足底挿板とモートン病の評価と保存療法
深横中足靱帯と足底からの圧迫で足底神経が絞扼されるメカニズムと、靴・アーチ低下・足部アライメントとの関連を整理します。
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中足骨パッドとアーチサポートを組み合わせた足底挿板デザインと、RCTで示された疼痛軽減効果を紹介します。
足底挿板とモートン病の病態生理とリスク因子
モートン病は、第3・4趾間の中足趾節関節レベルで足趾神経が深横中足靱帯と足底側からの荷重の間で圧迫され、肥厚や神経腫をきたす絞扼性末梢神経障害とされます。 足底挿板は、この「靱帯と地面に挟まれた神経」をいかに逃がすかという観点から設計されるべき保存療法の中核的手段です。
リスク因子として、ハイヒールや先細の靴による前足部への荷重集中、横アーチの低下、外反母趾や槌趾変形など前足部アライメント異常が挙げられます。 さらに扁平足や凹足では前足部の圧分布パターンが異なるものの、モートン病患者における歩行の時空間パラメータ自体には大きな差がないとする報告もあり、足底圧分布の評価がより重要だと示唆されています。pmc.ncbi.nlm.nih+3
前足部のアーチ低下は、足部内在筋の機能低下や足関節背屈制限に関連しており、これらの因子を併せて評価することで足底挿板の処方内容が明確になります。 そのため、足底挿板単独ではなく、靴の変更や運動療法と組み合わせた包括的な保存療法の一環として位置づけることが、医療現場での運用上は実際的です。fukuokaseikei+3
足底挿板とモートン病の診断・画像評価と足底圧
モートン病の臨床診断では、足趾付け根の圧痛、前足部を側方から圧迫した際の放散痛・感覚異常、いわゆるMulder徴候が重要で、徒手的評価だけでもかなり高い診断精度が得られるとされています。 一方、足底挿板を作成するにあたっては、荷重位X線像による中足骨配列や前足部のアーチ形態の把握が、情報として有用であるとする理学療法学会の報告があります。
画像診断では、超音波とMRIが主に用いられ、超音波はダイナミックに神経腫の描出やMulder徴候の再現が可能で、コストやアクセスの面からも有利とされています。 MRIは神経腫の大きさや周囲組織の評価に優れ、手術適応や他疾患との鑑別に有用ですが、保存療法を行う場面では超音波で十分な情報を得られるケースも少なくありません。pmc.ncbi.nlm.nih+1
足底圧・床反力解析に関しては、モートン足(第2中足骨頭が長い形態)やモートン延長を模した足底挿板が前足部圧に与える影響を3D床反力で検討した研究があり、特定の中足骨頭へのピーク圧を変化させうることが示されています。 モートン病そのものを対象とした圧解析研究はまだ多くありませんが、横アーチを支持するパッドの位置と厚みが前足部圧の再分配に影響することから、圧分布評価をもとにした個別設計が理想的といえます。mdpi+2
Morton’s interdigital neuroma: 病態と診断・治療の総説で、全体像の把握に有用
足底挿板とモートン病の保存療法とランダム化比較試験のエビデンス
モートン病の治療はまず保存療法が推奨され、局所の安静、靴の変更、薬物療法、足底挿板、運動療法、神経ブロック注射などを段階的に組み合わせていきます。 特に日本整形外科学会の解説でも、足底挿板は初期治療として位置づけられており、3か月程度の保存療法で症状が十分改善しない場合に手術を検討する流れが一般的です。
足底挿板については、メタタルサルパッドとアーチサポートを組み合わせたカスタムインソールが、平板のインソールに比べて歩行時痛を有意に軽減し、患者報告アウトカムを改善した二重盲検ランダム化比較試験が報告されています。 この試験では、72例のモートン病患者を対象に、EVA素材のメタタルサルパッド+アーチサポート付き足底挿板と同素材のフラットインソールを比較し、24週間の追跡で疼痛スコアと機能指標の改善が介入群で大きかったとされています。pdf.blucher+1
一方で、足底圧の客観的指標(バロポドメトリー)では、インソール群と対照群の間で有意差がみられなかったとの報告もあり、痛みの改善が必ずしも単純な圧の変化だけでは説明できない可能性も指摘されています。 これは、足底挿板が力学的負荷だけでなく、足趾のポジション変化や神経へのマイクロなストレス変化を通じて作用していることを示唆しており、今後の研究が期待される点です。pmc.ncbi.nlm.nih+3
カスタムインソールRCT:メタタルサル+アーチサポートの有効性検証に関する原著論文
足底挿板とモートン病の装具デザインと処方の実際
臨床で用いられる足底挿板デザインの基本は、「痛みのある趾間の足底からの直接圧を減らし、深横中足靱帯周囲の張力を調整する」ことにあります。 具体的には、第3・4中足骨頭直下よりもやや近位寄りにメタタルサルパッドを配置し、足底からのピーク圧をパッドの両側に逃がすような形状が推奨されます。
加えて、縦アーチと横アーチを支える設計を組み込むことで、前足部の荷重集中を減らし、症状を軽減しやすくなります。 装具士が作成する医療用足底板では、足型採型や荷重位X線、歩行観察をもとに、材質(EVAの硬度など)と厚みを調整し、足趾の背屈を抑えるためにソール全体をやや硬めにする工夫が取られることもあります。semanticscholar+4
市販インソールの中には、「モートン病対策」として第3・4趾基節部付近にアーチパッドを設け、趾間のスペースを広げて神経圧迫を軽減する設計のものもあり、軽症例やスクリーニング的な使用には一定の有用性があります。 ただし、骨配列や足部変形が強い症例では、医師の診断と義肢装具士によるオーダーメイド足底挿板の方が望ましく、靴の形状(前足部の幅・ヒール高・ソール剛性)との組み合わせで総合的に判断する必要があります。mie-locomo+3
足底板療法の適応と作製プロセス:医療用インソール全般の理解に有用
足底挿板とモートン病の運動療法・セルフケアと新しい治療選択肢
足底挿板と併用すべき運動療法としては、足部内在筋トレーニングによる横アーチの再獲得、足関節背屈可動域の改善、下腿・足部筋の協調性向上が挙げられます。 モートン病では横アーチの低下が問題となるため、タオルギャザーやショートフットエクササイズなどを用いて前足部の支持性を高めることが、再発予防にも寄与します。
意外と見落とされがちなのが、頸椎から胸郭出口、腰椎・骨盤帯まで含めた全身のアライメントと神経系の状態です。 ギラン・バレー症候群や胸郭出口症候群を合併した症例で、入谷式足底挿板を参考にしたインソール作成が症状改善に寄与した報告があるように、末梢の絞扼神経障害であっても中枢側の神経絞扼や姿勢異常がしきい値に影響している可能性があります。 この視点から、頸胸郭の可動性改善や全身の姿勢調整をリハビリに組み込むことで、足底挿板の効果を最大限に引き出せるケースも想定されます。semanticscholar+1
さらに、保存療法の一部として、局所ステロイド注射やアルコールスクレロシス、最近では超音波ガイド下での深横中足靱帯切離など、より低侵襲な介入も検討されつつあります。 Type Iコラーゲンの超音波ガイド下局所注射が小規模症例で疼痛と機能の改善を示した報告もあり、足底挿板で十分な効果が得られない症例に対する新たな選択肢として注目されています。 これらの治療を検討する際にも、足底挿板と靴・運動療法の基本を押さえたうえで、患者背景に応じた階層的アプローチを組み立てることが重要です。pmc.ncbi.nlm.nih+4
モートン病のセルフケア・運動療法の実際:患者教育の説明文作成に有用

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