網膜虹彩炎とぶどう膜炎
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網膜虹彩炎の症状と視力低下
網膜虹彩炎という言い方は部位の組み合わせを示しますが、実務では「ぶどう膜(虹彩・毛様体・脈絡膜)に生じる炎症=ぶどう膜炎」として病型を整理し、網膜まで炎症が及んでいるか(後部ぶどう膜炎/網脈絡膜炎の要素があるか)を最優先で確認します。
症状は、充血・眼痛・羞明(まぶしさ)・霧視・視力低下・ゆがみなどが並び、患者は「結膜炎っぽい赤み」よりも「まぶしさや見え方の異常」を主訴にすることが少なくありません。
特に網膜側の炎症を伴うと、視力低下が急に目立つ一方で、眼痛が強くないケースもあり、前眼部の所見だけで軽症と判断してしまうリスクがあります。
医療従事者向けの注意点として、問診では「片眼か両眼か」「急性か再発性か」「全身症状(発熱、頭痛、皮疹、口内炎、難聴など)」を必ずセットで拾い、眼所見と合わせて原因疾患の方向付けに使います。
網膜虹彩炎の原因と感染性
ぶどう膜炎は大きく「非感染性(免疫異常が主)」と「感染性(病原体が主)」に分けて考えるのが基本で、感染性にはヘルペス属ウイルス(単純ヘルペス、水痘帯状疱疹、サイトメガロウイルス)や細菌、真菌、結核菌などが含まれます。
一方、非感染性ではサルコイドーシスや原田病、ベーチェット病など全身疾患が背景にあることがあり、「眼にぶどう膜炎が出たことが契機で全身疾患が見つかる」パターンも現場では重要です。
さらに現実的な落とし穴として、「ぶどう膜炎と診断されても原因疾患が分からない例が一定数ある」ため、初回で確定診断に到達しないこと自体を異常とみなさず、経過中の追加情報(再燃様式、全身所見の出現)で診断精度を上げる運用が求められます。
感染性が疑われる場合は、ステロイドで“炎症だけ”を先に押さえると病原体の増殖を助長する危険があるため、病原体治療の同時開始・優先順位をチームで合意し、眼科との連携を早期に取るのが安全です。
網膜虹彩炎の検査とOCT
診断の土台は、眼のどこに炎症があるかを決める一般眼科検査に加え、眼底検査で後極部〜周辺部までの炎症波及を確認することです。
網膜・脈絡膜の評価では、蛍光眼底造影で炎症の部位とパターンを把握し、OCT(光干渉断層撮影)で黄斑部の浮腫や網膜層構造の変化を可視化して、治療反応性のモニタリングにも使います。
原因検索としては、血液検査や胸部X線など全身検査を組み合わせることが重要で、眼以外の症状が乏しくても「隠れた全身疾患」を拾う設計にしておくと見逃しが減ります。
また、症例によっては房水採取など眼内サンプルによる精査が必要になる場合があり、「炎症の部位(前房)を直接評価できるデータ」を追加して診断を詰める、という発想が役に立ちます。
網膜虹彩炎の治療法とステロイド
治療は原因に応じて分岐し、感染性が原因なら抗菌薬・抗ウイルス薬など病原体に対する治療を行い、非感染性なら免疫反応を抑える治療(ステロイド中心)が軸になります。
局所療法では副腎皮質ステロイド点眼が基本に置かれ、炎症で虹彩が水晶体に癒着して瞳孔が不整になる「虹彩後癒着」を予防するため散瞳薬点眼を併用する、という“合併症予防の処方設計”が重要です。
炎症が強い・局所治療だけで不十分な場合には、ステロイドの局所注射や全身投与(内服・点滴)を追加し、さらに免疫抑制薬や生物学的製剤を用いる選択肢もあります。
医療従事者として押さえておきたい実務ポイントは、視機能を守る目的が「炎症を止めること」だけでなく「白内障・緑内障などの合併症を予防すること」にもある点で、治療のゴール設定を患者説明で明確にするとアドヒアランスが上がります。
網膜虹彩炎の再発と独自視点
ぶどう膜炎は再燃・慢性化が問題になりやすく、診断名が付いた時点で「再発予防=定期フォロー」という前提を共有しておくことが、視機能温存の観点で現実的です。
独自視点として、網膜虹彩炎の患者対応では「眼症状と無関係に見える全身症状を“後から”申告する」ことが珍しくないため、初診時に聞けなくても、再診ごとに短いチェックリストで拾い直す運用が役立ちます(例:口内炎、皮疹、発熱、頭痛、耳鳴り・難聴など)。
また、原因不明の割合が一定ある以上、診断を固定せず“暫定診断で安全に走る”ことが大切で、感染性の可能性が残るなら治療順序と検査の優先度を眼科とすり合わせるのが事故を減らします。
最後に、患者教育の実務では「視力が戻るか」だけに焦点が当たりやすいので、合併症(白内障・緑内障など)や再発時の受診目安をセットで説明し、自己判断で点眼を中断しないよう具体的に指導するのが有効です。
ぶどう膜炎の全体像(虹彩・毛様体・脈絡膜、検査、治療の考え方の整理)
日本眼科学会による解説(検査:OCT・蛍光眼底造影、治療:ステロイド点眼+散瞳、全身治療の位置付け)