ガーゼ医療用くっつかない
ガーゼ医療用くっつかない非固着性と滅菌パッドの違い
医療現場で「くっつかないガーゼ」と呼ばれるものは、厳密には“ガーゼ”そのものではなく、創接触面にフィルムなどを持つ非固着性の外科用パッド/一次ドレッシングを指すことが多いです。
代表例として、白十字のモイスキンパッドは「創部側が固着しにくい構造」を特徴にし、創部側の多孔ポリエステルフィルムの孔から滲出液を適度に吸収して創部面を保護する、と説明されています。
つまり「繊維が創に絡むのを避ける」「交換時の疼痛や出血を減らす」という目的が設計段階で組み込まれており、一般的な滅菌ガーゼの延長で考えると選択を誤りやすい点が注意点です。
ガーゼ医療用くっつかない湿潤環境と固着のメカニズム
ガーゼが創面に固着する主因は、創面が乾燥する過程で滲出液や血液成分が“のり”のように働き、繊維と創面が物理的に結びつくことです。
日本皮膚科学会の創傷ガイドラインでは、従来の滅菌ガーゼ中心の発想は、乾燥や交換に伴う肉芽・再生上皮の損傷により、むしろ創傷治癒を遅らせるという考え方が一般化してきたと整理されています。
同ガイドラインは、湿潤環境下療法(moist wound healing)を「滲出液に含まれる炎症細胞・サイトカイン・増殖因子などを創面に保持する」方法として定義しており、“固着させない”ことが疼痛軽減だけでなく治癒環境にも関わることが分かります。
ガーゼ医療用くっつかない選び方:滲出液と保護と交換
材料選択は「創の深さ」より先に、実務上は滲出液量(少ない/中等度/多い)を起点にすると事故が減ります。
ガイドラインでも、滲出液の少ない創に吸水性の高い材料を置くと乾燥して固着し得る一方、滲出液の多い創に吸水性の少ない材料を置くと過度の湿潤になり得る、と注意喚起されています。
モイスキンパッドのような「創部側フィルムの孔から適度吸収し、固着を減らす」タイプは、湿潤を保ちつつも“吸い過ぎない/ふやかし過ぎない”中庸を狙った設計なので、滲出液が極端に少ない/多いケースでは二次ドレッシング(吸収材や固定)との組み合わせ設計が重要になります。
実務での目安(入れ子にしない箇条書き)
- 滲出液が少ない:乾燥→固着が起きやすいので、創接触面は非固着性を優先し、必要なら周囲皮膚の保護も同時に考える。
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- 滲出液が多い:浸軟や感染悪化の温床になり得るため、吸収できる二次材を選び、交換頻度を「漏れ・臭気・浸軟」で調整する。
- 感染が疑わしい:閉塞して観察できない材料は避けるべき、という整理があり、まず観察性と洗浄・デブリードマン計画を優先する。
ガーゼ医療用くっつかない交換時の痛みと出血を減らす手技
交換の基本方針は「再生した表皮・肉芽を“はがしてしまう操作”を減らす」ことで、これは材料選択だけでなく剥離手順にも依存します。
ガイドラインは、成熟期・再構築期(上皮化が進む時期)に頻回のガーゼやドレッシング交換を行うと、再生・遊走した表皮細胞を障害する可能性があるため慎重に行う必要がある、と述べています。
「くっつかない」材料を使っても、周囲固定が強すぎたり、乾燥させてしまったりすると結果的に固着・表皮損傷につながるので、交換前に観察して“乾いているなら湿らせてから外す”という順序で摩擦を減らす運用が現場では有効です。
交換時チェック(箇条書き)
- 剥がす前:ドレッシング表面の乾燥、端の巻き上がり、滲出液の漏れ、臭気、周囲皮膚の白色化(浸軟)を確認する。
- 剥離中:抵抗がある場合は無理に引かず、創面損傷を避ける方向で再湿潤や洗浄を組み合わせる(愛護的操作)。
- 剥離後:創面だけでなく周囲皮膚の状態も評価し、材料が“合っていないサイン”(乾燥固着/過湿潤)を次回選択に反映する。
ガーゼ医療用くっつかない独自視点:透湿性防水フィルムと皮膚トラブル
「くっつかない」ことだけに注目すると、周囲皮膚のトラブル(浸軟・かぶれ・ずれ)を見逃しやすいのが落とし穴です。
モイスキンパッドは表側に「外部からの水分・汚物の侵入を防ぎ、内部がムレにくい透湿性防水フィルム」を採用しているとされ、固定や被覆の設計に“蒸れ”の観点を組み込んでいることが分かります。
意外に効く現場の工夫として、滲出液が落ち着いてきたタイミングで「交換間隔を延ばす」のではなく「周囲皮膚の観察頻度を上げつつ、材料の段階的ステップダウン(吸収強→中等度→保護中心)」に切り替えると、浸軟やテープ性皮膚障害を早期に拾いやすくなります。
表(現場で起きがちな“ズレ”の整理)
| 起きていること | ありがちな原因 | 次の一手(例) |
|---|---|---|
| 創面が乾いて固着しそう | 吸い過ぎ/交換間隔が長い/滲出液がそもそも少ない | 創接触面を非固着性にし、乾燥サインが出る前に交換計画を再設計する。 |
| 周囲が白くふやける(浸軟) | 過湿潤/滲出液コントロール不足 | 吸収できる二次材の追加や、材料選択を滲出液量に合わせて見直す。 |
| 交換のたびに痛み・出血 | 固着/剥離時の摩擦/頻回交換で新生表皮を損傷 | 頻回交換を避け、愛護的に扱い、創面を損傷しない交換を優先する。 |
権威性のある参考リンク(創傷治療の基本概念・材料選択の考え方:湿潤環境、ガーゼとドレッシング材の位置づけ、交換頻度や感染時の注意がまとまっています)
