急性虹彩毛様体炎と
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急性虹彩毛様体炎の症状と所見:虹彩と毛様体の炎症を見落とさない
急性虹彩毛様体炎は前部ぶどう膜炎の代表で、患者訴えは「眼痛」「羞明」「充血」「霧がかった見え方」などが中心になります。とくに毛様体の炎症が強いと痛みがはっきり出やすく、単なる結膜炎との訴えの質が異なることがあります。ぶどう膜炎は虹彩・毛様体・脈絡膜に炎症が起きる病態で、炎症が周囲組織へ波及し視力低下につながり得る点をまず共有しておくと、紹介判断が早くなります。
所見としては、毛様充血(ciliary injection)、前房フレア・前房細胞、角膜後面沈着物(KP)、縮瞳や対光反射鈍麻、硝子体混濁の有無などを系統立てて拾い上げます。前房内でフィブリンが目立つ、あるいは前房蓄膿(hypopyon)を伴う場合は、原因疾患の候補や重症度が変わり得るため「前房の見え方」を丁寧に記載することが重要です。mhlw-grants.niph+1
また、合併症の入口として「眼圧」を軽視しないこともポイントです。ぶどう膜炎の合併症として白内障・緑内障が挙げられるため、初診時から眼圧や隅角、ステロイド反応性の可能性も含めてフォロー設計を組む必要があります。
参考)302 Found
急性虹彩毛様体炎の鑑別:急性緑内障発作と角膜疾患を先に外す
救急・当直で最も怖い鑑別は急性緑内障発作で、激しい眼痛、頭痛、霧視、虹視、悪心・嘔吐など全身症状を伴うことがあり、眼科疾患としての評価が遅れやすいのが落とし穴です。眼圧が短時間で著明に上がる可能性があり、視神経障害に直結する緊急性があるため、問診で「吐き気」「片頭痛様」を聞いた時ほど眼の診察へ意識を戻します。
鑑別の実務では、(1)瞳孔所見(中等度散大・対光反射低下の有無)、(2)角膜浮腫の有無、(3)眼圧、(4)前房深度と隅角(可能な範囲)をセットで見ると判断しやすくなります。急性虹彩毛様体炎でも痛みは出ますが、急性緑内障発作は「眼圧上昇そのものの症状」が前面に出やすく、処置優先度が異なります。connect.doctor-agent+1
角膜疾患(角膜炎・角膜びらん・感染性角膜炎など)も、痛みと羞明で紛れます。フルオレセイン染色で上皮欠損がある、角膜浸潤が主体、眼脂が目立つなどの場合は、前房炎症があっても「角膜由来」を疑う必要があります(コンタクトレンズ、外傷、ステロイド点眼歴は必ず確認)。感染性角膜炎は重症化すると視力予後に大きく影響するため、ぶどう膜炎としてステロイドを急ぐ前に感染の可能性評価が必須です。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC8102486/
急性虹彩毛様体炎の検査:眼底検査と蛍光眼底造影と全身評価
急性虹彩毛様体炎は「前房の炎症」だけを見て完結させると、背景疾患を取り逃がします。ぶどう膜炎が疑われる場合、炎症部位の評価のために眼底検査を含む一般眼科検査を行い、必要に応じて蛍光眼底造影で炎症の部位と形を確認する、という整理はチーム内の共通言語として有用です。
原因検索は、感染性と非感染性の両面から行います。血液検査、胸部X線、CTなどで全身の炎症や免疫状態を確認することがあり、症例によっては房水を採取して病原体などを詳しく調べることもある、と公的情報として明示されています。
医療連携の観点では「何を、どこまで、いつ行うか」を言語化して紹介状に落とすと、再診・再発時の無駄が減ります。例えば、初回で両眼性か片眼性か、再発性か、皮疹・口腔内アフタ・呼吸器症状などの随伴の有無を構造化しておくと、眼科側でガイドラインに沿った鑑別(感染性/非感染性、前部/汎/後部など)に乗せやすくなります。pmc.ncbi.nlm.nih+1
参考:ぶどう膜炎の定義・症状・検査(眼底検査、蛍光眼底造影、血液検査、胸部X線/CT、房水採取など)の整理に有用
急性虹彩毛様体炎の治療:ステロイド点眼と散瞳と原因治療の組み立て
治療の大枠は、原因により変わるものの、典型的にはコルチコステロイド(点眼・局所注射・全身投与など)と調節麻痺・散瞳薬の局所投与を併用する、という考え方が広く整理されています。つまり「炎症を抑える」と「後癒着を防ぐ(あるいは解除する)」を同時に回す設計です。
一方で、感染性が疑われる場合は、抗菌薬や抗ウイルス薬など病原体に対する治療が軸になり、免疫抑制の使い方は慎重になります。日本眼科医会の解説でも、感染性ぶどう膜炎では病原菌に対する治療、非感染性では免疫反応を抑えて炎症を抑えることが中心とされ、ステロイド点眼から開始し病勢により局所注射・全身投与を追加する流れが説明されています。
臨床の意外な落とし穴として「散瞳=安全」と思い込まない点があります。狭隅角の背景がある患者で散瞳が誘因となり急性緑内障発作が起こり得ることが指摘されており、痛みの強い患者ほど散瞳薬投与前に眼圧・前房の評価を挟む安全設計が望まれます。
参考)もう迷わない!救急外来の初期対応 ~緑内障発作編~|民間医局…
急性虹彩毛様体炎の独自視点:再発予防の説明設計と「漫然治療」回避
急性虹彩毛様体炎は、症状が落ち着くと患者の受診意欲が下がり、「点眼を自己中断→再燃→後癒着や眼圧問題が顕在化」という流れになりがちです。日本眼科学会のガイドライン緒言でも、ぶどう膜炎は再発を繰り返し慢性遷延性経過をたどることが多く、病態に即した全身検査や病因検索なしに「ぶどう膜炎」として漫然と経過観察される症例が少なくない、という問題意識が示されています。
そこで独自視点として、医療従事者が患者説明で使える「再発予防の言い換え」を用意しておくと、実装(アドヒアランス)に効きます。例えば「症状が引いた=治った」ではなく「炎症の火種が消えたかを顕微鏡で確認する期間が必要」「自己中断は後癒着や緑内障など合併症のリスクを上げる可能性がある」と具体化し、次回受診の目的を“見える化”します。pmc.ncbi.nlm.nih+1
加えて、チーム医療では“紹介元ができる再発対策”もあります。問診テンプレに「再発回数」「片眼/両眼」「口内炎・皮疹・呼吸器症状」「帯状疱疹既往」「免疫抑制の既往」を固定項目として入れるだけで、再発患者が来たときに原因検索が一段早く進みます(検査や治療の選択肢が感染性/非感染性で分かれるため)。ぶどう膜炎の原因が多様で、問診・眼科所見・全身所見を総合して診断し、他科連携することがある点は公的にも述べられています。