感染性眼内炎 ガイドライン
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感染性眼内炎 ガイドライン まず疑う所見と鑑別
感染性眼内炎は、短時間で不可逆な視機能障害に至り得るため、「確定してから治療」ではなく「疑った時点で感染症として動く」意思決定が実務上の核心になります。
医療従事者向けに整理すると、主症状は視力低下、眼痛、眼の充血、前房反応、硝子体炎症(混濁)などで、特に硝子体混濁が強いほど診断と治療が同時進行になりやすい点が重要です。
鑑別の難しさは、術後炎症や非感染性ぶどう膜炎、薬剤性炎症などが似た臨床像をとり得ることにあり、治療開始を遅らせない一方で培養・感受性結果で軌道修正できる設計にしておく必要があります。
また「感染性眼内炎」という検索意図では、外因性(手術・外傷・注射など)と内因性(菌血症や真菌血症などからの播種)が混在しやすいため、問診で直近の眼内手技・外傷歴と、発熱・血液培養陽性・中心静脈カテーテル・免疫抑制など全身背景を必ず並列で拾います。
内因性が疑わしい場合は、眼だけの問題に閉じず、全身抗菌薬(あるいは抗真菌薬)を含む戦略が必要になる、という原則が明記されています。
感染性眼内炎 ガイドライン 検体採取と培養 感受性
ガイドライン的思考での検体は、「治療に先行」ではなく「治療と同時」に確保するのが現実的で、硝子体内投与を遅らせずに培養・感受性へつなげる段取りが求められます。
採取対象は硝子体・前房水が中心で、可能なら十分量の硝子体検体が得られる硝子体手術(あるいは硝子体タップ)が、診断(起炎菌同定)と治療(感染負荷低減)を兼ねる手段として位置づけられます。
感受性結果が返ってきた時点で治療を変更する、という「最初は広域→結果で狭域化」の原則も、硝子体内投与と整合する形で説明されています。
意外に見落とされがちなのは、眼内の抗菌薬濃度は全身投与と比べて考え方が異なり、局所到達性の観点から“眼内投与を主軸に組む”前提で検査計画を立てる必要がある点です。
現場の手順書レベルでは、夜間・休日の採取導線(誰が採るか、培養ボトルや培地、搬送、ラベリング、検査部との合意)を事前に固めておかないと、ガイドライン通りの意思決定が実装できません。
感染性眼内炎 ガイドライン 治療 硝子体内投与
治療の中核は抗菌薬の硝子体内投与で、初期治療としてバンコマイシンおよびセフタジジムが最も多い、という記載が日本語資料でも確認できます。
内因性眼内炎では硝子体内投与に加えて静脈内投与を併用すべき、という原則が示されており、眼科単独ではなく感染症・内科と連携した抗菌薬設計が前提になります。
重症例では硝子体切除(硝子体手術)を検討し得ること、そして治療経過は培養・感受性結果に基づいて修正することが推奨されています。
実務上の要点は「初回で外さない」ことで、初期に広域カバー(グラム陽性・陰性)を成立させつつ、採取と投与を同一オペレーションに載せると、治療遅延と検体未提出という二大事故を避けやすくなります。
また、術後眼内炎などでは硝子体手術が感染部位の洗浄や検体採取に有利という整理があり、施設要件(緊急硝子体手術の可否)が治療選択を左右する点も、ガイドライン理解の一部です。
参考)https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/JJOS_PDF/107_590.pdf
感染性眼内炎 ガイドライン 予防 抗菌薬点眼と消毒
「予防」については、硝子体内注射の周術期に抗菌薬点眼をルーチンで用いない方向性が、耐性菌問題と予防効果の乏しさを背景に示されています。
日本網膜硝子体学会の見解として、通常の患者(感染リスクが高くない患者)では、適切な消毒と推奨手順を守っていれば抗菌薬点眼は原則不要であり、耐性菌の問題から抗菌薬は使用しないことが推奨される、と明確に述べられています。
つまり予防の主戦場は「点眼の追加」ではなく「手技の標準化」と「ヨードを含む消毒の徹底」に移っている、という理解が現場運用に直結します。
さらに、抗菌薬点眼を漫然と繰り返すと常在菌の耐性化を助長し得る、という問題提起もあり、眼科領域でもAMR対策の文脈で説明されています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/10f6969574d18df2b05810f0b2997cd085aeb724
眼内炎の発生頻度が低い手技(硝子体内注射)ほど、施設間で「念のため抗菌薬」を続けてしまいがちですが、ガイドラインは“安全策のつもりが集団レベルでは害になり得る”構造を示している点が重要です。
参考:硝子体内注射前後の抗菌薬点眼を「原則不要」とする推奨と、根拠(耐性菌、予防効果の乏しさ、国内外ガイドライン)
IRD遺伝学的検査エキスパートパネル 12施設の決定 : バ…
感染性眼内炎 ガイドライン 独自視点 チーム手順書と抗菌薬適正使用
検索上位の多くは「治療薬は何か」に寄りがちですが、医療安全の観点では「誰が、いつ、どこで、何を準備し、何分で投与まで到達するか」を文章化した“眼内炎パス(緊急対応手順書)”が、予後を左右する独自のボトルネックになります。
特に夜間救急では、硝子体内投与の薬剤調製、無菌操作、検体ラベル、検査部への連絡、同意取得、術前評価が同時多発するため、ガイドライン知識があっても運用設計がないと遅延します。
この領域はAMR(薬剤耐性)とも直結し、周術期の抗菌薬点眼を漫然と継続しない、という方針は「個人の医師の好み」ではなく、学会としての推奨に接続できる点が強みです。
現場で使える形に落とすなら、最低限以下を“施設の標準”として固定すると運用が安定します。
- 疑い基準(どの所見で「感染性として動く」か)
- 検体採取の手順(前房水/硝子体、容器、搬送、培養・感受性まで)
- 初期治療セット(硝子体内投与レジメン、内因性疑い時の全身投与併用)
- 注射・手術の予防策(消毒と手順の標準化、通常患者での抗菌薬点眼「原則不要」)
加えて、眼内炎の「再発」や「培養陰性」のケースでは、感染以外(非感染性炎症)の可能性も残るため、初期は感染対応をしつつ、結果に応じて治療を整理する二段階設計(最初に広域、結果で修正)がガイドライン的に安全です。
この二段階設計を、薬剤だけでなく“意思決定のログ(何を根拠に、いつ変更したか)”として残すと、上司チェックや監査、合併症発生時の振り返りにも耐えます。