眼窩蜂巣炎 とは 原因 症状 診断 治療とケア

眼窩蜂巣炎 とは 原因 症状 診断と治療

眼窩蜂巣炎 とは 概要早わかり
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眼窩蜂巣炎とは何か

眼窩内軟部組織に生じる急性細菌感染症で、眼窩隔膜を越えた炎症により眼球運動障害や視機能障害をきたしうる重症病態です。

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重症化リスクと合併症

急速に進行すると視神経障害、海綿静脈洞血栓症、髄膜炎など頭蓋内合併症に至ることがあり、早期診断と集学的治療が予後を左右します。

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医療従事者が押さえるポイント

眼周囲の腫脹患者を前に、眼窩蜂巣炎と眼窩隔膜前蜂窩織炎を鑑別し、適切なタイミングでCT・MRIと広域抗菌薬導入に踏み切れるかが重要です。

眼窩蜂巣炎 とは 病態と眼窩隔膜前蜂窩織炎との違い

眼窩蜂巣炎とは、眼窩内の脂肪組織や筋肉など軟部組織に生じる急性化膿性炎症であり、眼窩隔膜を越えて深部へ波及した状態を指します。 眼瞼腫脹や結膜浮腫は眼窩隔膜前蜂窩織炎(眼瞼蜂巣炎)と共通ですが、眼窩蜂巣炎では眼球運動障害、眼球突出、視力低下など眼窩深部病変を示唆する徴候が目立ちます。

Chandler分類では、眼窩隔膜前蜂窩織炎(Group1)と眼窩蜂巣炎(Group2以降)が区別され、眼窩蜂巣炎はより重症度が高く、保存的治療のみでは視機能予後が保てないこともあります。 臨床現場では「発赤・腫脹のみ」なのか、「痛みを伴う眼球運動障害や複視・視力障害」を伴っているのかを系統的に確認し、病態のステージを意識することが求められます。

眼窩蜂巣炎は小児に多い疾患ですが、成人では糖尿病や免疫不全など基礎疾患を有する症例で重篤化しやすく、診断の遅れが失明や致死的転帰につながることもあります。 そのため「ただの結膜炎」「ものもらい」として経過観察にとどめず、眼痛・発熱・全身症状を伴う眼瞼腫脹では早期から眼窩蜂巣炎を念頭に置く姿勢が重要です。

眼窩蜂巣炎 とは 主な原因とリスク背景

眼窩蜂巣炎の最多の原因は副鼻腔炎(とくに篩骨洞・上顎洞)からの炎症波及であり、鼻副鼻腔と眼窩の解剖学的近接性が病態の背景にあります。 鼻副鼻腔炎を繰り返す小児では、篩骨洞から薄い紙様板を介して眼窩内に感染が伝播しやすく、軽微な上気道感染後でも急速に眼窩蜂巣炎を発症することがあります。

その他の原因として、麦粒腫など眼瞼の化膿性疾患、急性涙嚢炎や涙腺炎、結膜炎からの波及、外傷や手術による直接感染、血行性播種などが報告されています。 とくに外傷性では、眼窩骨折や異物残存に伴う遅発性眼窩蜂巣炎として発症することがあり、初期画像で明らかな感染徴候が乏しくとも、数日後に急激に症状が悪化するケースに注意が必要です。

基礎疾患としては、糖尿病、慢性腎不全、ステロイド長期内服、造血器腫瘍など免疫不全状態がリスクとなり、通常よりも早期に膿瘍形成や頭蓋内合併症へ進展しやすいとされています。 最近では、耐性菌や嫌気性菌の関与も指摘されており、歯性感染や口腔内からの波及例では嫌気性菌を含む混合感染として重症化する報告があります。

眼窩蜂巣炎 とは 症状 観察と重症化サイン

眼窩蜂巣炎の典型的症状は、片側性の眼瞼腫脹・発赤、眼痛、眼球運動時痛、発熱であり、進行に伴い眼球突出、複視、視力低下、頭痛、悪心などが加わります。 眼窩隔膜前蜂窩織炎と異なり、「眼球の動きが痛くて制限される」「物が二重に見える」「視界がかすむ」といった訴えがあれば、眼窩深部病変を強く疑う必要があります。

観察のポイントとして、医療従事者は視力(矯正視力の変化を含む)、対光反射、眼球運動、眼球突出の程度、眼瞼の緊満感を定期的に評価し、時間経過に伴う変化を把握することが重要です。 また、発熱パターンや全身状態(倦怠感、食欲低下、意識レベル)を合わせて観察することで、敗血症髄膜炎への進展を早期に察知できます。

重症化サインとしては、急激な視力低下、RAPD(相対的求心性瞳孔障害)、眼球運動制限の急速な悪化、強い頭痛や項部硬直、意識障害などが挙げられ、これらがみられる場合は頭蓋内合併症(硬膜下膿瘍、脳膿瘍海綿静脈洞血栓症など)を疑い、緊急で画像再評価と専門科連携が必要です。 一見軽度の眼瞼腫脹でも、夜間から早朝にかけて急速に進行する症例があり、特に小児では保護者の訴えと朝の視診を慎重に評価することが重要なポイントになります。

眼窩蜂巣炎 とは 診断 画像評価と治療戦略

眼窩蜂巣炎の診断では、詳細な問診・身体所見に加え、血液検査と画像検査が中心となります。 血液検査では白血球数増加やCRP高値など炎症反応の上昇を認めることが多い一方、初期には軽度上昇にとどまることもあり、検査値のみで重症度を判断しないことが重要です。

画像検査として、造影CTは眼窩内脂肪組織の混濁、眼筋の腫大、副鼻腔炎の有無、膿瘍形成などを迅速に把握でき、緊急診療で最も利用されます。 MRIは視神経炎症や硬膜下膿瘍、海綿静脈洞血栓症など頭蓋内合併症の評価に優れ、CTで説明できない視力低下や神経学的所見を認める場合に有用です。

治療の基本は、広域抗菌薬の早期静脈内投与と副鼻腔病変へのアプローチであり、起炎菌としてはインフルエンザ菌、肺炎球菌、ブドウ球菌、嫌気性菌などが想定されます。 小児や重症例では、第三世代セフェムやカルバペネム系に、嫌気性菌カバーとしてクリンダマイシンやメトロニダゾールを併用するレジメンが選択されることがあり、日本の感染症治療指針でも重症蜂巣炎への高用量投与が言及されています。

膿瘍形成が疑われる場合や、48〜72時間の適切な抗菌薬治療にもかかわらず症状が改善しない場合には、耳鼻咽喉科・眼科による外科的ドレナージや副鼻腔手術が検討されます。 Chandler分類でGroup3(眼窩下膿瘍)以降では外科的介入の適応となることが多く、保存的治療の限界を超える前に多職種カンファレンスで方針を共有することが推奨されます。

眼窩蜂巣炎 とは 看護ケアと多職種連携の独自視点

眼窩蜂巣炎の看護ケアでは、視機能と神経学的所見のシリアルアセスメントが中心であり、視力・複視の訴えの変化を患者や家族から丁寧に聴取して記録することが重要です。 小児では自発的な訴えが乏しいため、「テレビの見方が変わった」「片目をつぶって見るようになった」などの行動変化を保護者から情報収集することが、医師の診断を補完する実践的な観察ポイントになります。

点滴治療が長期化しやすい疾患であり、末梢静脈路トラブルや安静制限によるストレス、睡眠不足への配慮も欠かせません。 特に、夜間の発熱や頭痛増悪時に「ただの経過」として見逃さず、痛みの質や意識レベル、項部硬直の有無などを系統的に評価し、変化があれば直ちに医師へ報告する看護判断が予後を左右します。

多職種連携という観点では、耳鼻咽喉科・眼科・小児科(内科)・放射線科・感染症科に加え、視能訓練士やリハビリテーションスタッフが早期から関与することで、後遺症としての複視や視力低下へのリハビリテーションを入院早期から設計できます。 また退院支援では、再発予防のための鼻副鼻腔炎管理、薬物アドヒアランス支援、家庭での眼症状セルフチェック方法を含めた患者教育を行うことで、地域での医療・看護資源の活用にもつながります。

眼窩蜂巣炎の診断・治療・合併症について、より詳細な病態生理と治療戦略が解説されています(医師向け専門的解説)。

眼窩蜂巣炎[私の治療](日本医事新報社)

眼窩蜂窩織炎(眼窩蜂巣炎)の症状と原因、一般向けのわかりやすい説明がまとまっており、患者指導資料作成時の参考になります。

がんかほうかしきえん眼窩蜂窩織炎(病気スコープ)

副鼻腔炎と眼窩・頭蓋内合併症の関連、Chandler分類や保存的治療と外科的治療の適応が整理されており、耳鼻咽喉科との連携を検討する際に有用です。

眼窩・頭蓋内へ進展した急性鼻副鼻腔炎への対応(J-Stage)