オシメルチニブ副作用発現時期と症状管理対策

オシメルチニブ副作用発現時期と対策

オプジーボ後のオシメルチニブ投与で52人が死亡している

この記事の3ポイント要約
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副作用の時期別発現パターン

皮膚障害・下痢は2~4週以内、間質性肺疾患は12週以内、QT延長や血液障害は数ヶ月以内に発現する傾向があり、時期に応じた観察が重要

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高リスク患者への注意

75歳以上では副作用頻度が高く、オプジーボ前治療歴のある患者では間質性肺疾患のリスクが上昇するため綿密な観察が必須

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予防的介入の効果

投与開始前からの保湿ケアや抗菌薬予防投与により皮膚障害の発現時期を延長し重症度を軽減できる可能性がある

オシメルチニブ副作用の全体像と発現頻度

オシメルチニブ(タグリッソ)はEGFR遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌に対する分子標的薬です。厚生労働省による使用成績調査では、安全性評価対象3,578例中2,079例(58.1%)に副作用が認められました。主な副作用として下痢10.9%(390例)、爪囲炎10.3%(370例)、発疹8.5%(304例)、血小板数減少6.2%(221例)、食欲減退5.8%(207例)が報告されています。

つまり約6割の患者に何らかの副作用が出現するということですね。

Grade3以上の重篤な副作用では間質性肺疾患2.4%(85例)、好中球数減少1.2%(43例)、食欲減退0.7%(24例)、下痢0.7%(25例)が確認されています。副作用発現症例2,079例中、転帰が「死亡」であった症例は52例で、その内訳は間質性肺疾患22例、肺障害4例、心不全3例などとなっています。

特に注意が必要なのは、ニボルマブオプジーボ)の前治療歴がある患者での間質性肺疾患リスクの上昇です。2016年の日本臨床腫瘍学会の緊急注意喚起では、オプジーボ投与後にEGFR-TKIを使用した患者で死亡例を含む重篤な間質性肺疾患が複数報告されています。このような前治療歴のある患者では特に綿密な観察体制が求められます。

厚生労働省のオシメルチニブ使用成績調査報告書(副作用発現頻度と詳細な内訳データ)

オシメルチニブ投与初期の副作用発現パターン

投与開始後2~4週間は皮膚障害と消化器症状が集中的に発現する時期です。皮膚障害(発疹や乾燥肌など)は服用開始後2~4週間以内に現れることが多く、ざ瘡様皮疹の発現時期は投与後1週目頃から生じ、2~3週目がピークになります。消化器症状(下痢や吐き気など)も同様の時期に現れる傾向があります。

2~4週間以内が最も注意すべき期間です。

皮膚障害については予防的介入が有効であることが報告されています。投与開始前から保湿剤の塗布を開始し、1日2回以上の保湿を行うことで皮膚障害の発現までの期間を延長できる可能性があります。特にヘパリン類似物質などのアルコールを含まない保湿剤は刺激が少なく推奨されます。また、テトラサイクリン系またはマクロライド系抗菌薬の予防投与も、ざ瘡様皮疹の発現頻度を低下させる効果が示されています。

爪囲炎は他の皮膚障害よりも遅く、投与後4~8週目頃から出現しやすくなります。国内臨床試験では爪囲炎の発現時期(中央値)が投与開始から数週間後であることが報告されており、長期投与になると重篤な爪囲炎や皮膚乾燥が増えてきます。

この時期の皮膚障害に対しては、早期からのステロイド外用剤の使用が推奨されます。皮膚障害の発現早期からステロイド外用剤を開始することで、症状の進行を抑制できる可能性があります。ステロイドの外用によって効果がみられた場合は、そのまま数週間以上継続することが多いとされています。

分子標的薬の皮膚障害対策講座(予防的スキンケアの具体的方法と保湿剤の選択)

オシメルチニブによる間質性肺疾患の発現時期

間質性肺疾患は治療開始後数週間以内に発現することが多く、特に投与開始12週間以内の発現リスクが高いとされています。添付文書には「間質性肺疾患があらわれることがあり、特に本剤投与開始12週間以内の注意」との記載があります。

12週以内が最も警戒すべき期間ということですね。

投与期間と間質性肺疾患発現時期との関連性は特定されていないため、治療初期のみならず、投与中は継続して十分な経過観察を行う必要があります。少なくとも投与開始後4週間は入院またはそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うことが推奨されています。

間質性肺疾患の初期症状として呼吸困難、咳嗽、発熱等が挙げられます。定期的な胸部画像検査の実施が必須であり、異常が認められた場合は本剤の投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うことが必要です。

本剤の投与により間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例が報告されているため、早期発見と迅速な対応が患者の予後を左右します。投与開始前には胸部CT検査及び問診を実施し、間質性肺疾患の合併又は既往歴の有無を確認した上で、投与の可否を慎重に判断することが電子添文で警告されています。

間質性肺疾患のある患者またはその既往歴のある患者では、間質性肺疾患が悪化または再発するおそれがあるため、特に注意が必要です。このような背景を有する患者への投与は慎重に判断し、投与する場合は通常よりも頻回な画像検査や問診を実施する体制を整えておくべきでしょう。

オシメルチニブ添付文書(間質性肺疾患の警告と投与開始12週間以内のリスクに関する詳細)

オシメルチニブ中期以降の副作用発現パターン

心電図異常や血液障害は数ヶ月以内に現れる可能性があります。QT間隔延長の初回発現時期の中央値は86.0日(範囲:1~169日)と報告されており、投与開始から約3ヶ月程度での発現が多いことがわかります。

3ヶ月前後での心電図チェックが重要です。

QT間隔延長のリスクがあるため、投与開始前および投与中は定期的な心電図(ECG)モニタリングと電解質の定期的な測定が推奨されています。先天性QT延長症候群、うっ血性心不全、電解質異常、またはQTc間隔を延長することが知られている薬物療法を受けている患者では、より厳格な心電図モニタリングが必要です。

血小板減少、好中球減少、白血球減少、貧血などの血液障害も投与中に発現します。これらの副作用に対しては、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行い、患者の状態を十分に観察する必要があります。Grade3以上の血小板減少は約2%、好中球減少は約1.2%で認められています。

肝機能障害については、オシメルチニブ服用開始5週以内においては肝機能に影響を及ぼす可能性が指摘されていますが、必ずしも高頻度で発現するわけではありません。しかし定期的な肝機能検査のモニタリングは継続して実施すべきです。

中期以降の副作用管理では、定期検査の結果を経時的に追跡し、ベースラインからの変化を注意深く観察することが重要です。検査値の30%以上の増悪が認められた場合は、副作用の可能性を考慮し、休薬や減量を検討する必要があります。

PMDAのオシメルチニブ審議結果報告書(QT間隔延長の発現時期中央値86日に関する詳細データ)

オシメルチニブ高齢者における副作用管理の注意点

75歳以上の高齢者では副作用の発現頻度が高くなる傾向があるため綿密な観察が必要です。若年者(65歳未満)と比較して高齢者では、治験薬の用量調整(休薬又は減量)に至った副作用の割合が高いことが報告されています。

高齢者は副作用が出やすいということです。

高齢者特有のリスク因子として、生理機能の低下、併存疾患の存在、多剤併用による薬物相互作用のリスク増加などが挙げられます。一般に高齢者では生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすいので、患者の状態を観察しながら慎重に投与することが添付文書に記載されています。

75歳以上の高齢者におけるオシメルチニブ単剤療法のエビデンスは少ないものの、実臨床データでは貧血、血小板減少、好中球減少などの血液毒性の頻度が若年者よりも高い傾向が示されています。また皮疹や下痢といった一般的な副作用についても、高齢者では重症化するリスクが高まる可能性があります。

高齢者への投与では、より頻回な臨床検査血液検査、心電図検査、胸部画像検査など)の実施が推奨されます。また患者や家族への副作用教育を徹底し、自覚症状の早期報告を促す体制を構築することが重要です。特に独居高齢者や認知機能低下のある患者では、訪問看護薬剤師によるフォローアップ体制を整えることで、副作用の早期発見につながります。

減量投与も選択肢として考慮すべきです。実臨床データでは、80mgから40mgへの減量により無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)に大きな影響を与えずに副作用を軽減できる可能性が示唆されています。高齢者で副作用が懸念される場合は、初回から減量投与を検討することも一つの戦略となります。

オシメルチニブメシル酸塩の概要(75歳以上の高齢者における副作用頻度増加の詳細)