涙道狭窄 手術 内視鏡とDCR
涙道狭窄 手術 適応と病態把握
流涙を主訴に受診する患者では、まず涙液分泌過多と涙道狭窄・閉塞を鑑別することが重要であり、フルオレセイン消失試験や涙道洗浄で機能評価を行います。
鼻涙管狭窄・閉塞が原因の場合、保存的治療で改善しない慢性流涙や反復する急性涙嚢炎が、手術適応を検討する代表的な場面です。
涙道内視鏡の普及により、これまで盲目的なブジーやチューブ挿入に頼っていた涙道評価が、0.7〜0.9mm径の細径内視鏡で閉塞部位を直視しながら行えるようになり、病態把握と術式選択の精度が大きく向上しています。
涙道狭窄には、加齢性変化や慢性鼻副鼻腔炎に伴う二次性、抗がん剤・全身疾患に関連したものなど多様な背景があり、問診で基礎疾患や薬剤歴を十分に聴取しておくことが術後再狭窄リスクの見積もりにも直結します。
高齢者では、軽度の狭窄であっても生活の質への影響が大きく、涙嚢炎を契機に急速に閉塞が進行する例もあるため、早期に涙道外来へ紹介し、内視鏡評価までつなげるフローを施設内で共有しておくと安全です。
参考)顔を切開せずに行う治療眼科と耳鼻いんこう科の医師が連携する「…
意外な点として、眼科と耳鼻咽喉科が連携した「涙道外来」を設置する施設が増えつつあり、鼻内病変の同時評価・処置が涙道狭窄 手術成績の向上に寄与していることが報告されています。
涙道狭窄 手術 内視鏡下チューブ挿入術の実際
涙道内視鏡下での涙管チューブ挿入術は、多くの施設で第一選択となっている低侵襲な治療であり、局所麻酔・日帰りで20〜30分程度の手術時間におさまることが多いとされています。
具体的には、涙点から直径0.7〜0.9mmの涙道内視鏡を挿入し、閉塞部位を確認しながら穿破・拡張したのち、シリコン製の涙管チューブを留置して再狭窄を予防する手技が一般的です。
チューブ留置期間は施設によって差がありますが、おおむね2〜3か月から最長で6か月程度までとされ、留置中は1〜3週間ごとの通水や位置確認の外来フォローが推奨されています。
看護師・医師が押さえておきたいポイントとして、術後1〜2週間はチューブ刺激による流涙や眼脂の一時的な増悪、目頭違和感がみられるが、多くは自然に軽快することをあらかじめ説明しておくと患者の不安軽減につながります。
参考)【涙管チューブ挿入術を受ける方に必ず伝える】術前後の6つのポ…
生活制限については、翌日から洗顔・洗髪が可能で、メイクや日常生活も大きな制限はないものの、激しい運動や強い鼻かみ、目頭を強くこする行為はチューブ脱落のリスクとなるため控えるよう指導します。
また、涙道内視鏡の改良によりLED光源と高精細カメラを備えた最新機器では、従来より短時間で痛みの少ない施術が可能となったと報告されており、今後は外来処置としてのハードルがさらに下がることが期待されています。
涙道狭窄 手術 DCRと改良型内視鏡手術
涙管チューブ挿入術で改善しない高度閉塞例や、再閉塞を繰り返す症例では、涙嚢鼻腔吻合術(DCR)が根治的治療として選択されます。
従来の皮膚切開による外切開DCRに対し、近年は鼻内内視鏡を用いた鼻内法DCRが普及しており、顔面皮膚に瘢痕を残さず、骨を削って涙嚢と鼻腔を直接吻合することで高い成功率を維持しつつ低侵襲化が図られています。
大学病院などでは、鼻内内視鏡下に鼻腔粘膜と涙嚢壁を縫合する改良型DCRが開発され、すべての症例で流涙症状の改善が得られたと報告されており、標準DCRよりも再閉塞リスクを低減できる可能性が示されています。
麻酔方法は施設・症例により異なりますが、改良型内視鏡下DCRでは全身麻酔で2〜3時間程度を要し、入院期間は1週間前後を想定する施設が多く、周術期管理を含めたチーム医療の体制整備が重要です。
参考)流涙、涙道閉塞
術後は新たに作成した涙嚢鼻腔吻合路の狭窄予防のため、一定期間シリコンチューブを留置する場合もあり、耳鼻咽喉科と協力して鼻腔内の痂皮除去や感染管理を行うことで長期成績の向上を図ります。
意外なトピックとして、改良型内視鏡DCRでは、鼻涙管閉塞そのものだけでなく鼻腔形態異常の矯正を同時に行うことで、涙道疾患と慢性鼻症状の双方が改善し、患者満足度が高いという報告もみられます。
涙道狭窄 手術 術後フォローと看護のポイント
涙管チューブ挿入術後の通院スケジュールは、手術翌日の診察で視力・チューブ位置確認、その後2週間ごとの通水と状態確認、チューブ抜去後も3か月ごとの洗浄を約1年継続することが推奨されています。
看護師は、チューブの露出長や偏位の有無、結膜充血や眼脂増加、涙嚢部圧痛などを毎回観察し、異常時には早期に医師へ報告することで、チューブ脱落や涙嚢炎への進展を未然に防ぐ役割を担います。
チューブ留置中は、患者に対して「鼻を強くかまない」「目頭や下まぶたをこすらない」「眼帯が不要な場合でも就寝時に枕で目元を圧迫しない」といった具体的な行動レベルの指導を行うことが、再閉塞予防および合併症回避に有効です。
DCR後のフォローでは、鼻内視鏡下で吻合部の開存状況を定期的に確認し、痂皮や分泌物が多い場合は耳鼻科での清掃や局所治療を並行して行う必要があります。
特に全身麻酔・長時間手術となる改良型DCR症例では、高齢者や多疾患併存患者が多いため、術前から栄養状態や抗凝固薬の管理を含めた多職種カンファレンスを行うと、術後合併症を減らせるという報告もあります。
意外な視点として、涙道狭窄 手術による流涙改善は、視機能そのものだけでなく「読書やスマートフォン操作時の集中力」「対面コミュニケーション時の心理的負担」など、患者の社会的QOLの回復に直結するため、外来評価ではADLだけでなくコミュニケーション状況の聴取も有用です。
涙道狭窄 手術 医療連携と今後の展望(独自視点)
涙道狭窄 手術の成績向上には、単一診療科だけで完結させず、眼科・耳鼻咽喉科・看護部・地域クリニックが連携した「涙道ケアパス」を構築することが重要であり、実際に眼科と耳鼻科が共同で運営する涙道外来の報告が増えています。
地域連携クリニックでは、術前スクリーニングや術後の定期通水・チューブチェックを担当し、中核病院は内視鏡手術や改良型DCRなど専門性の高い手術に特化することで、患者の移動負担を減らしつつ医療資源を最適化できます。
今後、涙道内視鏡のさらなる細径化と高画質化、ナビゲーションシステムとの連携により、これまで難渋していた複雑な再手術例や、外傷後の変形を伴う症例に対しても、より安全で短時間の涙道狭窄 手術が可能になることが期待されます。
また、術後経過観察に遠隔モニタリングやオンライン診療を導入し、患者が自宅から流涙の程度やチューブ違和感を報告できる仕組みを整えれば、不要な受診を減らしつつトラブル発生時には迅速に対面診療へ切り替えることができ、地方在住患者にも恩恵が大きいと考えられます。
医療従事者向けには、涙道手術に特化したeラーニングやウェブ症例カンファレンスがすでに一部施設で始まっており、今後は涙道内視鏡画像の共有・AI支援診断などを組み合わせることで、若手医師や看護師がより短期間で高いスキルを獲得できる環境整備が求められます。
結果として、涙道狭窄 手術は単なる局所手術ではなく、医療連携・ICT・教育を組み合わせた包括的なケアモデルとして発展していく可能性があり、いまのうちから施設内での役割分担と情報共有の仕組みを整備しておくことが重要です。
涙道内視鏡やDCRについて概要と具体的な術式・術後管理が整理されている専門的な解説ページです(涙道内視鏡手術とDCRの基本的理解の参考リンク)。
富山大学で開発された改良型内視鏡下涙嚢鼻腔吻合術について、図表を交えながら手術の工夫と成績が詳細に説明されています(DCRと改良型内視鏡手術の節の参考リンク)。