ステロイド潰瘍 症状 胃粘膜 防御 低下

ステロイド潰瘍 症状

ステロイド潰瘍:医療従事者が押さえる要点
🩺

症状は「痛み」だけではない

黒色便・吐血・貧血など、出血のサインが初発になることがある。

⚠️

単独より併用が危ない

NSAIDs併用で潰瘍・出血リスクが上がるため、薬歴と併用薬確認が最重要。

🛡️

予防は「全員にPPI」ではない

潰瘍既往などリスクで層別化し、必要例に絞って予防戦略を組み立てる。

ステロイド潰瘍 症状:上腹部痛・黒色便・吐血

 

ステロイド潰瘍は「みぞおちの痛み」などの上腹部症状で気づくこともありますが、症状だけで確定はできず、出血兆候をセットで拾う必要があります。

上部消化管から出血すると、黒色便(タール便)が重要なサインになり、早期の検査が必要とされます。

吐血がある場合は「鮮血」だけでなく、胃酸で変色したコーヒー残渣様の嘔吐として現れることがあり、潰瘍性出血を強く疑います。

臨床では「胃痛が強い=重症」とは限らず、出血性潰瘍では痛みが目立たず、貧血症状(めまい、動悸、息切れなど)が手がかりになるケースがある点が落とし穴です。

なお黒い便は、上部消化管出血だけでなく鉄剤・ビスマス・食物でも起こり得るため、見た目だけで決め打ちしない姿勢が大切です(ただし鑑別の出発点として黒色便は非常に有用です)。

参考)消化管出血の概要 – 01. 消化管疾患 – MSDマニュア…

ステロイド潰瘍 症状:胃粘膜 防御 低下と発症

ステロイド関連の潰瘍形成は、胃粘膜の防御が弱まる方向に働く機序が説明されています。

具体的には、副腎皮質ステロイドがホスホリパーゼA2を阻害してプロスタグランジン合成を抑制し、胃粘膜プロスタグランジンや胃粘液分泌が減ることで、粘膜防御が低下するとされています。

そこに胃酸分泌促進、胃液分泌量増加、ペプシン分泌増加など「攻撃因子」側の増加が加わり、潰瘍が発症し得るという整理です。

一方で、糖質ステロイド単独投与が消化性潰瘍の明確なリスク因子ではない(否定的な報告が多い)という指摘もあり、「ステロイド=必ず潰瘍」という単純化は危険です。

参考)公益社団法人 福岡県薬剤師会 |質疑応答

臨床の実務では、症状の拾い上げと同じくらい「併用薬・既往・背景リスク」を把握して、リスクの高い患者で早期介入するほうが合理的です。

参考)消化性潰瘍でステロイドを使うとき (medicina 14巻…

ステロイド潰瘍 症状:NSAIDs 併用とリスク

糖質ステロイド単独の潰瘍リスクは強くないとする議論がある一方で、NSAIDs併用時は消化性潰瘍リスクが高いため、PPI併用が必要になる、という実務的な結論が示されています。

消化性潰瘍診療ガイドライン2020(改訂第3版)でも、NSAIDs潰瘍予防の文脈で「糖質ステロイド」併用などを含むハイリスク群を扱うCQが設定されており、併用が論点として重要であることが分かります。

さらに、NSAIDs潰瘍のリスク因子として糖質コルチコイド併用が挙げられる旨の解説もあり、現場では「鎮痛薬(NSAIDs)追加」の時点で一段ギアを上げて評価すべきです。

医療安全の観点での実装ポイントは、次の3つです。

ステロイド潰瘍 症状:予防 PPIと患者選択

長期ステロイドでは「念のためPPI」を選びがちですが、糖質ステロイド単独では潰瘍リスク因子とならないという報告を踏まえ、PPIを機械的に継続しない考え方も提示されています。

一方で、NSAIDs併用時はリスクが高いためPPI併用が必要、またNSAIDs非併用でも潰瘍既往などリスクがある場合はPPI併用を検討する、という層別化が提案されています。

この「全員に予防」ではなく「高リスクに厚く」の発想は、ポリファーマシーの患者ほど重要で、不要な薬剤追加が別の有害事象を招き得る点まで含めて説明責任が生じます。

実際の運用で役立つ、外来・病棟での簡易チェック項目例です。

ステロイド潰瘍 症状:独自視点 ステロイドで痛みが鈍る

ステロイドは炎症反応を抑える薬剤であり、臨床感覚として「炎症による痛み・発熱などのサインが目立ちにくい」状況を作り得ます。

そのため、潰瘍の進行を「痛みの強さ」だけで追うと、出血や貧血で初めて表面化するケースが生じ得る、というリスクコミュニケーションが重要になります。

患者説明では「胃痛がない=安全」ではなく、「黒色便・吐血・ふらつき(貧血)などが出たら早めに受診」という行動目標に落とし込むと、受診遅れを減らしやすくなります。

また、黒色便が疑われるときは、鉄剤や食事由来の黒色便も鑑別に入れつつ、上部消化管出血の可能性を優先して評価する、という優先順位付けが安全です。


胃粘膜防御低下(機序の要点・薬剤性潰瘍の考え方の参考):福岡県薬剤師会「副腎皮質ステロイドにより潰瘍が発生することがあるのはなぜか?」
ステロイド単独リスクとNSAIDs併用時のPPI判断(臨床での意思決定の参考):岐阜大学医学部「糖質ステロイドは消化性潰瘍の危険因子ではない」
ガイドラインのCQ構成(糖質ステロイド併用などリスク層別化の位置づけの参考):Minds「消化性潰瘍診療ガイドライン2020(改訂第3版)」

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