第二世代セフェム内服の特徴と適応症使い分け

第二世代セフェム内服の特徴と使い分け

第二世代セフェムの吸収率は68%だけだが第三世代より有効

この記事の3つのポイント
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バイオアベイラビリティの優位性

第二世代セフェム内服薬は68%の吸収率を持ち、第三世代の約20%と比較して3倍以上の体内利用効率を実現

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PEK菌への適応

インフルエンザ菌やモラクセラなど呼吸器感染症の主要病原体に有効で、市中感染症の第一選択となる場面が多い

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腎機能調整の重要性

腎排泄型のため高齢者や腎機能低下患者では投与間隔の調整が必須、初回量は減量不要という原則を守る

第二世代セフェム内服の主な薬剤と特性

第二世代セフェム内服薬には、セフロキシムアキセチル(オラセフ)、セフォチアムヘキセチル、セファクロルケフラール)などがあります。これらの薬剤は第一世代セフェムと比較してグラム陰性桿菌への抗菌力が増強され、特にインフルエンザ菌、大腸菌、モラクセラ・カタラーリスなどのPEK菌に対して良好な活性を示します。

第一世代セフェムが主に黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などのグラム陽性菌を標的とするのに対し、第二世代ではグラム陰性菌のカバー範囲を広げた設計になっているのが特徴です。

つまり呼吸器感染症に有効ということですね。

セフロキシムアキセチルのバイオアベイラビリティは約68%と報告されており、第三世代経口セフェムの約20%前後と比較すると3倍以上の吸収率を誇ります。この高い体内利用率が、臨床効果の信頼性につながっているわけです。

セファクロルはバイオアベイラビリティが約90%程度と非常に高く、特に扁桃炎に対する有効率が高いという特徴があります。第一世代セフェムに近い性質を持ちながらも、やや広域のスペクトラムを持つため、皮膚感染症から呼吸器感染症まで幅広く使用されます。一方でインフルエンザ菌への活性は他の第二世代と比較するとやや劣る点に注意が必要です。

【感染症内科医監修】今すぐ役立つ「抗菌薬の種類」ガイド – Doctor’s Vision

このリンクでは、第二世代セフェムを含むセフェム系抗菌薬全般の分類と使い分けについて、感染症内科医の監修のもと詳しく解説されています。

第二世代セフェムは第一世代と第三世代の中間的な位置づけとされることが多いですが、「中途半端な存在」というわけではありません。むしろ市中感染症において、不必要に広域な第三世代を使わずに済む選択肢として、抗菌薬適正使用(AMS)の観点から重要な位置を占めています。

各薬剤の投与回数も異なり、セフロキシムアキセチルは1日2回投与が可能で服薬アドヒアランスの向上に貢献します。セファクロルは1日3回投与が基本ですが、血中濃度の維持には効果的です。こうした投与設計の違いも処方時の選択基準になります。

第二世代セフェムの適応症と使い分けの実際

第二世代セフェム内服薬は、軽症から中等症の市中感染症に広く使用されます。具体的には呼吸器感染症(急性気管支炎、肺炎、副鼻腔炎)、尿路感染症、皮膚軟部組織感染症などが主な適応となります。

呼吸器感染症では、インフルエンザ菌やモラクセラ・カタラーリスといった起炎菌が想定される場合に有効です。どういうことでしょうか?

これらの菌は市中肺炎や急性増悪を起こした慢性気管支炎の原因菌として頻度が高く、第一世代セフェムではカバーしきれない場面があるためです。第二世代セフェムならこれらの菌をカバーしながら、不必要に広域な抗菌薬の使用を避けられます。

結論は適切なスペクトラムの選択です。

尿路感染症においては、大腸菌やプロテウス属など一般的な尿路病原菌に対して有効です。ただし複雑性尿路感染症や緑膿菌が疑われる場合には適応外となります。

基礎疾患のない単純性尿路感染症が対象です。

皮膚軟部組織感染症では、黄色ブドウ球菌やレンサ球菌に加えて、やや広域のカバーが必要な場合に選択されます。蜂窩織炎や丹毒などで第一世代セフェムの効果が不十分な場合の次の選択肢になることがあります。

耳鼻科領域では、急性中耳炎や副鼻腔炎に対してセフロキシムアキセチルが積極的に選択される場面があります。小児の急性中耳炎ガイドラインでは、ペニシリン系抗菌薬の次の選択肢として第二世代セフェムが位置づけられており、特にペニシリンアレルギーがある場合の代替薬としても重要です。

小児の溶連菌感染症等の長期投薬に適した抗菌薬は? – 日本医事新報社

このリンクでは、第二世代セフェムのバイオアベイラビリティの特性と、溶連菌感染症など長期投薬が必要な場面での使用について専門的な考察が述べられています。

胆道感染症や腹腔内感染症においても第二世代セフェムは選択肢になりますが、この場合は注射薬のセフメタゾール(CMZ)が主に使用されます。内服薬は軽症例や経口投与への切り替え時に限定されます。

嫌気性菌までカバーが必要です。

第二世代セフェムを選択すべきでない場面も理解しておく必要があります。緑膿菌感染症、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症、非定型肺炎(マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラ)などには無効であり、これらが疑われる場合は別の抗菌薬を選択します。

第二世代セフェムの吸収率と食事の影響

第二世代セフェム内服薬のバイオアベイラビリティは薬剤によって大きく異なり、これが臨床効果に直結する重要なポイントです。セフロキシムアキセチルは約68%、セファクロルは約90%と、第三世代経口セフェム(約20%)と比較して圧倒的に高い吸収率を示します。

バイオアベイラビリティとは、投与された薬物のうち実際に全身循環血中に到達して効果を発揮できる割合のことです。たとえばバイオアベイラビリティが20%の薬を100mg飲んでも、実際に体内で働くのは20mg相当にすぎません。

つまり残り80%は吸収されずに排泄されます。

第三世代経口セフェム(メイアクト、フロモックス、セフゾンなど)が「だいたいウンコになる(DU薬)」と呼ばれる理由は、この低いバイオアベイラビリティにあります。一方で第二世代セフェムは吸収率が高いため、投与量に見合った効果が期待できるわけです。

食事の影響も薬剤によって異なります。セフロキシムアキセチルは食後投与で吸収率が向上することが知られており、添付文書でも食後投与が推奨されています。食事と一緒に服用することで、胃内pHの変化や胃排出時間の延長により、薬物の安定性と吸収が改善されるのです。

牛乳摂取もセフロキシムアキセチルの体内動態に影響を与えます。牛乳に含まれるカルシウムなどのミネラルが薬物と結合して吸収を阻害する可能性があるため、服薬指導では注意が必要になります。

厳密ですね。

セファクロルは食事の影響を比較的受けにくく、空腹時でも食後でも安定した吸収が得られます。ただし最高血中濃度到達時間(Tmax)はやや変化するため、規則正しい服薬タイミングを守ることが推奨されます。

コンプライアンス向上にもつながります。

鉄剤との併用は多くのセフェム系抗菌薬で問題になります。鉄イオンとセフェム系薬剤が消化管内でキレートを形成し、吸収率が大幅に低下するためです。特に第三世代セフェムでは吸収率が1/10になるという報告もあり、併用する場合は最低でも3時間以上の間隔をあける必要があります。

経口第3世代セフェムは薬学的に「だいたいうんこ」か – 日経メディカル

このリンクでは、経口セフェム系抗菌薬のバイオアベイラビリティと食事の影響について、各薬剤の比較データとともに詳細に解説されています。

バイオアベイラビリティが低い薬剤を処方する場合、単に投与量を増やせば良いというわけではありません。保険診療で認められている用量には上限があり、また腸管への薬物曝露が増えることで下痢などの副作用リスクも高まります。初めから吸収率の高い薬剤を選択する方が合理的です。

高齢者では胃酸分泌能の低下や消化管運動の変化により、薬物吸収に個人差が生じやすくなります。このような患者群では、バイオアベイラビリティの高い第二世代セフェムの方が安定した効果が期待できる場合があります。

個別化が大切ですね。

第二世代セフェムの腎機能低下時の用量調整

第二世代セフェム内服薬は主に腎臓から排泄される腎排泄型の抗菌薬であり、腎機能低下患者では血中濃度が上昇して副作用リスクが高まるため、用量調整が必須です。高齢者では加齢に伴う腎機能低下が避けられないため、特に注意が必要になります。

腎機能の評価にはクレアチニンクリアランス(CCr)や推算糸球体濾過量(eGFR)が用いられます。どういうことなのか?

これらの指標により、患者の腎臓がどの程度薬物を排泄できるかを推定し、それに応じて投与量や投与間隔を調整するのです。第二世代セフェムでは、CCr 50mL/min以下から調整が必要になることが多いです。

重要な原則として、初回投与量は通常量を用いるという点があります。腎機能が低下していても、感染症の初期治療では十分な血中濃度を速やかに達成する必要があるためです。初回から減量すると治療効果が不十分になる恐れがあります。

初回量は減量しないことが基本です。

2回目以降の投与では、腎機能に応じて調整を行います。調整方法には「1回量を減らす方法」と「投与間隔を延ばす方法」の2通りがあり、第二世代セフェムでは投与間隔を延ばす方が一般的です。例えば1日3回投与を1日2回や1日1回に変更します。

血液透析を受けている患者では、透析により薬物が除去されるため、透析後に追加投与が必要になる場合があります。セフロキシムアキセチルやセファクロルは透析性があるため、透析日には透析終了後に1回分を追加投与することが推奨されます。

タイミングが重要です。

腎機能低下により薬物の蓄積が起こると、中枢神経系の副作用(けいれん、意識障害など)のリスクが高まります。特にセフェム系抗菌薬は高用量や腎不全時に脳症を引き起こす可能性があるため、適切な用量調整により予防することが重要です。

高齢者における抗菌薬の考え方、使い方 経口薬編 – 日本老年医学会

このリンクでは、高齢者における経口抗菌薬の使用について、腎機能低下時の投与量調整を含めた実践的な指針が示されています。

高齢者では見かけ上のクレアチニン値が正常範囲内でも、筋肉量の減少により実際の腎機能は低下していることがあります。このため体重やBMI、年齢を考慮したCockcroft-Gault式などでCCrを推算することが推奨されます。

見た目だけでは判断できません。

肝代謝型の抗菌薬と異なり、腎排泄型では肝機能障害があっても用量調整は不要です。ただし肝腎症候群など肝機能障害に伴って腎機能も低下している場合は、腎機能に応じた調整が必要になります。

複合的な評価が求められます。

在宅医療や施設入所中の高齢患者では、定期的な腎機能モニタリングが困難な場合があります。このような状況では、最初から安全域の広い投与設計(投与間隔を長めにとるなど)を選択することで、予期せぬ副作用を回避できます。

予防的アプローチですね。

第二世代セフェムの副作用と注意点

第二世代セフェム内服薬の副作用プロファイルは比較的良好ですが、消化器症状、アレルギー反応、菌交代症などが主な注意点となります。適切な服薬指導と副作用モニタリングにより、安全性を高めることができます。

最も頻度の高い副作用は下痢や軟便などの消化器症状です。セフェム系抗菌薬は腸内細菌叢に影響を与え、有益な常在菌まで減少させてしまうためです。特に小児や高齢者では腸内細菌叢が未熟または脆弱であるため、下痢の発生頻度が高くなります。

整腸剤の併用が有効です。

抗菌薬関連下痢症(AAD)の予防として、プロバイオティクス製剤(ビオフェルミンR、ラックビーなど)を併用することが一般的です。これらの製剤は抗菌薬に耐性を持つ乳酸菌株を含んでおり、腸内環境の悪化を最小限に抑えます。

同時処方を検討しましょう。

アレルギー反応には、軽度の発疹から重篤なアナフィラキシーショックまで幅広い症状があります。ペニシリン系抗菌薬にアレルギーのある患者では、セフェム系でも交差反応を起こす可能性が約5〜10%あるため、慎重投与または代替薬の選択が必要です。

β-ラクタム系抗菌薬のアレルギーは側鎖構造の類似性により決まります。セファゾリン(第一世代)にアレルギーがあっても、側鎖構造の異なるセフトリアキソン(第三世代)なら使用できる場合があります。

構造を確認することですね。

長期投与や高用量投与では、ビタミンK欠乏症による出血傾向が問題になることがあります。セフェム系抗菌薬がビタミンKを産生する腸内細菌を減少させるためです。ワーファリン服用中の患者では、抗凝固作用が増強されるリスクがあり、PT-INRのモニタリングが推奨されます。

菌交代症とは、正常細菌叢が破壊されることで、通常は問題にならない菌が異常増殖する状態です。口腔カンジダ症や偽膜性腸炎(クロストリジウム・ディフィシル感染症)が代表例で、長期投与や広域抗菌薬の使用で発生リスクが高まります。

オラセフ錠250mg – くすりのしおり

このリンクでは、第二世代セフェムの代表的薬剤であるセフロキシムアキセチルの副作用情報が患者向けにわかりやすくまとめられています。

稀ですが重篤な副作用として、急性腎障害、肝機能障害、血液障害(無顆粒球症、血小板減少など)、横紋筋融解症などが報告されています。これらは早期発見・早期対応が重要であり、定期的な血液検査によるモニタリングが必要な場合があります。

ピボキシル基を持つ抗菌薬(セフテラムピボキシルなど一部の第三世代セフェム)では、低カルニチン血症に伴う低血糖や痙攣のリスクがあります。第二世代セフェムのセフロキシムアキセチルやセファクロルはピボキシル基を持たないため、この点では安全性が高いです。

妊婦への投与は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ行います。セフェム系は比較的安全性が高いとされますが、添付文書では「有益性投与」の位置づけです。授乳中は乳汁中への移行が報告されており、服薬中の授乳は避けるか、授乳を中止するかの判断が必要になります。

安全性は相対的です。

小児では体重あたりの投与量計算が必要です。セファクロルは体重20kg以上の小児で成人と同量を使用できますが、20kg未満では体重あたりの用量(通常20〜40mg/kg/日)で計算します。

過量投与にならないよう注意が必要です。

副作用が疑われる場合の対応として、まず投与を中止し、症状の経過観察または対症療法を行います。重篤な症状(呼吸困難、血圧低下、意識障害など)ではアナフィラキシーの可能性があり、アドレナリン投与などの緊急対応が必要になります。

迅速な判断が求められます。