急性胃拡張 うさぎ 症状 原因 治療

急性胃拡張 うさぎ

急性胃拡張の臨床要点(医療従事者向け)
🚨

最優先は疼痛と循環

急性胃拡張は強い腹痛と循環不全(低体温・ショック)を伴い得るため、診断の前後で鎮痛・保温・輸液の初動を遅らせない。

🩻

レントゲンで胃拡張を確認

触診とX線で拡張した胃(内容物+ガス貯留)を評価し、閉塞疑い・重症度・介入(減圧/手術)の優先度を決める。

🧪

「うっ滞」と同一視しない

消化管うっ滞の延長線にある一方、進行が速く致死的になり得る。安易な消化管運動促進薬の単独投与は避け、原因(胃炎・閉塞・ストレス)も同時に探る。

急性胃拡張 うさぎ 症状 低体温 ショック

 

急性胃拡張は「胃内容が腸へ流れず、胃が急速に膨張する状態」で、短時間で進行し得る救急疾患として扱うべきです。

臨床像は、食欲廃絶・元気消失・排便停止(または著減)に加えて、強い腹痛に関連した歯ぎしりや沈鬱が目立ちます。

重症化すると低体温やショックに陥り、生命に直結するため「冷たい」「反応が鈍い」を軽視しません。

医療従事者としての観察ポイント(問診・視診で拾う)

少し意外ですが、ウサギは「嘔吐できない」どころか、逆流を防ぐ構造のためゲップもできないとされ、胃内容の逃げ場がなくなりやすい点が重症化の背景として重要です。

この特性ゆえ、胃内容が先へ流れない状況では、食止めをしても唾液や胃液の分泌が続き、貯留液からガスが発生して膨張が止まらない、という悪循環が成立します。

参考)ウサギさん症例集 No005 低体温と急性胃拡張

急性胃拡張 うさぎ 原因 胃炎 胃潰瘍 ストレス

「毛球や異物が詰まる」イメージが強い一方で、専門家の臨床経験としては閉塞そのものは「ほとんどない」とされ、胃炎・胃潰瘍などに伴う胃の血行不良をきっかけに胃拡張へ進むことが多い、という見立てがあります。

胃壁が伸展して血行不良→蠕動低下→さらに貯留・伸展という循環が説明されており、原因探索では「胃そのものの炎症」と「循環/ストレス要因」を同時に考えます。

また、症例報告レベルでも胃炎・胃潰瘍、毛球や異物などの閉塞が原因候補として挙げられており、単一原因に固定せず鑑別を保つ姿勢が必要です。

実務で役立つリスク要因の棚卸し(飼い主に確認)

  • 直近の強いストレス(環境変化、移動、同居動物、騒音など)。​
  • 食事内容の変更や摂取量の変化(食べない期間が先行していないか)。​
  • 既往:うっ滞、胃腸疾患、痛みのある疾患(歯科、泌尿器など)→二次的に蠕動低下を招く可能性。※一般論として臨床的に重要ですが、ここでは一次ソースに基づく説明は「痛みとショックが致命的」点を優先します。​

急性胃拡張 うさぎ レントゲン 触診 診断

診断は触診とレントゲン(X線)で行うのが基本で、必要に応じて全身評価目的で血液検査も検討されます。

X線では拡張した胃とガス/内容物貯留を確認し、消化管全体(小腸・盲腸・大腸)にガスがどの程度あるかを合わせて評価すると、閉塞疑い・うっ滞・鼓腸などの鑑別に役立ちます。

実際の臨床例でも、レントゲンで急性胃拡張が疑われた段階で「迅速な処置が必要」と判断され、すぐにICUでの保温、胃カテーテルによる減圧、鎮痛、温かい輸液が実施されています。

所見の読み取りを“治療判断”に結びつけるコツ

  • 胃の拡張が顕著、かつ全身状態が悪い(低体温・沈鬱)ほど「減圧+集中管理」を前倒しで考える。
  • 触診で胃の膨満をとることは有用ですが、強い痛みやショックがある個体では過度な刺激自体がリスクになり得るため、短時間で要点だけ確認する意識が必要です。

急性胃拡張 うさぎ 治療 減圧 鎮痛 点滴

治療の根幹は、強い痛みのコントロール(鎮痛)を最優先にしつつ、循環維持(輸液)と必要なら胃内容の除去(減圧)を組み合わせることです。

専門家は、強い痛みそのものがショックを介して致死的になり得るため、鎮痛が効く前に胃を動かす薬を入れて痛みを増幅させない、という順序の重要性を強調しています。

実際の症例紹介でも、低体温例でICU保温・胃カテーテルでガスを抜く減圧・痛み止め・温かい輸液が初動として同時並行で実施され、早期受診が予後に直結する可能性が示唆されています。

減圧(胃内減圧)の選択肢と注意点(現場での整理)

「意外に大事」な薬剤観点として、消化管を動かす薬は状況により逆効果になり得るため慎重に、という注意喚起が獣医療情報として明記されています。

参考)ウサギの急性胃拡張 – 病気のはなし

そのため、少なくとも重症が疑われる段階では「鎮痛・循環・減圧」を軸に置き、漫然と“うっ滞ルーチン”へ流さない運用が安全側です。

急性胃拡張 うさぎ 予防 うっ滞 独自視点

予防は「うっ滞の予防」が急性胃拡張の予防にもつながる、という位置づけが示されており、ストレスを減らし、牧草摂取と適度な運動を整えることが柱になります。

一方で、どんなウサギでも発症し得て、発症前に予兆が乏しいこともあるため、医療従事者としては“予防”と同じくらい“発症時の搬送設計”を飼い主教育に組み込むのが実務的です。

独自視点として、院内での救急対応だけでなく「移動そのものがストレスで悪化し得るので時間をかけない」「近隣のかかりつけ医を平時から持つ」というロジスティクスが、予後に影響し得る要素として専門家から強調されています。

飼い主への指導(医療現場で使える短文化)

  • 「食べない+便が出ない+ぐったり」は様子見しない(数時間単位で悪化し得る)。
  • 体温が下がる(耳・四肢が冷たい等)は危険サインとして即受診につなげる。
  • 受診先は“うさぎ診療に慣れた病院”を平時から確認し、移動時間を最小化する。​

【参考リンク:急性胃拡張の病態(嘔吐できない特性、痛み優先、移動ストレス、予防の考え方)】

ウサギ専門医に聞く(5)ウサギの急性胃拡張 急変を防ぎ命を救…

【参考リンク:低体温を伴う症例の初動(ICU保温、胃カテーテル減圧、鎮痛、温かい輸液)】

ウサギさん症例集 No005 低体温と急性胃拡張

【参考リンク:治療の注意点(鎮痛と輸液、消化管運動促進薬が逆効果になり得る)】

ウサギの急性胃拡張 – 病気のはなし

急性胃炎と急性胃潰瘍の臨床: その分類と病因