クエンメット配合錠の基本情報
クエンメット配合錠の有効成分と製剤特性
クエンメット配合錠は、クエン酸カリウム231.5mgとクエン酸ナトリウム水和物195.0mgを配合した処方箋医薬品です。本剤は日本薬品工業株式会社が製造販売しており、2017年12月から販売が開始されました。
製剤の外観は白色の割線入りフィルムコーティング錠で、直径10.2mm、厚さ5.9mm、重量565.0mgの規格となっています。識別コードは「NPI 106」が刻印されており、調剤時の取り違え防止に役立ちます。
添加剤として無水クエン酸、結晶セルロース、部分アルファー化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタン、カルナウバロウが含まれています。これらの添加剤により、錠剤の安定性と服用性が確保されています。
クエンメット配合錠の効能効果と作用機序
クエンメット配合錠の効能効果は以下の2つです。
作用機序について、クエン酸カリウムとクエン酸ナトリウムは体内で代謝され、炭酸水素塩を生成します。この炭酸水素塩が尿を中和することで、酸性に傾いた尿のpHを上昇させ、尿酸の溶解度を高めます。
痛風・高尿酸血症患者では、尿が酸性化することで尿酸結晶が析出しやすくなり、尿路結石のリスクが高まります。クエンメット配合錠により尿pHを6.2~6.8の範囲に調整することで、尿酸の溶解度が向上し、結石形成を予防できます。
アシドーシスの改善においては、体内の酸塩基平衡を正常化する作用があります。特に代謝性アシドーシスの患者において、血液ガス分析結果に基づいて適切な投与量を設定することが重要です。
クエンメット配合錠の用法用量と投与量調整
クエンメット配合錠の用法用量は効能により異なります。
痛風並びに高尿酸血症における酸性尿の改善
- 通常成人1回2錠を1日3回経口投与
- 尿検査でpH6.2から6.8の範囲に入るよう投与量を調整
アシドーシスの改善
- 原則として成人1日量12錠を3~4回に分けて経口投与
- 年齢、体重、血液ガス分析結果などから患者の状況に応じ適宜増減
投与量調整において最も重要なのは、定期的な尿pH測定です。痛風・高尿酸血症患者では、尿pHが6.2未満の場合は投与量を増量し、6.8を超える場合は減量を検討します。過度のアルカリ化は感染リスクを高める可能性があるため、適切な範囲での管理が必要です。
薬物動態データによると、12錠投与時のクエン酸の最高血中濃度(Cmax)は52.3μg/mL、最高血中濃度到達時間(Tmax)は0.9時間、半減期(t1/2)は1.2時間となっています。比較的速やかに効果が発現し、短時間で代謝されることが特徴です。
クエンメット配合錠の副作用と注意事項
クエンメット配合錠の副作用は以下のように分類されます。
消化器系副作用(頻度:0.1~2%未満)
- 胃不快感、下痢、悪心、胸やけ、嘔吐、食欲不振
肝機能関連(頻度:0.1~2%未満)
- AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇
腎機能関連(頻度:0.1~2%未満)
- 血中クレアチニン上昇、BUN上昇
その他の副作用
特に注意すべき相互作用として、ヘキサミンとの併用は避ける必要があります。ヘキサミンは酸性尿下で効果を発現するため、尿pHの上昇により効果が減弱する可能性があります。
また、水酸化アルミニウムゲルとの併用時は、2時間以上の投与間隔を置くことが推奨されています。クエン酸がアルミニウムとキレート化合物を形成し、アルミニウムの吸収を促進させる報告があるためです。
クエンメット配合錠の調剤上の注意点と粉砕時の対応
クエンメット配合錠の調剤において、医療従事者が注意すべき点がいくつかあります。
識別コードによる確認
本剤の識別コードは「NPI 106」であり、類似した外観の他剤との取り違えを防ぐため、調剤時には必ず確認が必要です。特に同じ保管場所にある類似薬との混同事例が報告されているため、調剤者の習熟度に関わらず、ダブルチェック体制の構築が重要です。
粉砕時の注意事項
嚥下困難患者に対して粉砕投与を検討する場合、クエンメット配合錠は吸湿性があるため、粉砕は推奨されません。粉砕が必要な場合は、クエンメット配合散への変更を検討することが適切です。
粉砕後の安定性試験では、吸湿により品質が低下する可能性が示されており、粉砕後は速やかに服用するか、適切な保存条件下で管理する必要があります。
保存条件
室温保存で有効期間は3年間です。湿度の高い環境では品質劣化の可能性があるため、適切な保存環境の維持が重要です。
患者指導のポイント
- 尿pHの定期的な測定の重要性
- 水分摂取量の適切な維持
- 副作用症状の早期発見と報告
- 他剤との相互作用に関する注意喚起
これらの調剤上の注意点を遵守することで、クエンメット配合錠の安全で効果的な使用が可能となります。