末梢神経障害対策薬の効果と選択

末梢神経障害対策薬の選択と効果

プレガバリンは消去法で選ばれる

この記事の3つのポイント
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対策薬の限界を知る

プレガバリンやメコバラミンなど頻用される薬剤には、実は明確なエビデンスが不足している領域があります

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発症率30~80%の現実

抗がん剤による末梢神経障害は薬剤により発症率が大きく異なり、タキサン系では約80%に達します

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減量・休薬の判断基準

Grade3以上の症状では原則として抗がん剤の投与中止を検討し、患者のQOLを最優先します

末梢神経障害対策薬の処方実態と課題

 

末梢神経障害の治療において、医療現場では様々な薬剤が処方されていますが、その選択には意外な背景があります。プレガバリンリリカ)は神経障害性疼痛の治療薬として最も多く使用されていますが、日経DIの調査によると「効くというよりも、副作用が少なくて使いやすいため、消去法で選ばれている」という指摘があります。消去法という言葉が示すように、決定的な治療薬が存在しないのが現状です。

国内の臨床試験では、プレガバリンの副作用として傾眠が22.8%、体重増加が22.0%の患者に認められました。これらの副作用は患者のQOLに直接影響するため、処方時には十分な説明が必要です。特に高齢者や運転を必要とする患者では、傾眠のリスクを考慮した慎重な投与が求められます。

プレガバリンが登場する前によく使用されていたガバペンチン(ガバペン)については、「ほぼ無効という報告がある」と専門家から指摘されています。同じ作用機序を持つ薬剤でも、効果に大きな差があることが分かっています。エビデンスの蓄積が進む中で、より効果的な薬剤への移行が進んでいるのです。

プレガバリンの投与は通常1日20mgから開始し、1週間以上の間隔を空けて40mgに増量します。症状に応じて最大600mg/日まで増量可能ですが、急激な増量は副作用のリスクを高めるため避けるべきです。

段階的な増量が基本です。

末梢神経障害に対するデュロキセチンの位置づけ

デュロキセチン(サインバルタ)は、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)として、うつ病の治療薬から神経障害性疼痛の治療へと適応を広げてきました。プレガバリンで効果が不十分な場合に切り替える選択肢として、臨床現場で重要な役割を果たしています。

糖尿病性末梢神経障害に伴う疼痛に対しては、デュロキセチンの有効性を示すランダム化比較試験が4つ実施されています。これらの研究で長期的な効果も証明されており、エビデンスレベルは比較的高いといえます。通常は1日1回朝食後に20mgから開始し、1週間以上継続した後に40mgへ増量するのが標準的な投与方法です。症状に応じて最大60mgまで増量可能とされています。

化学療法による末梢神経障害に対しても、聖隷三方原病院の症状緩和ガイドによると、サインバルタ20~60mgが有効であることがRCTで確認されています。対象となるのは、痛みを伴った「しびれ痛さ」であり、単なる「痛くないしびれ」ではない点に注意が必要です。

症状の性質を見極める必要があります。

ただし、デュロキセチンの保険適用は糖尿病性の末梢神経障害のみで、化学療法誘発性末梢神経障害に対する使用は保険適応外となります。処方する際には、この点を患者に説明し、同意を得ておくことが重要です。

保険診療の範囲を超える可能性があります。

副作用としては、悪心、傾眠、めまいなどが報告されており、特に投与開始初期には注意深い観察が必要です。離脱症状のリスクもあるため、中止する際には漸減することが推奨されています。

末梢神経障害におけるメコバラミンの実際の効果

メコバラミンメチコバール)は、ビタミンB12製剤として末梢神経障害の治療に広く使用されています。神経の核酸・蛋白合成を促進し、軸索再生や髄鞘形成を促すことで、傷ついた末梢神経を修復する作用があるとされています。他のビタミンB12製剤と比較して、神経組織への移行性が優れている点が特徴です。

しかし、末梢神経障害に対するメコバラミンの実際の効果については、注意深く評価する必要があります。国内の臨床試験では、1日1,500μgと1日120μg(低用量群)を比較した二重盲検試験が実施されましたが、慢性期および固定期の症例における有効性は限定的でした。急性期の症状には一定の効果が期待できるものの、慢性化した神経障害に対しては効果が不十分な場合があります。

メコバラミンの効果が出るまでには、通常2~4週間程度かかるとされています。患者によっては2~3カ月の継続投与が必要な場合もあり、即効性は期待できません。1カ月以上服用しても変化がない場合は、医師に相談して他の治療法への変更を検討すべきです。長期服用しても効果がないケースは存在します。

副作用は非常に少なく、ビタミンであるため長期投与も安全とされていますが、効果がないのに漫然と処方を継続することは避けるべきです。効果判定を適切に行い、必要に応じて他の治療薬への切り替えを検討する姿勢が求められます。

無駄な投薬は医療費の増加にもつながります。

厚生労働省のセルフメディケーション推進に関する資料では、メコバラミンの血液・髄液中への移行性や生化学的特性について詳しく解説されています

末梢神経障害予防薬としての牛車腎気丸の評価

漢方薬の牛車腎気丸は、抗がん剤による末梢神経障害の予防薬として一部の医療機関で使用されていますが、そのエビデンスには注意が必要です。特にオキサリプラチンやパクリタキセルなどの抗がん剤投与時に併用されることがありますが、2023年版の「がん薬物療法に伴う末梢神経障害診療ガイドライン」では重要な推奨が示されています。

白金製剤由来の末梢神経障害症状の予防として、牛車腎気丸を投与しないことが提案されています(推奨の強さ:4B)。

つまり弱い反対推奨です。

結腸癌術後補助化学療法時の臨床試験では、牛車腎気丸によるオキサリプラチン末梢神経障害の軽減効果は証明できませんでした。期待されていた効果が実証されなかったのです。

ただし、一部の研究では急性の冷感過敏症状に対して血流量を増加させる効果が報告されています。東和薬品の資料によると、タキサン系薬剤に対する予防効果は期待しにくいとされています。漢方薬だから副作用がないという誤解も問題です。

牛車腎気丸を使用する場合、効果が現れるまでには数週間から数カ月かかるのが一般的です。1カ月程度服用しても効果が見られない場合は、一度服用を中止して医師に相談することが推奨されます。エビデンス不足の中での処方は慎重であるべきです。

DIクイズの事例では、オキサリプラチン治療中に牛車腎気丸が処方されるケースが紹介されていますが、現在のガイドラインに照らすと、その有効性には疑問符が付くことになります。最新のエビデンスを常にアップデートする必要があります。

末梢神経障害の発症率と減量・休薬基準

抗がん剤による末梢神経障害(CIPN)の発症率は、薬剤の種類によって大きく異なります。全体としては抗がん剤治療を受ける患者の30~40%に発生するとされていますが、薬剤によって頻度は大きく変動します。

統計を知ることが重要です。

タキサン系抗がん剤では特に発症率が高く、乳がん患者を対象とした研究では79.1%もの患者にCIPNが発生したという報告があります。中等度~重度の末梢神経障害に限定しても27.8%に達します。約8割の患者が何らかの神経障害を経験することになるのです。一方、ビンカアルカロイド類似体では、発症までの期間が中央値で11日と非常に短く、半数以上が2週間以内に症状が出現します。

早期発見が重要です。

化学療法後の末梢神経障害有病率は、治療後最初の1カ月で68%、3カ月で60%、6カ月以上経過しても30%の患者に症状が残存するという調査結果があります。治療終了後も症状が長期間持続する可能性を患者に説明しておく必要があります。

完全回復は困難な場合が多いのです。

減量・休薬の判断基準としては、CTCAE(有害事象共通用語規準)のGrade分類が用いられます。Grade2または3の末梢神経障害が生じた場合、Grade1以下に回復するまで休薬し、その後1段階減量して再開できるとされています。

Grade4の場合は投与中止が原則です。

XELOXレジメンでは、Grade3以上の末梢神経障害が発現した場合、L-OHPを休薬してGrade1以下に軽減後、1回目であれば100mg/m²に減量して投与再開します。2回目であれば85mg/m²に減量するという具体的な基準が示されています。QOLへの影響が大きいGrade3以上では、該当薬剤の中止も検討すべきです。患者の生活の質を最優先に考える必要があります。

消化器癌治療の広場では、各レジメンにおける末梢神経障害の具体的な減量・休薬基準が詳しく解説されています

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