異物把持鉗子と内視鏡と異物摘出と滅菌

異物把持鉗子と異物摘出

異物把持鉗子の要点(医療従事者向け)
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先端形状で成功率が変わる

W字型は平たい異物、V字型は柔らかい異物、バスケットは回収向きなど「形状の選択」が最初の分岐点。

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気道は「視野・滑脱・押し込み」がリスク

喉頭鏡下で視線を保ち、口角横から挿入して把持するなど、基本手順の徹底が安全性を左右。

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滅菌と単回使用の線引き

単回使用指定の有無を確認し、再使用器材は滅菌保証の考え方に沿って再処理フローを設計する。

異物把持鉗子の種類と先端形状と使い分け

異物把持鉗子(把持鉗子)は、内視鏡下で「切除組織の回収」や「異物の除去」に用いられ、対象物や部位に合わせて先端形状を使い分ける前提で設計されています。

実際に、先端形状の異なる複数ラインアップが用意されていること自体が「症例ごとに最適解が違う」ことを示しています。

代表的な考え方として、平たい異物(コイン、ボタン電池など)にはW字型、柔らかい異物にはV字型が向く、という整理が臨床向けに紹介されています。

参考)異物摘出|オリンパス おなかの健康ドットコム

W字型は平面を“面で”挟んで保持しやすい一方、V字型は爪(フック)を活かして形が崩れやすい異物に対応しやすい、という設計意図が読み取れます。

また、気道領域を含む異物摘出では、把持鉗子だけでなくバスケット鉗子やFogartyバルーンカテーテルなど複数デバイスを組み合わせる記載もあり、「把持できない/滑る」状況に備えた引き出しを持つことが重要です。

参考)https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsma/72/4/72_428/_pdf

意外と見落としやすいのが、鉗子の“把持力”だけでなく「異物の材質(濡れて滑る、脆い、角がある)」と「回収経路(食道入口部、声門付近など)」の相性です。

たとえば、同じ異物でも“つかむ”より“包む/囲う”ほうが安全な場面があり、バスケット型や回収ネット等の選択肢を想起できると、手技全体の安定性が上がります。

異物把持鉗子と異物摘出の適応とリスク

異物摘出は内視鏡による処置・治療の一つとして整理され、異物に合わせて把持鉗子を使い分ける、という基本方針が示されています。

「緊急摘出が必要な異物がある」という臨床背景(誤飲・誤嚥の想定)も語られており、適応判断は“時間軸”とセットで考える必要があります。

特に気道異物では、異物を把持する際の滑脱が致命的になり得るため、器具の選択と同じくらい「把持の瞬間に異物を押し込まない」動作設計が重要になります。

参考)http://www.gakkenshoin.co.jp/book/ISBN978-4-7624-4639-9/04.pdf

実際、救急蘇生の文脈では、ピンセットは滑脱して奥に押し込む危険があるため使用すべきではない、という注意喚起があります。

この指摘は、器具そのものの優劣というより「把持部形状・保持力・視野確保」が揃わない状態での把持操作が危険、という本質を突いています。

また、気道異物摘出では把持鉗子での摘出に加えて、気管支鏡(硬性/軟性)や補助デバイスを状況で選択する記載があり、単一器具に依存しない戦略が推奨される流れが読み取れます。

“意外な落とし穴”として、把持に成功しても引き抜きの途中で抵抗が増すケースがあり、異物の向き・サイズ・角の有無を見立てて回収経路を最初から設計しておくことが重要になります。

異物把持鉗子と気道とマギール鉗子の手技ポイント

気道異物の場面で頻出するのが、喉頭鏡とマギール鉗子を用いた除去で、除去できるのは「咽頭から声門までの異物」と整理されています。

さらにマギール鉗子は本来「挿管チューブの導入介助」が目的である、という背景を知っておくと、鉗子の得意領域(リング状の先端で把持する設計)を理解しやすくなります。

手順としては、喉頭展開で異物を確認したら異物から目を離さないようにし、リングハンドルに母指と環指を入れて把持し、視線を遮らないように口角横から挿入して異物を把持・除去する、という具体的な流れが提示されています。

参考)231231今さら聞けない資機材の使い方 120 マギール鉗…

この「口角横から挿入する」という一文は、単なる作法ではなく、視野確保と器具操作性(軸の干渉を減らす)を両立させるための安全設計として理解すると再現性が上がります。

除去後に声門を視認して残存異物の有無を確認し、その後に呼吸状態を再評価する、という“出口戦略”までが手技の一部として書かれている点も重要です。

参考)241117_今さら聞けない資機材の使い方_130_気道異物…

マギール鉗子の運用では、チューブ誘導時にカフ部分を把持するとカフ損傷につながる、という具体的注意点も解説されています。

参考)マギール鉗子|鉗子(5)

異物摘出でも、異物の脆さや引っかかりやすさ次第では、同様に「把持すべき場所/把持してはいけない場所」を事前にイメージしてから鉗子を入れるのが安全です。

異物把持鉗子と内視鏡のチャンネル径と選定

内視鏡用の把持鉗子は、最大外径・有効長・開き幅などの仕様が製品ごとに明記され、内視鏡のチャンネル径や有効長との組み合わせを前提に設計されています。

たとえば把持鉗子の仕様表には最大外径(例:Φ2.65mmなど)や有効長、開き幅が記載されており、「鉗子が入るか」だけでなく「目的部位まで届くか」「開いたときに十分な把持ができるか」を同時に確認する必要があります。

PMDAの製品情報でもV字型/W字型といった形状区分と最大外径・有効長などが整理されており、選定の際に公的データベースを参照できることが分かります。

現場でありがちなミスは、緊急時に“目の前の鉗子”を選んでしまい、チャンネル径は通っても開き幅が不足して把持できない、というパターンです。

参考)https://www.olympus-medical.jp/sites/default/files/2021-11/%E6%8A%8A%E6%8C%81%E9%89%97%E5%AD%90_GK4248_1100.pdf

逆に、開き幅が大きい器具を優先すると、先端の可動部が硬くなり微調整がしづらいこともあるため、異物の形状(薄い/丸い/長い)と把持点を先に決めると選定が早くなります。

“意外な実務ポイント”として、仕様表の「有効長」は挿入部の届きやすさだけでなく、術者の手元操作の余裕(取り回し)にも影響するため、狭いベッドサイドでは長尺が必ずしも扱いやすいとは限りません。

異物把持鉗子と滅菌と単回使用の独自視点

把持鉗子はディスポーザブル(単回使用)製品も拡充しており、ディスポ仕様により感染リスク低減に寄与する、という位置づけが示されています。

一方で、医療現場の滅菌保証では「単回使用または再使用可能の種別を確認する」ことが明記されており、まず“その器材がどちらに分類されるか”を取り違えないことが出発点になります。

独自視点として強調したいのは、滅菌・消毒の議論を「手順書の遵守」だけで終わらせず、異物把持鉗子の用途特性(血液・粘液・異物片の付着、関節部の汚染残り)を踏まえて再処理設計を見直すことです。

参考)https://www.jsmi.gr.jp/wp/docu/2021/10/mekkinhoshouguideline2021.pdf

たとえば取扱説明書では、用途に適したレベルの消毒または滅菌を行うこと、そして一部部品は再使用禁止(単回使用)であることが明記されており、器材セット全体で“どこまでが再使用か”を分解して管理する必要があります。

参考)https://asset.fujifilm.com/master/jp/files/2023-09/4a357d687381d15b39a0f02916b101b5/EB530P_OM_202B1230161G_08_ja_Ref.pdf

さらに単回使用として「異物の把持、回収、切除等の機械的作業に用いる」旨が書かれた製品もあり、同じ“把持鉗子”に見えても運用ルールは製品ごとに異なる点が実務上の落とし穴です。

参考)https://qx-files.yaozh.com/rbsms/250288_13B1X10023ES0014_A_02_03.pdf

再使用器材を扱う施設では、滅菌保証の考え方に沿って、包装材の管理(回数や期間の確認など)や定期交換部品の確認も含めた運用が求められます。

臨床側としては「再処理の都合で器具選択が制約される」状況も起こり得るため、ディスポ鉗子を“緊急用バックアップ”として位置付けるなど、供給と感染対策を臨床リスクと一体で設計すると破綻しにくくなります。

参考)「ディスポーザブル把持鉗子」6種類を同時発売:2023:ニュ…

参考:滅菌保証の基本(単回使用/再使用の確認、包装材や交換部品の管理の考え方)

https://www.jsmi.gr.jp/wp/docu/2021/10/mekkinhoshouguideline2021.pdf

参考:異物摘出におけるW字型/V字型把持鉗子の使い分け(平たい異物、柔らかい異物の考え方)

異物摘出|オリンパス おなかの健康ドットコム