片眼失明 障害等級 認定基準 視力 視野

片眼失明 障害等級

片眼失明と障害等級の要点
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等級は「片眼」だけで決まらない

多くの制度は両眼の視力・視野の組み合わせで判断され、片眼失明でも他眼の状態で等級が上下します。

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失明・視力・視野の定義が実務の核心

「失明」には光覚弁・手動弁が含まれるなど、用語定義の理解が診断書・意見書の品質を左右します。

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矯正視力の扱いと検査手順が重要

原則は矯正視力で評価され、条件によってコンタクトレンズでの測定や試行装用期間も論点になります。


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片眼失明 障害等級 認定基準と失明の定義

 

片眼失明の説明で最初に押さえるべきは、「失明」という語が日常語よりも狭く、かつ制度上の定義を持つ点です。労災領域の等級認定基準では、「失明」とは眼球を亡失(摘出)したもの、明暗を弁じ得ないもの、そして“ようやく明暗を弁ずることができる程度”を含み、光覚弁(明暗弁)や手動弁が含まれると明記されています。

この定義は、患者が「真っ暗ではないから失明ではない」と感じていても、認定上は“失明に含まれる”ケースがあることを意味します。

医療従事者としては、診断書や意見書での表現(例:光覚、手動弁、指数弁、矯正不能など)を、制度が求める語彙に揃えることが、後工程の審査のぶれを減らします。

また、同じ“片眼失明”でも、障害等級は「他眼の視力」がどこまで保たれているかで大きく変動します。労災の等級例では、「1眼が失明し他眼の視力が0.1以下」は第5級、「1眼が失明し他眼の視力が0.6以下」は第7級、「1眼が失明(または1眼の視力が0.02以下)」は第8級といった形で段階化されています。

参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8115704/

つまり、患者説明では“片眼が失明=一律に同じ等級”ではなく、「片眼失明+他眼視力(or 視野)」という組で語る必要があります。

片眼失明 障害等級 視力の測定と矯正視力

視力評価は、制度上「どの視力を採用するか」が最重要論点になりやすい領域です。労災の認定基準では、視力測定は原則として万国式試視力表によるが、同程度と認められる視標・測定法でもよいこと、さらに“障害等級表にいう視力とは矯正視力”であることが示されています。

このため、裸眼で著しく低下していても、眼鏡やコンタクトで改善する場合には、原則としてその矯正後の値で等級が判断されます。

臨床現場の説明では「治療で上がるか」だけでなく「矯正で上がるか(上がるなら等級が変わり得る)」も同時に伝えるのが誤解防止に有効です。

さらに実務的に意外と見落とされがちなのが、コンタクトレンズを含む“矯正手段の選択”が、認定基準に具体的に書かれている点です。例えば、一定条件ではコンタクトレンズで良好な視界が得られる場合にコンタクトで矯正した視力を測定して認定すること、またコンタクトの装用可否と視力測定は医師管理下で3か月試行的に装用した後に行うこと、さらに「1日8時間以上の連続装用が可能」などの条件が記載されています。

医療従事者側がこのルールを理解していないと、「診断書の視力欄に何を書くべきか」「“コンタクト適応”と判断した根拠」などで後から齟齬が出やすくなります。

患者にとっては“少しでも見える方が良い”一方で、制度上はその見え方が等級判定に影響するため、矯正手段の説明はセンシティブであり、医学的必要性と制度上の扱いを分けて丁寧に整理することが重要です。

片眼失明 障害等級 視野と半盲症

片眼失明の相談でも、実際には「視力は保たれているが視野が欠ける」「緑内障などで視野狭窄が進む」といったケースが混在し、視野の評価が等級や支援につながることがあります。労災の認定基準では、視野測定はゴールドマン型視野計によることが示され、半盲症・視野狭さく・視野変状の定義として、V/4視標による8方向の視野角度合計が正常の60%以下になった場合などが記載されています。

また暗点については「絶対暗点を採用し、比較暗点は採用しない」といった運用上のルールも明記されており、検査結果の読み方・書き方が認定の言語に直結します。

このため、片眼失明という主訴でも、他眼の視野(中心視野・周辺視野)や暗点の性状まで含めて評価・記載できる体制があると、後の審査や相談対応がスムーズになります。

患者説明の観点では、「視力=見える力」「視野=見える範囲」を分けて説明し、片眼失明があると両眼視機能(立体視など)が落ちる一方で、視野障害が加わると歩行・運転・作業安全性に影響しやすい、といった生活上の含意を整理すると理解が進みます(ただし、ここでは等級判断の“検査法・定義”を制度文言に合わせることが最優先です)。

参考:視野・視力・失明の定義、等級の具体例、矯正視力(コンタクトレンズ試行3か月等)の運用がまとまっています(認定基準の根拠部分)。

厚生労働省:眼の障害に関する障害等級認定基準について(別紙)

片眼失明 障害等級 等級表と「他眼視力」の組み合わせ

等級の理解を患者へ短時間で伝えるには、「片眼失明+他眼視力で段階がある」ことを、表で視覚化するのが有効です。労災の等級認定基準の例では、片眼失明に他眼の視力条件が加わり、第2級(他眼0.02以下)から第7級(他眼0.6以下)、第8級(片眼失明のみ相当)へと規定されています。

状態(例) 等級(例) 説明のポイント
両眼が失明 第1級の1 両眼の機能喪失で最重度
1眼が失明+他眼0.02以下 第2級の1 他眼も重度低視力で高位等級になりやすい
1眼が失明+他眼0.06以下 第3級の1 「片眼失明だけ」ではなく他眼の低下が鍵
1眼が失明+他眼0.1以下 第5級の1 就労・生活影響の説明では視力と視野を分ける
1眼が失明+他眼0.6以下 第7級の1 他眼が0.6を境に段階が変わる枠組みがある
1眼が失明(または1眼0.02以下) 第8級の1 「片眼失明のみ」の代表的な区分として理解しやすい

ここでの実務上のコツは、患者が持参する検査結果が「裸眼視力」なのか「矯正視力」なのかを必ず確認し、制度が原則として矯正視力を採用する点を丁寧に説明することです。

また、片眼失明の原因(外傷、網膜疾患、視神経障害など)によって症状固定のタイミングや検査の再現性が変わり得るため、同じ“片眼失明”でも書類作成時期と検査手順の整合が重要になります(少なくとも制度側の定義・測定条件から逸脱しないことが優先です)。

片眼失明 障害等級 独自視点:医療現場の説明設計

検索上位では「何級か」「もらえるか」に焦点が当たりがちですが、医療従事者にとっての独自の論点は、“患者の意思決定を支える説明設計”です。片眼失明では、患者が「視力が残っている/光は分かる」ことを根拠に失明概念を受け入れられない一方、制度上は光覚弁・手動弁が失明に含まれるため、説明にズレが生じやすいことが明確に読み取れます。

このギャップを埋めるには、診断(医学的ラベル)と認定(制度的ラベル)を分けて説明し、「制度上はこの状態を“失明”に含めて扱う」→「だから等級表ではこの分岐になる」という順で話すと、感情的反発が起きにくくなります。

説明設計の具体例(外来・病棟で使える形)。

  • 👂患者の言葉を先に復唱:「真っ暗ではないから失明ではない、と感じますよね」
  • 📚制度定義を短く提示:「ただ、認定では“光覚弁・手動弁も失明に含む”と定義されています」
  • 📏検査と記載の焦点を共有:「診断書では“光覚”“手動弁”“矯正視力”など、決まった言葉で状態を書き分けます」
  • 🧭次の行動を明確化:「他眼の視力(必要なら視野)で等級が変わるので、検査条件を揃えて評価しましょう」

また、コンタクトレンズを含む矯正の扱い(試行装用3か月、1日8時間以上連続装用など)が明文化されている点は、患者への説明にも応用できます。

「最適矯正での見え方が制度上の評価になる」ことを伝えたうえで、医学的にコンタクト適応があるか、8時間装用が可能か、といった臨床的判断が結果に影響し得ることを共有すると、後から“聞いていない”になりにくいです。



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