ロイコトリエン受容体拮抗薬の商品名と使い分け一覧

ロイコトリエン受容体拮抗薬の商品名と使い分け

モンテルカストは1日1回の服用でも、実はプランルカストと鼻閉改善効果に大差はありません。

この記事の3つのポイント
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主要な商品名を把握

プランルカスト(オノン)、モンテルカスト(キプレス・シングレア)、ザフィルルカスト(アコレート)の3系統が存在し、現在日本ではプランルカストとモンテルカストの2種類が処方可能

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服用回数と効果の違い

プランルカストは1日2回、モンテルカストは1日1回の服用だが、臨床効果においては両者に明確な優劣はなく、患者のアドヒアランスに応じた選択が重要

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適応と安全性の確認

気管支喘息には両剤とも適応があるが、成人のアレルギー性鼻炎にはモンテルカストのみ適応があり、小児用製剤の選択や副作用モニタリングにも注意が必要

ロイコトリエン受容体拮抗薬の商品名一覧と分類

 

ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA:Leukotriene Receptor Antagonist)は、気管支喘息アレルギー性鼻炎の治療において重要な位置を占める薬剤群です。これらの薬剤は、アレルギー反応の主要なメディエーターであるロイコトリエンが受容体に結合するのを阻害することで、気道の炎症や気管支収縮を抑制します。

日本国内で使用されてきた主要な薬剤は3種類あります。プランルカスト水和物(商品名:オノン)、モンテルカストナトリウム(商品名:キプレス、シングレア)、ザフィルルカスト(商品名:アコレート)です。これらはすべてシステイニルロイコトリエン(CysLT)のCysLT1受容体を選択的に拮抗する薬剤として開発されました。

つまりロイコトリエン受容体拮抗薬ですね。

現在日本で処方可能なのはプランルカストとモンテルカストの2剤です。ザフィルルカストは劇症肝炎を含む重篤な肝機能障害のリスクが問題となり、2014年に販売中止となりました。このため医療現場では実質的に2種類の薬剤から選択することになります。

プランルカストの先発品はオノンカプセル112.5mg、オノンドライシロップ10%であり、小野薬品工業が製造販売しています。後発医薬品(ジェネリック)も多数存在し、沢井製薬のプランルカストカプセル112.5mg「サワイ」、日医工のプランルカストDS10%「日医工」などが代表的です。薬価は先発品のオノンカプセルが1カプセルあたり約34.3円、後発品はそれより安価に設定されています。

モンテルカストの先発品には、キプレス(杏林製薬)とシングレア(オルガノン)の2つのブランドがあります。これは製造販売会社の違いによる名称の差であり、主成分や添加物は同一です。剤形には錠剤(5mg、10mg)、OD錠(口腔内崩壊錠)、チュアブル錠、細粒4mgがあり、患者の年齢や嚥下能力に応じて選択できます。後発医薬品も多数のメーカーから発売されており、薬価は先発品より低く設定されています。

KEGG MEDICUSのシステイニルロイコトリエン受容体拮抗薬の商品一覧では、各製剤の詳細な情報や薬価が確認できます。

ロイコトリエン受容体拮抗薬プランルカストとモンテルカストの違い

プランルカストとモンテルカストは同じロイコトリエン受容体拮抗薬に分類されますが、いくつかの重要な違いがあります。

最も大きな違いは服用回数です。

プランルカストは1日2回(朝食後と夕食後または就寝前)の服用が必要なのに対し、モンテルカストは1日1回就寝前の服用で済みます。

服用回数が少ないということですね。

この服用回数の違いは、患者のアドヒアランス(服薬遵守)に大きく影響します。1日1回の服用で済むモンテルカストは、飲み忘れのリスクが低く、長期管理が必要な慢性疾患において有利です。特に多忙な成人や服薬管理が難しい小児患者では、この違いが治療成功の鍵となることがあります。

薬物動態の面では、モンテルカストは服用後3〜4時間で血中濃度がピークに達し、約24時間効果が持続します。半減期は約5時間ですが、受容体への結合が持続的であるため、1日1回投与で十分な効果が得られます。一方、プランルカストの半減期は約12時間であり、1日2回の投与が必要となります。

適応症にも違いがあります。プランルカストは気管支喘息のみに適応があるのに対し、モンテルカストは気管支喘息に加えて成人のアレルギー性鼻炎にも適応を有しています。ただし、モンテルカストの小児用製剤(チュアブル錠5mg、細粒4mg)は気管支喘息のみの適応であり、小児のアレルギー性鼻炎には適応がない点に注意が必要です。成人用の錠剤(10mg)およびOD錠はアレルギー性鼻炎にも使用できます。

臨床効果については、複数の研究で両剤の有効性が比較されています。鼻閉改善効果、喘息症状のコントロール、呼吸機能の改善において、両剤に明確な優劣は認められていません。日経メディカルの医師調査では、モンテルカストを第1選択とする医師がやや多いものの、プランルカストの方が効果があると感じる医師も一定数存在します。この差は個々の患者における薬剤反応性の違いを反映している可能性があります。

m3.comの薬剤師向け記事では、プランルカストとモンテルカストの詳細な比較が解説されています。

薬価の面では、先発品同士を比較すると大きな差はありませんが、後発医薬品を選択することで薬剤費を抑えることができます。医療経済的な観点からも、同等の効果が期待できる場合は後発医薬品の使用が推奨されます。

ロイコトリエン受容体拮抗薬の適応疾患と効果

ロイコトリエン受容体拮抗薬の主要な適応疾患は気管支喘息とアレルギー性鼻炎です。これらの薬剤は、ロイコトリエンD4、E4、C4などのシステイニルロイコトリエンがCysLT1受容体に結合するのを阻害することで、多面的な抗炎症作用と気管支拡張作用を発揮します。

気管支喘息においては、ロイコトリエン受容体拮抗薬は吸入ステロイド薬と並んで長期管理薬の中心的役割を果たします。ロイコトリエンは気道の平滑筋を収縮させ、血管透過性を亢進させ、粘液分泌を促進し、好酸球などの炎症細胞を気道に集積させる作用があります。これらの過程を阻害することで、喘息発作の頻度を減少させ、肺機能を改善し、気道過敏性を低下させる効果が期待できます。

気管支喘息治療ガイドラインでは、軽症持続型から中等症持続型の喘息において、ロイコトリエン受容体拮抗薬は吸入ステロイド薬の代替療法として、あるいは併用療法として位置づけられています。特にアスピリン喘息(解熱鎮痛薬による喘息発作)の患者では、ロイコトリエンが発作の主要なメディエーターであるため、ロイコトリエン受容体拮抗薬が特に有効です。

アレルギー性鼻炎に対しては、特に鼻閉(鼻づまり)の改善に優れた効果を示します。ロイコトリエンは鼻粘膜の血管透過性を亢進させ、浮腫を引き起こすことで鼻閉を生じさせます。ロイコトリエン受容体拮抗薬はこの経路を遮断することで、第2世代抗ヒスタミン薬では十分に改善しない鼻閉症状を軽減します。

鼻閉が原因の不眠も改善できますね。

実際、アレルギー性鼻炎診療ガイドラインでは、鼻閉型のアレルギー性鼻炎において、抗ヒスタミン薬とロイコトリエン受容体拮抗薬の併用が推奨されています。両薬剤は異なる作用機序を持つため、相加的な効果が期待できます。抗ヒスタミン薬がくしゃみや鼻水に効果的であるのに対し、ロイコトリエン受容体拮抗薬は鼻閉に効果的という特性があります。

効果発現までの時間については、服用開始後約1週間で効果が現れ始め、4〜8週間で効果がピークに達します。このため、即効性を期待するよりも、継続的な服用による予防的効果を重視すべき薬剤です。花粉症の季節性アレルギー性鼻炎では、症状が出現する前から服用を開始する初期療法が効果的とされています。

くまのまえファミリークリニックの解説記事では、アレルギー性鼻炎におけるロイコトリエン受容体拮抗薬の詳細な効果が説明されています。

喘息とアレルギー性鼻炎を合併している患者(One Airway, One Disease概念)では、ロイコトリエン受容体拮抗薬は両方の病態に効果を発揮するため、特に有用な選択肢となります。このような患者では、薬剤数を減らしながら上気道と下気道の両方を治療できるメリットがあります。

ロイコトリエン受容体拮抗薬の小児への適応と投与量

小児における気管支喘息治療では、ロイコトリエン受容体拮抗薬は重要な選択肢の一つです。吸入ステロイド薬と比較して経口投与であるため、吸入手技が不要で、低年齢児でも確実に投与できるという利点があります。

プランルカストの小児用製剤はオノンドライシロップ10%です。通常、小児にはプランルカスト水和物として1日量7mg/kg(ドライシロップとして70mg/kg)を朝食後および夕食後の2回に分けて、用時懸濁して経口投与します。年齢や症状により適宜増減しますが、1日最高用量はプランルカスト水和物として10mg/kg(ドライシロップとして100mg/kg)です。

小児の体重で計算すると分かりやすいですね。

例えば、体重10kgの幼児であれば、1日量は70mg(プランルカスト水和物として7mg)となり、これを朝夕2回に分けて投与します。体重20kgであれば1日140mg(同14mg)です。ドライシロップは用時水で懸濁して服用します。味は比較的飲みやすく調整されていますが、苦手な場合は少量のジュースなどに混ぜることも可能です。

モンテルカストの小児用製剤には、細粒4mgとチュアブル錠5mgがあります。細粒4mgは1歳以上6歳未満の小児に適応があり、1日1回就寝前に4mg(1包)を経口投与します。

体重や年齢による用量調節は行いません。

チュアブル錠5mgは6歳以上の小児に適応があり、同様に1日1回就寝前に5mg(1錠)を服用します。

チュアブル錠は噛んで服用できる製剤であり、水なしでも服用可能です。いちご味などのフレーバーがついており、小児の服薬コンプライアンスを向上させる工夫がされています。ただし、チュアブル錠には糖質(マンニトール、アスパルテームなど)が含まれているため、フェニルケトン尿症の患者には禁忌です。

小児気管支喘息治療ガイドラインでは、ロイコトリエン受容体拮抗薬は軽症持続型から中等症持続型の喘息において、吸入ステロイド薬の代替薬として、あるいは吸入ステロイド薬単独でコントロール不十分な場合の追加薬として推奨されています。

安全性の面では、小児においても成人と同様に比較的良好です。主な副作用は消化器症状(腹痛、下痢、嘔気)であり、発現頻度は約1〜2%程度です。重篤な副作用として、極めて稀ですが好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA、旧称Churg-Strauss症候群)の報告があります。これはロイコトリエン受容体拮抗薬による発症ではなく、ステロイド減量時に潜在していたEGPAが顕在化したと考えられています。

日本医薬情報センター(JAPIC)のモンテルカスト細粒の添付文書には、小児への投与に関する詳細な情報が記載されています。

乳児期(1歳未満)への使用については、モンテルカストは1歳以上に適応があるため使用できません。プランルカストについても、乳児への十分な臨床データが限られているため、慎重投与が必要です。

ロイコトリエン受容体拮抗薬の副作用と禁忌事項

ロイコトリエン受容体拮抗薬は全体として安全性の高い薬剤群ですが、いくつかの副作用と注意すべき禁忌事項があります。適切なモニタリングと患者教育により、これらのリスクを最小化することが重要です。

最も頻度の高い副作用は消化器症状です。下痢、腹痛、胃部不快感、嘔気などが約1〜2%の患者で報告されています。これらの症状は服用開始後の数日間で発現することが多く、多くの場合軽度で一過性です。食後の服用や服用時間の調整により軽減できることがあります。症状が持続する場合は、薬剤の変更や中止を検討する必要があります。

中枢神経系の副作用として、眠気(傾眠)、頭痛、めまいなどが約1%前後の頻度で報告されています。眠気は日中のだるさや集中力低下として自覚されることがあり、運転や機械操作を行う患者には注意を促す必要があります。モンテルカストは就寝前の服用であるため、この副作用の影響は比較的少ないと考えられます。

肝機能障害は頻度は極めて稀ですが、重大な副作用として注意が必要です。ビリルビンの上昇、AST・ALTの上昇などが報告されており、定期的な肝機能検査によるモニタリングが推奨されます。ザフィルルカスト(アコレート)は劇症肝炎を含む重篤な肝機能障害のリスクが高いことが判明し、2014年に販売中止となりました。プランルカストとモンテルカストでも肝機能障害の報告はありますが、頻度は非常に低く、適切なモニタリングにより早期発見・対応が可能です。

血液障害として、極めて稀ですが血小板減少が報告されています。手足の点状出血、あざができやすい、歯茎からの出血、鼻血が止まりにくいなどの症状がある場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、ロイコトリエン受容体拮抗薬投与中に報告される重要な副作用です。発熱、関節痛、しびれ、四肢脱力、肺の浸潤影などの血管炎症状が特徴です。ただし、これは薬剤が直接原因となって発症するのではなく、ステロイド治療を減量・中止した際に、潜在していたEGPAが顕在化したものと考えられています。好酸球数の推移と臨床症状の注意深いモニタリングが必要です。

禁忌事項として、プランルカストおよびモンテルカストに対する過敏症の既往がある患者には投与できません。また、妊婦または妊娠している可能性のある婦人に対しては、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与を考慮します。動物実験では明確な催奇形性は認められていませんが、ヒトでの十分なデータが不足しているためです。

授乳婦への投与については、プランルカストは動物実験で乳汁中への移行が確認されているため、授乳を避けることが望ましいとされています。

モンテルカストも同様に慎重投与が必要です。

葛西よこやま内科・呼吸器内科クリニックの解説では、ロイコトリエン拮抗薬の副作用について詳細にまとめられています。

相互作用については、両薬剤とも臨床的に問題となる薬物相互作用は比較的少ないですが、プランルカストはテオフィリン製剤との併用により、テオフィリンの血中濃度が上昇する可能性があるため注意が必要です。モンテルカストは主にCYP3A4、CYP2C9で代謝されるため、これらの酵素を強力に阻害または誘導する薬剤との併用時には注意を要します。

副作用モニタリングとして、定期的な肝機能検査(AST、ALT、ビリルビン)、血液検査(血小板数、好酸球数)を実施することが推奨されます。特に投与開始後の数か月間は注意深い観察が必要です。


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