下眼瞼浮腫 原因を医療者視点で整理
下眼瞼浮腫 原因としての局所疾患と全身疾患の基本
下眼瞼浮腫は「下まぶたのむくみ」と表現されますが、局所疾患から重篤な全身疾患まで原因のスペクトラムが広い症候です。
臨床では左右差の有無、圧痕性か非圧痕性か、発症様式(急性・亜急性・慢性)、随伴症状を整理することで、局所病変か全身性浮腫かを概ね見極めることができます。
局所疾患としては、麦粒腫・霰粒腫、眼瞼炎、結膜炎、涙嚢炎などの炎症性疾患や、外傷、術後変化、アレルギー性接触皮膚炎などが典型です。
一方、全身疾患としてはネフローゼ症候群や心不全、肝硬変、甲状腺疾患、血管性浮腫などがあり、眼瞼浮腫が全身浮腫の最初のサインになることも少なくありません。
参考)https://cdn.jsn.or.jp/guideline/pdf/neph_141224.pdf
問診では、発症時期と経過、再発性かどうか、誘因(感染、薬剤、食品、花粉・化粧品など)、既往歴(腎疾患、心疾患、アレルギー歴など)、家族歴を系統的に確認することが重要です。
身体所見として、頸静脈怒張、ラ音、腹水、下腿浮腫など全身所見の有無を確認し、「単なる目のむくみ」の印象に引きずられないよう注意が必要です。
下眼瞼浮腫 原因としての全身性むくみと腎・心・肝疾患
ネフローゼ症候群などの腎疾患では、圧痕性の浮腫が眼瞼から始まり、進行とともに下腿や仙骨部、胸腹水へと広がることが多いとされています。
早期には「朝の下眼瞼浮腫のみ」として現れ、患者側からは疲れや寝不足と誤認されやすいため、尿量変化や蛋白尿の有無、体重増加の聴取が診断の鍵となります。
心不全に伴う浮腫では、起座呼吸や息切れ、夜間頻尿、下腿浮腫、頸静脈怒張などがしばしば併存し、眼瞼だけの浮腫にとどまらないことが多いです。
一方で高齢者では軽度の下眼瞼浮腫が心機能低下の初期サインの場合もあり、浮腫の時間帯や体位との関連など、日内変動の確認が役立ちます。
参考)まぶたの腫れ・下がる原因・病気|目が腫れている場合の対処法
肝硬変や低アルブミン血症を伴う肝疾患では、腹水やクモ状血管腫、黄疸などの所見が目立つ一方、眼瞼浮腫も生じることがあり、栄養状態不良と合わせて評価する必要があります。
これらの全身性浮腫では、血清アルブミン、クレアチニン、BNP などの血液検査と、尿検査、胸部 X 線、心エコーなどを組み合わせて鑑別を進めるのが一般的です。
ネフローゼ症候群における眼瞼浮腫の位置づけと診断アルゴリズムの詳細(腎疾患由来の浮腫を疑う際の参考)
下眼瞼浮腫 原因としてのアレルギー・感染・血管性浮腫
アレルギー性結膜炎や眼瞼炎では、かゆみ、発赤、結膜充血、流涙、眼脂などを伴い、上下眼瞼ともに腫脹することが多いですが、下眼瞼優位の浮腫として自覚されることもあります。
原因としては、花粉やハウスダストのほか、アイメイク、シャンプー、コンタクトレンズケア用品、点眼薬、内服薬など多彩であり、接触機会と時期の関連を丁寧に聴取することが重要です。
蕁麻疹に伴う血管性浮腫では、顔面、特に眼瞼や口唇に限局した深部浮腫として現れることが知られており、数日以内に痕跡なく消失することが多いとされています。
参考)https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/urticaria_GL2018.pdf
ブラジキニン起因性血管性浮腫(C1 インヒビター欠損や ACE 阻害薬関連など)の場合、蕁麻疹を伴わないこともあり、再発性の眼瞼浮腫が薬剤歴や家族歴と結びつくかどうかが重要な診断のヒントになります。
参考)https://www.call4.jp/file/pdf/202509/176b68eeae575cfa5af8f332520160ad.pdf
細菌性の麦粒腫や涙嚢炎では、局所の疼痛、圧痛、限局した硬結、膿点などが特徴で、発熱を伴う場合もあります。
感染性疾患では、結膜の浮腫・充血、流涙、眼脂などが併存することが多く、視力低下や眼球運動障害を伴う場合は眼窩蜂窩織炎など重篤な病態も念頭に置く必要があります。
参考)https://www.city.hiroshima.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/028/013/43-r5.pdf
蕁麻疹・血管性浮腫の診療ガイドライン(反復する眼瞼浮腫で血管性浮腫を疑う際の参考)
下眼瞼浮腫 原因としての薬剤性・生活習慣・ホルモン変化
薬剤性浮腫は、カルシウム拮抗薬や一部の抗うつ薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、ホルモン製剤、H2 ブロッカーなど多くの薬剤で報告されており、顔面・眼瞼浮腫として現れることがあります。
血管拡張作用やナトリウム・水分貯留機序により毛細血管内圧が上昇し、眼瞼のような皮膚の薄い部位が最初に目立つことがあり、処方変更前後の時間関係を確認することが重要です。
生活習慣要因としては、過剰な塩分摂取、飲酒、水分摂取過多、睡眠不足、長時間の俯臥位での睡眠などが、まぶたのむくみの頻度を高めるとされています。
参考)生活習慣? それとも病気? 気になる「目のむくみ」とお急ぎ解…
日中は下肢に分布していた水分が、夜間の臥位で体幹や顔面に移動するため、朝の下眼瞼浮腫として自覚されやすく、特に心不全や腎機能低下が背景にあると顕著になります。
ストレス負荷に伴うホルモン変化(コルチゾールなど)も、血管収縮や水分バランスの変化を通じて顔面のむくみを誘発する可能性が指摘されており、慢性的な浮腫では精神心理的背景も含めた評価が有用です。
また、月経周期や妊娠、更年期など女性ホルモンの変動に伴う体液貯留も、眼瞼を含む顔面浮腫として現れることがあり、婦人科疾患や甲状腺疾患との鑑別も必要になります。
まぶたの腫れぼったさの原因とセルフチェック項目(生活習慣やホルモン変化を確認する際の参考)
下眼瞼浮腫 原因評価に役立つ診察の勘所と見逃しやすいサイン
下眼瞼浮腫の初診時には、「片側か両側か」「圧痕性か非圧痕性か」「痛み・かゆみ・発赤の有無」「発症速度」の 4 点を整理するだけでも、局所炎症、アレルギー、全身性浮腫、血管性浮腫の大枠の鑑別が可能です。
片側性で痛みやしこりを伴う場合は、麦粒腫・霰粒腫・涙嚢炎など局所疾患を優先的に考え、両側性で圧痕性が強い場合には、腎・心・肝などの全身性疾患を疑うべきです。
あまり知られていないポイントとして、全身性浮腫のごく初期に眼瞼浮腫だけが先行し、下腿浮腫や体重増加が出そろうまでに数週間以上のタイムラグを伴う症例が報告されています。
このようなケースでは、「毎朝、下眼瞼だけが腫れて見える」「夕方にはほぼ目立たない」という訴えが手がかりとなり、尿検査や血液検査を早期に行うことで、腎疾患などの早期診断につながる可能性があります。
また、蕁麻疹を伴わない血管性浮腫や薬剤性浮腫では、患者自身も医療者側も「むくみ」として軽視しがちですが、気道浮腫や消化管浮腫を伴う重篤例も存在するため、嚥下困難や嗄声、腹痛などの随伴症状を見逃さないことが重要です。
一見、生活習慣由来の下眼瞼浮腫に見える症例でも、背景にネフローゼ症候群や心不全、甲状腺機能異常が潜んでいることがあるため、「繰り返す朝の下眼瞼浮腫」は全身評価のきっかけと捉える視点が求められます。
まぶたの腫れ・目が腫れる原因と検査(局所疾患と全身疾患の鑑別を行う際の参考)

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