視神経乳頭炎 治療
<% index %>
視神経乳頭炎 治療の前提となる診断と鑑別(乳頭浮腫・視神経炎)
視神経乳頭炎は「視神経乳頭の炎症」を示唆する所見ですが、実臨床では“乳頭浮腫=炎症”と短絡せず、原因を分けて考えるほど治療成績が上がります。特に「うっ血乳頭(頭蓋内圧亢進)」「圧迫性視神経症」「虚血性視神経症」「中毒性」「遺伝性」などは治療戦略が根本から異なり、ここを誤ると視機能予後に直結します。抗AQP4抗体陽性視神経炎のガイドラインでも、鑑別として圧迫性やLeber遺伝性、中毒性、後部虚血性などが列挙されており、“視神経炎と見えても別物”が一定割合混在する前提で組み立てるべきと読み取れます。
鑑別で重要なのは、症状(眼痛・眼球運動痛、視力低下の速度、両眼性、神経症状の併発)、眼底、視野、そして画像(眼窩MRI、頭部MRI、必要なら脊髄MRI)です。抗AQP4抗体陽性視神経炎では、急性期にMRI(冠状断STIRやT2強調)で視神経の高信号、造影効果が診断の重要根拠として強調されています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/7c73a67b5244331273f728207fad298548bccc83
また、治療開始前から「神経内科とチームを組む必要がある」とされる状況があります。具体的には、手足のしびれ・嚥下障害など眼外症状がある、頭部MRIや脊髄MRIで異常がある、などで、眼科単独で“視神経乳頭炎として完結”させない設計が推奨されています。
視神経乳頭炎 治療の急性期:ステロイド点滴(パルス)と投与設計
急性期の基本戦略は、視機能低下の程度と進行の速さに応じて「経過観察」か「ステロイド大量点滴療法」を選ぶことです。厚労研究班の資料では、軽症では未治療でも改善することがあるため経過観察も選択肢になる一方、急激な視力低下、特に両眼性や強い眼痛を訴える場合は直ちにステロイド大量点滴療法を開始すると記載されています。
標準的なパルス療法として、メチルプレドニゾロン1000mg/日を3日間(体重が軽い場合は500mg/日×3日=セミパルスの選択肢)という具体量が提示されています。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/e69f209c8c1ab4cca689464af1ad440603f3da0c
この「投与量の具体性」は、ブログ記事でも医療従事者にとって最も再現性が高い情報なので、施設差はありつつも“まず軸を提示する”価値があります。
注意点として、同資料では「ステロイド内服療法は視神経炎の再発率を上昇させるため禁忌」と明記されており、急性期に“内服から開始”する癖がある現場では重要な警告になります。
さらに、パルス後の後療法(内服漸減)についても、プレドニゾロン40mg/日開始→週10mgずつ漸減、20mgを切ったら週5mgずつ漸減、という具体例が示されています。
ステロイド開始前に準備すべき安全管理も、実務的には治療の一部です。資料では、感染症(梅毒の血清学的検査STS/TPLA、HBV抗原、HCV抗体、必要によりVZV抗体)、心電図や胸部X線などの確認を挙げ、パルス療法の合併症(不整脈、高血糖、感染症再燃など)に備えるよう強調しています。
“眼の治療”に見えて、実際は内科的リスク評価が勝負になる場面が多い点は、視神経乳頭炎(視神経炎)診療の落とし穴です。
視神経乳頭炎 治療が無効なとき:血液浄化療法(血漿交換・DFPP・免疫吸着)とIVIG
ステロイド抵抗性をどう定義し、いつ次の治療へ進むかが、視機能予後を左右します。厚労研究班の資料では「パルス4日目に視力改善がなければ、中4日空けて2ndパルスを行う」「2回行っても改善がない場合は血液浄化療法を選択」と、移行タイミングが比較的具体的に示されています。
血液浄化療法は、単純血漿交換、二重膜濾過血漿交換(DFPP)、免疫吸着に大別され、一般的なイメージとして「効果の大きさ(大→小):単純血漿交換>DFPP>免疫吸着」「身体負担(小→大):免疫吸着>DFPP>単純血漿交換」と整理されています。
この“効果と負担のトレードオフ”は、患者説明や他科連携(腎臓内科・神経内科)で言語化しやすい実用的なフレームになります。
抗AQP4抗体陽性視神経炎ガイドラインでも、ステロイドパルス1〜2クールで改善しない場合に血液浄化療法やIVIGを考慮すべきとされ、さらに「効果がみられないのにステロイドを連続して時間を費やすべきではない」と、時間軸の重要性が明確です。
特に、抗体関連病態では不可逆変化の進行を意識し、“遅れ”がそのまま後遺症につながる設計になります。
IVIGについても、ステロイド無効の抗AQP4抗体陽性視神経炎で視力の著明改善例が報告され、投与として「400mg/体重kg/日を5日間連日」の具体例が記されています。
副作用としてアナフィラキシー、頭痛、発疹、無菌性髄膜炎、急性腎不全、脳梗塞などが列挙されており、投与判断には“視機能と全身リスクの天秤”が必要です。
視神経乳頭炎 治療の検査:抗AQP4抗体・MRI・OCTとフォロー設計
視神経乳頭炎(視神経炎)領域で近年特に重要なのが、抗AQP4抗体を軸にした病型推定です。厚労研究班資料では、抗AQP4抗体がステロイド抵抗性の因子として注目され「治療前に必須」と明記される一方、結果判明に1週間程度かかるため「結果を待たずにステロイド大量点滴を開始する」と書かれています。
ここは現場の意思決定(検査を出すが治療は遅らせない)の典型で、ブログではフローチャート的に説明すると伝わりやすいポイントです。
抗AQP4抗体陽性視神経炎ガイドラインでは、診断根拠としてMRIが非常に重視され、急性期にT2脂肪抑制やSTIRで高信号、Gd造影効果を示す割合が高いことが記載されています。
さらに「視神経炎再発」と「視神経萎縮」の鑑別にT1脂肪抑制造影が必須、といった“画像の読み分けが治療選択に直結する”視点も提示されています。
OCTは、視神経乳頭浮腫そのものの定量だけでなく、視神経障害後の構造評価(RNFLやGCLなど)として神経眼科領域で重要性が増しています。抗AQP4抗体陽性視神経炎ガイドラインでは、SD-OCTを用いたRNFL厚、黄斑厚、GCLなどの解析が中心となっていること、NMOではRNFLの菲薄化が強いことなどが記載され、病態把握や重症度評価の実務に組み込みやすい情報になっています。
一方で、RNFLのみからMSとNMOを鑑別するのは無理がある、という“過信への釘刺し”も書かれており、検査の限界を含めて運用設計する必要があります。
視神経乳頭炎 治療の独自視点:ステロイド安全管理と「治療で悪化する」落とし穴
検索上位では「ステロイドが効くか」「パルス量」中心になりがちですが、現場での独自視点としては“ステロイドを安全に通す設計”が治療成否を分けます。厚労研究班資料は、パルス療法で不整脈や高血糖、感染症再燃が起こり得るため、治療開始前の検査と、開始後に慌てない準備を強調しています。
特に高齢者で不整脈から心停止に至る事例への注意喚起は、眼科領域のブログでは埋もれがちですが、医療従事者向けには刺さる実務ポイントです。
もう一つの“治療で悪化する”落とし穴は、病型が違うのに同じ維持療法を選ぶことです。厚労研究班資料では、抗AQP4抗体陽性例でIFNβが無効・悪化傾向となる報告があるため基本的に禁忌、フィンゴリモドも同様に無効・悪化傾向が報告されている、と記載されています。
抗AQP4抗体陽性視神経炎ガイドラインでも、MSで有効なIFN-βがNMOでは禁忌とされ、免疫学的機序に触れつつ“同じ脱髄に見えても別疾患”であることが示されています。
この領域では「診断が確定してから治療」ではなく、「治療しながら診断を詰める」局面が現実に多いです。だからこそ、抗体検査を出し、MRIで構造的原因や活動性を見極め、反応が乏しければ血液浄化やIVIGへ移行する“段階設計”を最初から共有しておくことが、チーム医療のコストを下げます。semanticscholar+1
参考リンク(抗AQP4抗体陽性視神経炎の診断基準・急性期治療(ステロイドパルス、血液浄化、IVIG)・再発予防の考え方)
https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/aquaporin.pdf
参考リンク(視神経炎の初期治療プロトコール:パルス量、2ndパルス判断、血液浄化への移行、治療前検査の具体例)
https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2017/172051/201711009B_upload/201711009B0004.pdf