し・外回り・医師側の共通言語としては「型名+形状(直/反)+サイズ(cm)+溝(ドベーキーなど)」を一緒に言えると、取り違えが減ります。
腸鉗子 種類を分ける形状:直型・反型と把持部の幅
腸鉗子の種類を構造で分類するうえで、最も実務的なのが「把持部の形状(直型/反型)」です。
直型は術野で“まっすぐ”に腸管を横断するようにかけやすく、反型(曲型)は深部や角度のついた部位で視野・操作性を補う意図で選択されます(施設文化も強い領域です)。
PMDAに公開されている添付文書でも、ドアイヤン腸鉗子が直型と反型としてラインナップされていることが確認できます。
次に重要なのが把持部の“幅”で、腸鉗子では把持部が約10mm程度と広く、圧を分散させて腸管への負担を軽減する工夫が説明されています。
さらに把持部の中央に隙間があり、先端側が主に接触する形状にすることで、腸管組織を挫滅させない配慮がなされています。
この「幅」「隙間」「直/反」は、カタログ写真よりも現物で見比べると理解が速く、器械出し教育では“把持部だけを見て判定する癖”をつけると取り違えが減ります。
腸鉗子 種類とサイズ:22cm~30cmの意味
腸鉗子は成人の腸管操作で使用されることが多く、一般的なサイズが22cm~30cmと説明されています。
一方で小さいものは13cm程度、大きいものは28cm程度のラインナップがあるともされ、術式(小児・低侵襲・深部操作)や術者の手のサイズで「同じ型名でも長さ違い」を使い分ける余地があります。
看護師側の実務では、腸鉗子と外観が似る器械として胃鉗子が話題になり、両者は全体の長さが違うため長さから判別できる、という整理が提示されています。
ここで“意外と見落とされる”のが、サイズ選定が「視野」だけでなく「圧のかかり方」にも影響しうる点です。
腸鉗子はラチェットが長く、さまざまな径の消化管に対応できる仕組みがあるとされるため、同じサイズでもラチェットの段数・かかり具合で把持のニュアンスが変わります。
器械出しとしては、要求が「ドヤン」だけで終わったときに“22cm直型なのか、もう少し長尺なのか”を術者の癖から先読みできると、手渡しが滑らかになります。
腸鉗子 種類と溝:ドベーキータイプなどの把持面デザイン
腸鉗子の把持部内側には、メーカーや型によって縦溝やドベーキータイプの溝など、さまざまな溝があり、低侵襲で確実に把持できるよう工夫が施されていると説明されています。
この“溝の種類”は、器械リスト上は同じ「腸鉗子」でも、滑りやすい腸管・浮腫のある腸管・薄い腸壁などで体感差が出やすく、術者がこだわるポイントになりがちです。
また市場では「ドベイキードヤン腸鉗子」のように、ドヤン型にドベーキー系の把持面デザインを組み合わせた名称で流通しており、現場でもこの呼び方がそのまま指示語になることがあります。
溝の話を安全管理に寄せると、溝がある=“汚れが残りやすい形状”にもなり得ます。
参考)腸鉗子|鉗子(11)
添付文書では、使用後は直ちに清水で洗浄すること、汚れ残りがある箇所はブラッシングによる物理的洗浄を追加することなど、洗浄・すすぎ・乾燥の具体が示されています。
器械トラブル(かじり・噛み合わせ不良・ラチェット不良)の芽は「溝」「関節」「ラチェット周辺」に出やすいので、洗浄工程・乾燥工程が“種類の選択”と同じくらい重要な実務になります。
腸鉗子 種類の独自視点:禁忌・寿命・滅菌条件で“選び方”が変わる
腸鉗子は用途に合わせて工夫された鉗子であり、目的外使用には注意が必要だとされています。
一方で“まれなケース”として、肝外側区域切除で肝臓外側区域が菲薄化している場合に、腸鉗子で把持して圧迫止血効果を得ることがある、という記載があり、これは検索上位の一般的な「種類解説」では見落とされがちなポイントです。
つまり「腸鉗子=腸だけ」という固定観念よりも、「非外傷性に圧を分散して把持する構造」という特徴から、例外的適応が生まれることがあります。
また、腸鉗子の寿命は明らかではないとされつつ、使用時の圧や頻度、洗浄方法や滅菌過程での取り扱いが寿命に影響する、と整理されています。
PMDAの添付文書では、化学薬品への曝露を避けること(腐食の原因)、家庭用洗剤を使わないこと、金属ウールや粗い研磨材を使わないことなどが禁忌・禁止として明記されており、器械の“種類”以前に守るべき条件が具体的です。
さらに高圧蒸気滅菌の標準例(例:121~124℃で15分など)や、CJD患者(疑い含む)での滅菌条件例(134℃で18分)も示されているため、感染対策の文脈では「どの種類を選ぶか」より「どの条件で再使用するか」が安全性を左右します。
このあたりまで含めて腸鉗子の種類を捉えると、現場の実装は次のように整理できます。
✅選定(型名・直/反・サイズ・溝)→✅使用前点検(ラチェット・噛み合わせ・ネジ緩み)→✅適正使用(漏洩防止・非外傷性把持)→✅洗浄乾燥→✅滅菌→✅保管、までが“腸鉗子運用”です。
手術器具としての定義(非外傷性に把持・圧迫・支持する目的、再使用可能、未滅菌品で使用前に洗浄滅菌が必要等)がまとまっている(腸鉗子の安全管理パートの参考)。
腸鉗子の形状・サイズ・直型/反型・溝の工夫、器械出しでの確認ポイント(見分け・運用パートの参考)。
