アメリカ医療保険月額日本円の平均

アメリカ医療保険 月額 日本円

この記事でわかること
💡

月額の「平均」を分解

雇用主保険・ACA(個人加入)・COBRAで、月額の意味が別物である点を整理します。

💴

日本円換算の考え方

為替で見え方が大きく変わるため、換算の前提(USD/JPY)と「幅」を示します。

🏥

医療従事者の説明ポイント

患者・家族・渡航者に説明しやすいよう、自己負担(deductible等)も含めて話せる形にします。

アメリカ医療保険 月額 日本円の平均と目安

 

アメリカの「医療保険の月額」を語るとき、まず押さえるべきは“誰が加入している保険の話か”です。雇用主が提供するEmployer-sponsored insurance(勤務先の福利厚生)、ACAマーケットプレイス(個人加入)、退職・離職後のCOBRA(継続加入)で、保険料の設計も負担者も違います。検索上位の多くが「月額○円」と単発で示しがちですが、医療従事者が説明するなら、最低でも「保険料(premium)」と「受診時の自己負担(deductible / copay / coinsurance)」を分けて話す必要があります。雇用主保険は“会社が払う分も含めた総額”と“本人が毎月給料から引かれる分”が違うため、平均値の読み方を誤ると現場で混乱が起きます。KFFのEmployer Health Benefits Surveyでは、2024年の雇用主保険の年間保険料平均が、単身で8,951ドル、家族で25,572ドルと示されています。さらに「労働者が拠出する平均額」は、単身1,368ドル/年、家族6,296ドル/年と示され、総額と本人負担が別指標であることが明確です(つまり“月額”を語るなら、どちらの月額かを明示する必要があります)。【出典】KFF 2024 Employer Health Benefits Survey(単身・家族の年間保険料、労働者拠出)

ここで日本円換算の目安を作るため、便宜上、2025年12月のUSD/JPYが概ね155〜157円台で推移しているデータを参照し、「1ドル=156円」近辺で概算します(厳密な換算が必要な資料では、必ず日付とレートを併記してください)。たとえば雇用主保険の総保険料(単身8,951ドル/年)は月あたり約746ドルで、日本円では約11.6万円/月です。一方で労働者拠出(単身1,368ドル/年)は月あたり約114ドルで、日本円では約1.8万円/月となり、「同じ雇用主保険でも、どの数字を“月額”として言っているか」で10万円単位で差が出ます。家族カバーの総保険料(25,572ドル/年)は月あたり約2,131ドル(約33.2万円/月)、労働者拠出(6,296ドル/年)は月あたり約525ドル(約8.2万円/月)が概算の目安です。これだけ差が大きいので、医療者が患者に説明するなら「あなたの月額負担は“総額”ではなく“本人拠出”が基準になりやすい」など、前提を揃えて会話するのが安全です。為替の根拠としては、USD/JPYの2025年12月の履歴データ(例:12月の複数日に155〜157円台)を確認できます。

参考)USD から JPY の為替レートの推移(2025年)

目安(概算、1ドル=156円換算)を短く表にすると、説明がスムーズです。

区分 指標 米ドル(年) 米ドル(月) 日本円(月)
雇用主保険(単身) 総保険料平均 8,951 約746 約116,000円
雇用主保険(単身) 本人拠出平均 1,368 約114 約17,800円
雇用主保険(家族) 総保険料平均 25,572 約2,131 約332,000円
雇用主保険(家族) 本人拠出平均 6,296 約525 約81,900円

※雇用主保険の米ドル年額はKFF、為替はUSD/JPY履歴から近似で換算しています。

アメリカ医療保険 月額 日本円と雇用主保険の保険料

雇用主保険が“平均”の議論でよく使われる理由は、アメリカの非高齢者の多くが勤務先経由で保険に入っているためです。ただ、医療現場の説明で重要なのは「保険料を払っているのに、受診でさらに多額が出ていく」構造が日本より見えやすい点です。KFFの同調査では、単身カバーの一般的な年間自己負担(deductible)の平均が1,787ドルと記載されており、保険料とは別に“まず自己負担で払う枠”があることを示しています。これは、日本の「原則3割負担」だけをイメージしている患者・家族にとって、理解の落とし穴になります。

また、雇用主保険ではプラン形態(PPO、HMO、HDHP/SOなど)によっても“月額と自己負担のバランス”が変わり、PPOは平均保険料が全体平均より高い傾向が示されています。KFFは2024年における加入プラン構成としてPPOが48%などの内訳も示しており、「患者が自由度(ネットワーク外)を求めるほど保険料が上がりやすい」構造を説明しやすい材料になります。医療従事者が渡航者や駐在員家族に助言する際は、保険料だけでなくネットワーク制限(in-network/out-of-network)で請求額が跳ねる点をセットで伝えるとトラブルが減ります。

参考)https://www.77bank.co.jp/kawase/usd2025.html

アメリカ医療保険 月額 日本円とACAの平均

個人加入(ACAマーケットプレイス)の“平均月額”は、雇用主保険よりも州差・年齢差が大きく、さらに補助金(APTC)で「支払う月額」と「補助金前の保険料」が別物になります。2025年のマーケットプレイスでは、ベンチマーク(第二位の低価格シルバー)保険料が州により大きく幅がある、という分析が報じられています。加えて、補助金を受けている加入者の“支払う保険料”は平均で低く抑えられている、という指摘もあります。つまり「ACAの月額は○円」と一言で言うより、「補助金の有無で別世界」という言い方の方が、臨床現場の説明として誤解が少ないです。

意外と見落とされるのが、ACAは“加入できる時期”が原則として限定される点です(Open Enrollmentや、転居・失職などのSpecial Enrollment)。医療者が直接制度案内をする場面は少ない一方で、海外から来た研究者・留学生・帯同家族が「今すぐ入れる保険」を探して医療機関に相談することがあります。そういうときは、月額の話だけでなく「加入経路(雇用主、マーケットプレイス、短期保険など)で給付や適用範囲が変わる」前提を先に置くと、無駄な期待を抑えられます。州別のベンチマーク保険料データ自体はKFFの指標ページにまとまっています(現場資料にするなら、該当州の数値をそこから引用して提示すると監査的にも安全です)。

参考)https://www.boj.or.jp/statistics/market/forex/fxdaily/fxlist/fx251225.pdf

アメリカ医療保険 月額 日本円とCOBRAの保険料

離職・休職後のCOBRAは、検索ユーザーが「高い」と感じやすい代表格で、医療従事者の相談窓口でも話題になりやすい領域です。ポイントは、COBRAが“雇用主保険を継続できる”一方で、保険料は原則として「プラン総額+手数料」を本人が払う形になり得ることです。米国労働省(U.S. Department of Labor)のCOBRA説明では、適格者が支払う保険料はプランコストの最大102%まで求められる可能性があるとされています。これにより、現役時代に給与天引きで見えていた“本人拠出”から、突然“総額負担”に切り替わったように感じ、月額が急騰したと誤解・ショックが起こります。

臨床現場の実務としては、治療継続が必要な患者ほど「保険を切らしたくない」ためCOBRAに流れやすいのですが、ここで家計が詰むケースが出ます。雇用主保険の家族総保険料平均(25,572ドル/年)をベースにすると、月額約2,131ドル(約33万円/月)規模になり得るため、医療費そのものより“保険料での受療抑制”が起きやすいのが現実です(もちろん実額は勤務先・プランにより上下します)。医療ソーシャルワーカーや国際患者担当と連携し、収入変動がある場合はACA補助金の適用可能性や、支払い計画(financial assistance)等を早めに検討するのが現場対応として合理的です。

参考)Continuation of Health Coverag…

アメリカ医療保険 月額 日本円と日本の公的医療保険の違い

日本の公的医療保険は、国民皆保険を基本として、原則として自己負担が3割(年齢・所得で例外あり)という“入口の分かりやすさ”があります。厚生労働省の資料でも「国民全員を公的医療保険で保障」「医療機関を自由に選べる(フリーアクセス)」などの特徴が整理されています。これに比べると、アメリカは保険の入口(加入経路)から複数で、ネットワークや免責(deductible)など“使い方のルール”が医療費に直結します。医療従事者向けの記事としては、ここを単なる制度比較で終わらせず、「説明の型」に落とすと実務で役立ちます。

独自視点として、現場説明の“順番”を固定する方法が有効です。たとえば、海外患者・駐在員に対しては、①月額(premium)は誰が払う?(会社/本人/補助金)②免責(deductible)はいくら?いつ満たす?③ネットワークは?(in-network外だとどうなる?)④上限(out-of-pocket maximum)は?——の順に聞くと、短時間でも重要情報が揃いやすくなります。KFF調査は自己負担上限(out-of-pocket maximum)がほぼ全員に設定されるが水準は幅がある、という点も述べており、患者説明で「上限がある=安心」ではなく「上限までが高い」可能性も示せます。日本の“高額療養費”の感覚で話すとズレることがあるため、あえて用語を英語のまま示し、患者の保険証券(Summary of Benefits)で確認する導線を作るのが安全です。

現場で使える日本語の権威性リンク(日本の制度の根拠確認に有用・国民皆保険の特徴の部分)

厚生労働省「日本の国民皆保険制度の特徴」(国民皆保険・フリーアクセス等の要点)

参考)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001255211.pdf



アメリカ医療の夢と現実