ナテグリニド販売中止で知る代替薬と患者対応の全知識

ナテグリニド販売中止と代替薬への適切な切り替え

📋 この記事のポイント3選
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先発品がすべて販売中止へ

スターシス錠(アステラス)は2024年10月に販売中止。ファスティック錠(EAファーマ)も製造販売中止を予定しており、経過措置期間の終了は2027年3月末見込み。

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腎機能障害患者には禁忌

ナテグリニドは透析を必要とする重篤な腎機能障害患者には禁忌。同じグリニド薬でもレパグリニドは透析患者にも使用可能で、代替時の禁忌確認が必須です。

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HbA1c改善効果はレパグリニドが上回る

米国のRCTでHbA1c低下量はレパグリニド−1.6%に対しナテグリニド−1.0%と、レパグリニドの方が有意に大きな改善を示しており、切り替えのメリットが明確です。

腎機能が正常でも、ナテグリニドを食後に飲むと低血糖リスクが上がります。 medical.itp.ne(https://medical.itp.ne.jp/kusuri/shohou-20120000001478/)

ナテグリニド販売中止の背景:スターシスとファスティックに何が起きたか

ナテグリニドの先発品であるスターシス錠(アステラス製薬)は、2024年10月に正式に販売中止が発表されました。 これに続き、もう一方の先発品であるファスティック錠(EAファーマ/持田製薬)も製造販売中止の方針が公表され、経過措置期間の終了は2027年3月末を見込んでいます。 つまり、ナテグリニドの先発品が2品とも市場から消えることになります。 eapharma.co(https://www.eapharma.co.jp/hubfs/medical/news/2025/FAS-H-1-PM-04386.pdf)

販売中止の直接的な理由として「諸般の事情」と各社からは案内されていますが、背景には医薬品の収益性低下や、後発品への移行加速という構造的な課題があります。 実際、2021年から2023年にかけてナテグリニド後発品の供給不足が続いており、出荷調整の繰り返しが市場全体の不安定化につながっていました。 jds.or(https://www.jds.or.jp/uploads/files/document/info/info_astellas_2024-10-01.pdf)

医療現場では「ジェネリックが2社あるから安心」と考えがちです。要注意です。

成分重複統合の動きにより、後発品はナテグリニド錠「日医工」1社のみとなる見通しです。 供給元が1社に集中することで、再び供給不足が生じるリスクは依然として排除できません。 junkgblog(https://junkgblog.com/2024/11/11-30-%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%81%8C%E8%B2%A9%E5%A3%B2%E4%B8%AD%E6%AD%A2%E3%81%A7%E4%BD%B5%E5%A3%B2%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8B%E3%81%8B%E3%81%A8%E6%80%9D%E3%81%A3.html)


参考:日本糖尿病学会によるナテグリニド供給問題に関する医師向け通知

日本糖尿病学会「ナテグリニドの供給に関して」

ナテグリニド販売中止後の代替薬:レパグリニド・ミチグリニドとの比較

グリニド薬の中で現在使用可能なのは、ナテグリニド・ミチグリニド・レパグリニドの3種類です。 ナテグリニドが事実上消えていく中、残る2剤の違いを正確に把握しておくことが現場対応の基本です。 nanzando(https://www.nanzando.com/static/viewer/70331/HTML/index8.html)

以下に、主な特徴を整理します。

薬剤名 作用時間 透析患者 HbA1c低下効果 特記事項
ナテグリニド 短い ❌ 禁忌 −1.0% 先発品すべて販売中止
ミチグリニド 短い ⚠️ 慎重投与 参考値なし OD錠あり、α-GI配合剤あり
レパグリニド 長い ✅ 使用可 −1.6% 世界100カ国以上で承認実績

米国のRCTでは、HbA1cの低下量はレパグリニドが−1.6%、ナテグリニドが−1.0%と、レパグリニドの方が有意に大きな改善を示しました。 これはデータとして押さえておきたい数字です。 note(https://note.com/dr_ukio/n/n2ff3bde3299b)

日本人高齢2型糖尿病患者を対象にした試験では、SU薬からレパグリニドへ切り替えた際、HbA1cに有意差は出なかった一方、グリコアルブミンとGA/HbA1c比(血糖変動指標)が有意に改善しました。 血糖変動の抑制という観点で、レパグリニドは優れた特性を持ちます。 note(https://note.com/dr_ukio/n/n2ff3bde3299b)

これが条件です。腎機能低下例では、薬剤ごとの排泄特性を必ず意識してください。 note(https://note.com/dr_ukio/n/n2ff3bde3299b)


参考:グリニド薬の2026年時点での使い分けと考え方(専門医によるnote記事)

Dr.U「グリニド薬の使い方・考え方(2026年)」

ナテグリニド販売中止と腎機能障害患者への対応:見落としやすい禁忌リスク

ナテグリニドから代替薬へ切り替える際、最も注意すべき点が腎機能障害患者への対応です。 ナテグリニドは「透析を必要とするような重篤な腎機能障害のある患者」に対して禁忌です。 medical.itp.ne(https://medical.itp.ne.jp/kusuri/shohou-20120000001478/)

「どのグリニド薬も同じだろう」と思って切り替えると危険です。 ygken(https://www.ygken.com/2024/05/blog-post.html)

同じグリニド薬でも、レパグリニドは透析患者であっても使用可能であり、食後血糖の調整に活用できます。 ナテグリニドをミチグリニドに切り替える場合は慎重投与の範囲内ですが、腎機能ステージごとの用量調整が必要です。 pharm-hyogo-p(https://www.pharm-hyogo-p.jp/renewal/kanjakyousitu/r2k41.pdf)

具体的な確認フロー

  • eGFR値を事前に確認する
  • 透析中の患者にはレパグリニドを一選択として検討する
  • ミチグリニドへ変更する場合は腎機能ステージに応じた用量管理を行う
  • 切り替え後は低血糖症状の有無を2〜4週間モニタリングする

兵庫県立病院薬剤部のガイドラインでも、腎障害時にナテグリニドは禁忌と明示されています。 現場での迅速な確認に役立ちます。 pharm-hyogo-p(https://www.pharm-hyogo-p.jp/renewal/kanjakyousitu/r2k41.pdf)


参考:腎障害時における血糖降下剤の注意点(兵庫県立病院薬剤部資料)

兵庫県立病院薬剤部「腎障害時における血糖降下剤の注意点」(PDF)

ナテグリニド販売中止後の在庫管理と患者説明:医療従事者が今すぐすべき対応

販売中止が決まっている薬剤であっても、経過措置期間中は処方・調剤が継続できます。ファスティック錠の場合、2027年3月末まで経過措置期間が続く見込みです。 ただし、この期間内であっても出荷調整が再発する可能性はゼロではありません。 eapharma.co(https://www.eapharma.co.jp/hubfs/medical/news/2025/FAS-H-1-PM-04386.pdf)

早めの切り替え計画が基本です。

在庫管理の観点からは以下の点を確認しておく必要があります。

  • 📌 現在処方中の患者にナテグリニド(ファスティック・ジェネリック)が含まれていないか一覧で把握する
  • 📌 代替薬への切り替えに向けた腎機能・肝機能データを事前に確認しておく
  • 📌 患者に対し「同じ効果の別の薬に変わります」と事前に丁寧に説明し、服薬継続への不安を取り除く
  • 📌 薬局との連携で後発品在庫の状況を定期確認する

患者説明では、薬の名前が変わっても「食直前に服用する」という使い方は変わらないことを強調すると、混乱を防ぎやすいです。 レパグリニドに切り替える場合は作用時間が長くなるため、食事のタイミングに関する再説明が必要です。 nanzando(https://www.nanzando.com/static/viewer/70331/HTML/index8.html)

厳しいところですね。しかし、この準備が患者の安全を守ります。


参考:医薬品供給状況を一覧で確認できる国内データベース

DSJP 医療用医薬品供給状況データベース(ナテグリニド関連)

ナテグリニド販売中止から学ぶ:グリニド薬全体の処方戦略を見直す機会

今回のナテグリニド販売中止は、単なる1薬剤の消滅ではなく、グリニド薬全体の処方戦略を再考するきっかけとして捉えることができます。 食後高血糖を標的とした速効型インスリン分泌促進薬は、SU薬とは異なる使いどころがあり、ゼロにはなりません。 note(https://note.com/dr_ukio/n/n2ff3bde3299b)

ただし、グリニド薬の立ち位置は当初から「狙いの狭い薬」です。 膵β細胞のATPKチャネルに作用し、食直前の服薬で食後早期のインスリン分泌を補う機序は、DPP-4阻害薬GLP-1受容体作動薬が普及した現在でも、特定の患者層には有効です。 note(https://note.com/dr_ukio/n/n2ff3bde3299b)

今後のグリニド薬処方で意識したい視点。

  • 🔬 HbA1c 8%台以上の食後高血糖が顕著な患者では、レパグリニドが第一選択肢として有力
  • 🏥 透析患者・高度腎機能低下患者にはナテグリニド・ミチグリニドではなくレパグリニドを選択
  • 💊 OD錠や配合剤(ミチグリニド+ボグリボース)が必要な場面ではミチグリニドも検討
  • 📊 SU薬からの切り替え検討時も、レパグリニドは血糖変動改善の実績あり

結論はレパグリニドへの集約です。個々の患者背景に合わせた選択が前提ですが、ナテグリニドに依存していた処方パターンを持つ施設は、今がその見直しの好機です。 note(https://note.com/dr_ukio/n/n2ff3bde3299b)

レパグリニドは世界100カ国以上(2014年時点)で承認された実績を持ちます。 エビデンスの厚みも、今後の処方選択の根拠として活用できます。 shobara.jrc.or(https://www.shobara.jrc.or.jp/wpcms/wp-content/uploads/2025/04/9cafd9054ad0c06ca02faecdf53222bd.pdf)


参考:糖尿病治療ガイドにおけるグリニド薬の位置づけ(日本糖尿病学会公式PDF)

日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド」グリニド薬の項(PDF)