軸性視神経炎と診断と治療と予後と検査

軸性視神経炎と診断

軸性視神経炎の要点
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見落とさない初期所見

眼球運動時痛+急性の視力低下(中心のかすみ〜光覚消失まで)を軸に、RAPD・視野・MRI・抗体検査を組み合わせて原因層別化する。

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抗AQP4抗体・抗MOG抗体を意識

自己免疫性視神経炎では治療反応性と再発様式が異なるため、初発でも重症例・両眼例・回復不良例では早期に血清検査と全身評価を進める。

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治療は時間勝負

急性期はステロイドパルスを基本に、無効・重症・再燃では血液浄化療法やIVIGを検討TITLE: 軸性視神経炎と診断と治療と予後と検査

軸性視神経炎と診断と治療

軸性視神経炎:臨床で迷わない要点
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最初に疑う所見

急性の視力低下、眼球運動時痛、中心暗点などが揃えば視神経炎を強く疑い、緊急度と治療タイミングを最優先で判断する。

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原因を分ける検査

MRI(視神経・視交叉)、血清抗AQP4抗体などで、MS/NMOSD/MOGADや感染・他疾患の鑑別に踏み込む。

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治療の分岐

ステロイドパルスが基本だが、反応不十分なら血液浄化療法やIVIGを早期に検討し、視機能後遺症の最小化を狙う。


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軸性視神経炎の症状と視力低下と視野障害

軸性視神経炎は臨床的には「視神経炎」として立ち上がることが多く、患者は急性〜亜急性の視力低下を主訴に来院します。

典型的には視力低下の前後で眼球運動時痛(眼窩深部痛)を伴うことが多く、中心部がかすむ程度から光覚消失レベルまで幅があります。

視野障害は中心暗点が代表的ですが、水平半盲や両耳側半盲など多彩になり得るため、「中心暗点=典型、その他=例外」と決めつけない姿勢が重要です。

医療従事者として見逃したくないのは、視力表の数値よりも「色覚の異常」「眩しさ(光過敏の訴え)」「コントラスト感度の低下」など、患者の生活障害に直結する要素が早期から出る点です。

また視神経炎は基礎疾患により全身症状を伴い得て、眼振、めまい、四肢麻痺、膀胱直腸障害などが背景にあれば、単なる眼科疾患の枠を超えて神経免疫疾患の初発として捉える必要があります。

軸性視神経炎の原因と脱髄と多発性硬化症

視神経炎の病態の中心は、視神経の髄鞘(ミエリン)および周辺グリアの炎症と、それに伴う脱髄であると整理されています。

原因としては多発性硬化症(MS)に伴う脱髄性視神経炎のほか、抗アクアポリン4抗体、抗MOG抗体など自己免疫性の視神経炎が重要です。

さらに感染性(ウイルス、真菌、梅毒など)や、髄膜炎・脳炎・副鼻腔炎など他部位炎症の波及でも視神経炎が起こり得るため、眼科単独で完結しない鑑別の広さを最初から念頭に置きます。

臨床現場では「年齢」「片眼か両眼か」「再発性か」「重症度」「MRI所見」「抗体検査」が、MS/NMOSD/MOGADを含む脱髄性疾患群を見分ける軸になります。

特に抗AQP4抗体陽性の視神経炎は視機能予後が不良になりやすいことが繰り返し指摘され、早期に同定して治療戦略(急性期の強化と再発予防)へ繋げる意味が大きいとされています。

軸性視神経炎の検査とMRIとOCT

視神経炎の評価では、視力・視野・対光反射(RAPD)などの基本所見に加えて、画像として視神経MRIが他覚的根拠として特に重要だと整理されています。

抗AQP4抗体陽性視神経炎では、急性期にSTIRやT2脂肪抑制で視神経が高信号となり、造影効果を伴うことが多く、片側全長や視交叉まで病変が及ぶこともあるとされています。

一方で「高信号=急性炎症」と短絡すると危険で、視神経萎縮でもSTIR高信号を呈し得るため、再発(活動性炎症あり)と萎縮(活動性炎症なし)の鑑別にはT1脂肪抑制造影が必須と述べられています。

OCTはRNFLやGCLなど網膜内層の厚み解析により、視神経障害の重症度や経過評価を定量化できるため、急性期だけでなくフォローアップでも価値が高い検査です。

ただしRNFLの菲薄化は「鑑別そのもの」より「障害の重症度」を反映する側面が強いという議論もあり、OCT単独でMSとNMOを裁断する使い方は避けるのが安全です。

軸性視神経炎の治療とステロイドパルスと血液浄化療法

急性期治療の基本はステロイドパルスで、一般的な視神経炎ではメチルプレドニゾロン1,000mg×3日を1クールとして行う方法が示されています。

抗AQP4抗体陽性視神経炎でもステロイドパルスがまず検討されますが、十分な視力改善が得られない場合には血液浄化療法(血漿交換など)を早期に考慮すべき、という考え方がガイドライン内で強調されています。

血液浄化療法には血漿交換(PE)、二重膜濾過(DFPP)、免疫吸着(PA)などがあり、抗体除去の確実性と合併症リスク、施設要件などを踏まえて選択します。

実務上のポイントは「ステロイドを漫然と繰り返して時間を失うこと」が視神経の不可逆変化を招き得る、という警鐘で、無効例では治療の分岐を前倒しする発想が必要です。

またIVIGは、血液浄化療法が難しい場面や安全性面の利点から選択肢になり得ることが述べられており、反応性や副作用も含めて患者背景に合わせた設計が求められます。

軸性視神経炎の独自視点:再発予防と抗AQP4抗体と生活

抗AQP4抗体陽性視神経炎では、治療により抗体価が低下しても必ずしも陰性化しないことがあり、再発の可能性を踏まえた長期フォローと再発予防が重要だとされています。

寛解期の再発予防として、少量の経口ステロイド維持が一般的に行われる一方で、免疫抑制薬(タクロリムス、アザチオプリン等)や、状況によりリツキシマブ等も検討され得る、という整理がなされています。

独自視点として強調したいのは、軸性視神経炎(視神経炎)を「救急対応の急性疾患」としてだけ扱うと、視機能の固定後に残るQOL低下(読書速度低下、羞明、疲労、再発不安)への介入が抜け落ちやすい点です。

医療者側でできる工夫として、OCTなどで“見えの損失”を可視化し説明すること、再発時の受診トリガー(視力・視野・眼痛の変化)を具体的に共有することが、長期の自己管理と早期治療に直結します。

さらに、MS治療で用いられるIFN-βがNMO/NMOSDでは増悪し得るため、抗体検査と臨床像の整合性を確認してから疾患修飾療法を選ぶ、という「診断の順番」そのものが安全管理になります。

抗AQP4抗体陽性視神経炎の診断・治療(ステロイド、血液浄化、IVIG、再発予防)を体系的に確認。

https://www.nichigan.or.jp/Portals/0/resources/member/guideline/aquaporin.pdf

視神経炎の概要(原因・疫学・症状・治療)を短く俯瞰して復習。

https://www.nanbyou.or.jp/wp-content/uploads/upload_files/h27-1-023.pdf