デヒドロコール酸効果と作用機序の臨床活用

デヒドロコール酸の効果と作用機序

アルカリ性注射液との混注でデヒドロコール酸が析出します

この記事の3つのポイント
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速効性の胆汁分泌促進

デヒドロコール酸は1~3分で効果が発現し、10~30分で最高に達する強力な水利胆剤です

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重大な副作用に注意

ショック症状として血圧低下、喉頭痙攣、呼吸困難などが報告されており、投与時の観察が必須です

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MRCP撮影での応用

画像診断時に投与することで胆道描出能が約79%の症例で向上し、診断精度が改善されます

デヒドロコール酸の基本的な作用機序と胆汁分泌効果

 

デヒドロコール酸は、肝細胞に直接作用して胆汁分泌機能を亢進させる強力な速効性の胆汁分泌促進薬です。分子式C24H34O5を持つステロイド核の化合物で、コール酸を酸化することで製造されます。

この薬剤の最大の特徴は、胆汁量を増加させる一方で、胆汁中の固形分の増加を伴わない点にあります。

したがって低比重の胆汁分泌が起こるのです。

これを「水利胆作用」と呼びます。

効果発現は非常に速やかです。静脈内投与後1~3分で作用が現れ始め、10~30分で効果が最高に達し、その後徐々に減弱していきます。

つまり即効性があります。

具体的な作用メカニズムとしては、デヒドロコール酸の抱合体が胆汁の浸透圧を上昇させることで、胆汁中の水分を増加させます。この仕組みにより、胆道内の胆汁量が増え、胆汁の流れが改善されるわけです。

臨床的には、この速効性と強力な胆汁分泌促進作用を活かして、胆道系疾患や胆汁うっ滞を伴う肝疾患の治療に用いられています。胆道内の胆汁流を改善することで、胆汁うっ滞による症状の緩和が期待できます。

KEGGデータベースのデヒドロコール酸情報には、薬効薬理の詳細な記載があり、作用機序の理解に役立ちます。

デヒドロコール酸の臨床適応と用法用量の実際

デヒドロコール酸の適応疾患は、胆道(胆管・胆のう)系疾患及び胆汁うっ滞を伴う肝疾患における利胆です。具体的には、胆管炎、胆嚢炎、胆石症、肝内結石症、先天性胆道拡張症術後などの症例に使用されます。

用法用量は、デヒドロコール酸として通常成人1日100~1,000mgを1~3日間隔で静脈内注射します。

なお、年齢や症状により適宜増減が必要です。

投与間隔が重要ですね。

投与方法については注意が必要です。本剤を20%グルコース液に混注し、緩徐に静脈内投与します。

急速投与は避けなければなりません。

投与速度が速すぎると、副作用のリスクが高まる可能性があるためです。

MRCP撮影時の応用では、1000mgを静注し、投与後30分でMRCPを撮像することで、胆道描出能の向上が得られることが報告されています。千葉大学の研究では、14症例中11症例(約79%)で描出能が向上しました。

高齢者への投与では特に注意が必要です。一般に高齢者では生理機能が低下しているため、用量並びに投与間隔に留意する必要があります。

慎重な投与が原則です。

また、肝機能障害のある患者では、胆汁分泌能が低下している可能性があるため、効果が十分に得られない場合があります。投与前に肝機能を評価しておくことが重要です。

投与時には、静注による苦味を感じることがあるため、患者への事前説明が望ましいでしょう。これは副作用ではありませんが、患者の不快感を軽減するための配慮として大切です。

デヒドロコール酸の重大な副作用と禁忌事項

デヒドロコール酸の最も重大な副作用は、ショック症状です。頻度は不明ですが、血圧低下、喉頭痙攣、呼吸困難、全身硬直、痙攣、頻脈などが報告されています。

投与中は十分な観察が必須です。

その他の副作用として、消化器症状(悪心・嘔吐、軟便、下痢)、過敏症状(発赤、全身掻痒感、発疹)、全身症状(悪寒、発熱、咳嗽、頭痛、不快感)などがあります。これらの症状が現れた場合には、投与を中止し適切な処置が必要です。

禁忌については、以下の患者には投与してはいけません。

まず、完全胆道閉塞のある患者です。

本剤により分泌増量した胆汁は胆道内圧を上昇させ、疼痛を起こし、かえって病像を悪化させる可能性があります。

急性期の肝・胆道疾患のある患者も禁忌です。肝細胞障害時には、肝血流量や胆汁流出量を著しく増加させる本剤の使用は、肝細胞の疲憊を増強させる恐れがあります。

危険ですね。

重篤な肝障害のある患者にも投与できません。肝機能が著しく低下している場合、胆汁分泌を促進させることで肝臓への負担が増大する可能性があるためです。

気管支喘息やアレルギー性疾患のある患者も慎重投与が必要です。アレルギー反応を起こしやすい体質の方では、ショック症状のリスクが高まる可能性があります。

投与部位の注意として、静脈内投与の際に薬液が血管外に漏れると、注射部位に疼痛、発赤、腫脹などの炎症を起こすことがあります。

慎重に投与してください。

PMDAの添付文書情報では、禁忌と副作用の詳細が記載されており、投与前の確認に有用です。

デヒドロコール酸と他剤の配合変化と混注禁忌

デヒドロコール酸の重要な注意点として、配合変化の問題があります。本剤はアルカリ性であるため、酸性の注射液と混合すると析出が起こります。特にビタミンB1注射液やビタミンC注射液などとの混注は絶対に避けなければなりません。

配合変化が起こる理由は、pHの変化です。アルカリ性のデヒドロコール酸と酸性の注射液を混合すると、pHが下がってデヒドロコール酸が析出してしまいます。

析出すると薬効が失われます。

実際の医療事故事例として、フィジオとデヒドロコールを混注してしまった事例が厚生労働省の資料で報告されています。この事例では、混注禁止の知識が不足していたことが原因でした。

重大ですね。

混注を避けるべき薬剤としては、以下のものが挙げられます。

  • ビタミンB1塩酸塩注射液
  • ビタミンC注射液(アスコルビン酸
  • その他の酸性注射液

調剤時の対策として、薬剤師は処方内容を確認し、混注禁忌の薬剤が同時に処方されている場合は疑義照会を行う必要があります。また、投与時には別々のルートで投与するか、時間をずらして投与する配慮が必要です。

看護師による投与時のチェックポイントとしては、薬剤のラベルを必ず確認し、混注しないよう注意することが重要です。特に忙しい時間帯や夜勤帯では、確認作業を怠りがちになるため、より慎重な対応が求められます。

電子カルテシステムに混注禁忌のアラート機能を設定しておくことも、医療安全の観点から有効な対策です。

システム的に防ぐ仕組みが大切です。

デヒドロコール酸のMRCP撮影における活用と画像診断効果

近年、デヒドロコール酸の新しい臨床応用として、MRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)撮影時の胆道描出能向上が注目されています。MRCPは非侵襲的な画像検査ですが、空間分解能の限界から末梢胆管の評価が困難な場合があります。

千葉大学の研究グループが行った臨床研究では、MRCP撮影前にデヒドロコール酸1000mgを静注し、投与後30分で再度MRCPを撮影しました。その結果、14症例中11症例(78.6%)で胆道の描出能が向上しました。

効果は明らかです。

具体的な改善内容としては、肝内胆管の描出が14症例中10症例(71.4%)で良好となり、胆嚢は6症例全例(100%)で描出が改善しました。また、胆石の描出も4症例中3症例(75.0%)で向上し、診断精度の改善に寄与しました。

胆道領域の体積測定でも有意な増加が認められています。投与前後で胆道体積を比較したところ、13症例(92.9%)で増加し、統計学的にも有意な差(p=0.007)が確認されました。

つまり客観的データです。

この方法が特に有用なのは、胆道再建術後の患者です。胆管空腸吻合などの手術を受けた患者では、内視鏡的なアプローチが困難なため、非侵襲的に吻合部の状態を評価できるMRCPは非常に価値があります。デヒドロコール酸投与により吻合部の描出が向上すれば、狭窄や結石の評価がより正確に行えます。

ただし、効果が得られにくい症例もあります。投与前から胆道内に十分胆汁が満たされている症例や、胆汁性肝硬変で肝機能が著しく低下している症例では、描出能の改善が認められませんでした。

適応を選ぶ必要があります。

撮影プロトコルとしては、投与前のMRCP撮影、デヒドロコール酸1000mgの緩徐な静注、投与後30分での再撮影という流れが推奨されています。

検査時間は約60~70分程度です。

日本胆道学会雑誌の原著論文には、MRCP撮影時のデヒドロコール酸投与の詳細なプロトコルと症例画像が掲載されており、実施の際の参考になります。

この画像診断への応用は、胆汁分泌能の評価としても利用できる可能性があります。デヒドロコール酸投与後に胆汁量が増加しない場合、肝機能の低下を示唆する所見として捉えることができるでしょう。

診断の幅が広がります。




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