リウマチ熱 症状 ゴロ 心炎 多関節炎

リウマチ熱 症状 ゴロ

リウマチ熱:症状の全体像(医療従事者向け)
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まず「いつ起きるか」

溶連菌咽頭炎の2〜4週後に、発熱・関節炎・心炎・皮疹・神経症状が続発する点がコアです。

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「何が危ないか」

急性期に心炎(とくに弁膜炎)へ進展すると、心不全や長期のリウマチ性心疾患リスクに直結します。

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「どう覚えるか」

Jones基準の主症状(心炎・多関節炎・舞踏運動・輪状紅斑・皮下結節)をゴロで瞬時に再現します。

リウマチ熱の症状ゴロで覚えるJones主症状(心炎・多関節炎など)

 

リウマチ熱の「症状 ゴロ」を作る目的は、救急外来や病棟で“リウマチ熱を疑う入口”を落とさないことにあります。代表的な枠組みは改変Jones基準で、主項目は「心炎・舞踏運動・輪状紅斑・多関節炎・皮下結節」です(臨床現場では“5大症状”として一括で想起されることが多いです)。

覚え方(例)はすでに多く出回っていますが、臨床で有用なのは「ゴロ→症候のイメージ→見逃しやすい点」まで紐づけることです。例えば輪状紅斑は“見れば分かる”一方で、発疹の出没が短い・受診時に消えていることがあり、問診で「一度出たが消えた皮疹」を拾う癖が重要です(皮下結節も同様に“いつの間にか消えていた”が起こり得ます)。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/2d8f4b030490e4c6fb69f2cd689bfcfd572b6f41

ここで注意したいのは、ゴロが“診断そのもの”ではない点です。Jones基準では、主項目2つ、または主項目1つ+副項目2つに加えて、A群レンサ球菌感染の証拠が必要になります(咽頭培養や迅速抗原検査、抗ストレプトリジンO抗体や抗DNase-B抗体など)。msdmanuals+1​

また、ゴロ暗記だけだと「心炎=胸痛や呼吸困難がある時だけ」と誤解しがちです。改変Jones基準の解説では心炎は症候性だけでなく、心エコーで定義される“非症候性心炎”があり得る、と明記されています。

参考)https://www.semanticscholar.org/paper/6d093a844bce7837fd3b113455bfbb4289f9f59f

リウマチ熱の症状ゴロの前に押さえる溶連菌感染と2〜4週間後の経過

リウマチ熱は、のどや扁桃腺への溶連菌(A群溶血性連鎖球菌)感染の後、免疫反応を背景におよそ2〜4週間後に続発する発熱、関節炎、心臓・皮膚・神経系の症状がみられる疾患です。

国内では患者数が少ない一方で、年齢は5〜15歳に好発し、成人ではまれとされています。したがって成人の発熱+関節痛では頻度の高い疾患(ウイルス感染、結晶誘発性関節炎、反応性関節炎、膠原病など)へ思考が流れやすく、そこで“咽頭痛の既往”を聞き逃すと診断が遅れます。

一次予防の観点も、臨床教育上は重要です。咽頭痛などの発症後9日以内にペニシリン系抗菌薬で適切に治療することが推奨され、除菌のために十分な量と期間を守る必要がある、とされています(症状が消失しても中断しない指導が肝要です)。

ここが意外な落とし穴として、同じ溶連菌でも“皮膚感染(とびひ等)ではリウマチ熱を合併しない”と整理されます。つまり「最近、子どもがとびひになった」だけではリウマチ熱の時間軸に乗りにくく、咽頭炎・扁桃炎・猩紅熱の既往にフォーカスするのが合理的です。

リウマチ熱の症状ゴロで外せない移動性関節炎と発熱(多関節炎)

リウマチ熱では、溶連菌感染後に高熱、関節痛、関節の腫れが突然現れ、関節症状の頻度は高い(約70%)とされます。典型的には膝・肘・足首・手首などの大関節が強く痛み、痛む部位が移動する「移動性関節炎」を呈します。

この“移動性”が、臨床判断で非常に役立ちます。たとえば化膿性関節炎は単関節で強い炎症を示しやすく、痛みが移動するよりは「一関節がどんどん悪くなる」方向を取りがちです(もちろん例外はありますが、疑う優先順位づけに効きます)。また、関節痛だけが先行してNSAIDsで軽快し「単なる関節痛」として経過観察され、心炎の発症が遅れて判明するのも典型的な躓きです。

診断枠組みとしては、関節炎は主項目、関節痛(多発性関節痛)は副項目に含まれますが、主項目として多関節炎がある場合は副項目の関節痛を診断に用いない、という注意書きがあります。試験対策の“引っかけ”というより、実臨床での重複カウント回避のルールとして理解しておくと、記載・カンファで迷いにくくなります。

副項目には発熱(≥38.5℃)や炎症反応(ESR上昇、CRP上昇)も含まれます。つまり「発熱+移動性関節炎」の段階で、すでにJones基準の“形”が見え始めるため、ここで溶連菌感染の証拠を取りに行く判断が早期診断に直結します。semanticscholar+1​

リウマチ熱の症状ゴロと心炎(心内膜炎・弁膜炎)と心不全徴候

リウマチ熱で怖いのは心炎で、未治療の関節症状の段階から進行すると、50〜60%で心臓にも炎症が起こるとされています。心炎が起きると胸痛・動悸・むくみ・倦怠感が出現し、高熱や関節痛の出現から1〜2週間以内に起こることが多い、とされています。

炎症は心筋・心内膜・弁など心臓全体に起こり得ますが、とくに僧帽弁や大動脈弁など弁の炎症が問題になりやすく、心不全症状(息切れ・呼吸困難、強い倦怠感、むくみ、乾いたせき等)が前景に出ると全身状態は急速に悪化します。医療者視点では、ここで初めて「感染性心内膜炎」を鑑別に挙げる場面もあり得るため、時間軸(咽頭炎→2〜4週→関節炎→心症状)を再構成して判断することが重要です。

改変Jones基準の注記で重要なのは、心炎は症候性だけでなく、心エコーで定義される“非症候性心炎”があり得る点です。聴診や自覚症状が乏しくても、エコー所見(とくに弁逆流の評価など)で診断に近づくケースがあるため、「雑音がないから心炎なし」と早合点しない設計が求められます。

治療面では、心炎がある場合は安静のうえ心エコーなどで評価し、利尿薬や水分制限を行い、重症例ではステロイド内服または点滴が行われるとされています。つまり関節炎主体の軽症像と、心不全を伴う重症像とで病棟運用が大きく変わるため、ゴロ暗記に“重症化の分岐点=心炎”を組み込むのが実務的です。

リウマチ熱の症状ゴロの独自視点:舞踏運動の遅発と「いったん治った後」の落とし穴

リウマチ熱の舞踏病不随意運動)は、神経系に炎症が及ぶことで生じ、一般にほかの症状が治まってから起こり、数カ月にわたって続くこともある、とされています。ここは“症状 ゴロ”で覚えていても、時間差で出るために結びつけにくいポイントです。

臨床上の落とし穴は、「関節痛と発熱が落ち着いた=解決」と患者・家族が捉え、フォローが途切れることです。ところが舞踏運動が遅れて出ると、心因性・てんかん・薬剤性・チックなど別方向の鑑別に流れやすく、既往歴としての“数週間前の咽頭炎+移動性関節炎”がカギになります。

治療として、舞踏病は通常2〜3カ月で自然軽快することが多い一方、薬物療法としてハロペリドールバルプロ酸カルバマゼピンなどが用いられるとされています。つまり「生命を脅かすのは心炎、生活機能を長引かせるのが舞踏病」という二層構造を理解しておくと、説明・予後の見通し・療養支援が組み立てやすくなります。

さらに、再発予防(二次予防)を“心炎の有無”で設計するのは重要です。二次予防は溶連菌感染を防ぎ再燃を防ぐ目的で抗菌薬(通常はペニシリン)の予防的投与が勧められ、心炎なし・心炎あり(弁膜症なし)・弁膜症ありで推奨期間が変わる、とされています。

【参考リンク:改変Jones基準(主項目・副項目と、A群レンサ球菌感染の証拠の要点)が表でまとまっています】

MSDマニュアル(医療者向け):急性リウマチ熱(ARF)初発時の改変Jones診断基準

【参考リンク:症状の頻度・時間経過(2〜4週後)、心炎の進展、一次予防と二次予防(ペニシリン、推奨期間)の実務が日本語でまとまっています】

家庭の医学:リウマチ熱(原因・症状・検査・治療・二次予防)

【論文(Jones基準改訂の根拠):ドプラ心エコーの時代に合わせた診断基準改訂のAHA声明(英語)】

Gewitz MH, et al. Revision of Jones criteria for the diagnosis of acute rheumatic fever. Circulation. 2015;131:1806–1818.

ケースでわかるリウマチ・膠原病診療ハンドブック〜的確な診断と上手なフォローのための臨床パール