ランマーク 薬価と骨転移治療の実際
ランマーク 薬価の現状と規格ごとの費用感
ランマーク皮下注120mgは、デノスマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする注射剤で、規格は「120mg1.7mL1瓶」として薬価基準に収載されています。同規格の薬価は44,108円とされており、高額注射製剤として骨転移領域の薬剤費を大きく占める存在です。
投与間隔は通常4週ごとの皮下注製剤であるため、薬価ベースでは1年あたり約13回投与と仮定すると、単純計算で年間約57万円前後の薬剤費インパクトになります。実臨床では休薬や予後、骨関連事象の発生タイミングによって実投与回数が減ることもあり、実コストは症例ごとに変動します。
参考)ランマーク皮下注120mgの基本情報・添付文書情報 – デー…
ランマークは「多発性骨髄腫による骨病変及び固形がん骨転移による骨病変」を効能・効果として承認されており、乳がんや前立腺がん、非小細胞肺がんの骨転移症例で広く選択肢となっています。同効薬であるビスホスホネート製剤と比較すると薬価は高い一方、腎機能低下患者での使いやすさや骨関連事象抑制効果を背景に、オンコロジー領域での使用が着実に増えてきた経緯があります。
参考)https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=42418
骨転移治療の薬剤費評価の際には、ランマーク単剤の費用ではなく、化学療法、ホルモン療法、放射線治療、疼痛管理などを含めた全体治療費の中での位置づけを確認することが重要です。あるコスト効果分析では、骨関連事象の減少による入院・処置費の低減を考慮すると、ランマークの薬剤費は一定の妥当性があると評価されていますが、依然として医療機関の薬剤費管理上は注目度の高い薬剤です(デノスマブ同効薬比較の解説)。
参考)デノスマブ(遺伝子組換え)の同効薬比較 – くすりすと
ランマーク 薬価改定のポイントと最近の動向
日本の薬価制度では、実勢価格調査や市場拡大再算定などを通じて高額薬剤の薬価が定期的に見直される仕組みになっており、ランマークも例外ではありません。令和7年度以降の薬価改定資料では、市場拡大再算定の対象品目が列挙されており、高額バイオ医薬品の薬価を抑制する方向性が明確に示されています。
ランマーク個別の改定率は年度ごとの告示を確認する必要がありますが、「収載品(注射薬を含む)について市場拡大再算定を適用し、薬価の改定を行った」と明記されており、骨転移領域の高額注射剤も政策的な価格調整の射程に入っています。今後、実勢価格との乖離が大きくなれば、さらに薬価が切り下げられる可能性がある一方、後発(バイオシミラー)の登場は、より急激な薬価引き下げのトリガーとなり得ます。
参考)https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=79231
厚生労働省が公表する「薬価基準収載品目リスト」は、先発品・後発品の別や加算算定の可否などを一覧できる資料であり、ランマークの位置づけや後発品の有無を確認する上で有用です。薬剤部門や診療報酬担当者は、定期的にこのリストを参照し、ランマークを含む高額注射剤の薬価変動リスクを把握しておくことが求められます。
参考)https://www.mhlw.go.jp/topics/2025/04/tp20250401-01.html
ランマークは登場当初から高薬価で収載された経緯があり、2012年の新薬収載時の報道では、がん骨転移の新たな治療選択肢として注目された一方で、その価格水準にも関心が集まりました。現在では、その有用性が広く認知されるとともに、薬価適正化の観点からもモニタリングされる代表的なバイオ医薬品となっています。
ランマーク 薬価と同効薬・バイオシミラーの比較視点
ランマーク皮下注120mgは、データインデックスなどの医療用医薬品データベースにおいて「先発品(後発品なし)」として分類されてきましたが、近年、デノスマブのバイオシミラー(BS)の上市が報じられています。富士製薬工業のデノスマブBSは、「多発性骨髄腫による骨病変及び固形癌骨転移による骨病変」を効能・効果としたランマークのバイオシミラーとして位置づけられ、初めてのランマークBSとして注目されています。
バイオシミラーが普及すると、通常は先発バイオ医薬品の薬価が段階的に切り下げられ、後発のBSが一定割合低い薬価で設定されることが多いため、ランマークの薬剤費インパクトも中長期的には軽減する可能性があります。ただし、デノスマブは骨密度改善薬(プラリア)としても使用されているため、骨粗鬆症領域とがん骨転移領域での使い分けや薬価の位置づけには注意が必要です。
参考)https://yakka-search.com/index.php?s=622136501amp;stype=7
同効薬としては、ゾレドロン酸などのビスホスホネート製剤が代表的であり、薬価水準はランマークに比べて低いものの、腎機能への影響や投与管理の手間を考慮する必要があります。医療経済的には、デノスマブ製剤は高薬価でも骨関連事象の抑制やQOL改善により、トータルコストで優位性を示す症例もあり、患者背景や予後、既往歴を踏まえた個別最適化が重要です(ランマーク先発・後発比較)。
参考)ランマーク皮下注120mgの先発品・後発品(ジェネリック) …
バイオシミラーの登場は、薬剤費削減のみならず、供給安定性や製薬企業間の競争による追加情報提供など、臨床現場に少なからず影響を及ぼすことが想定されます。ランマークの選択にあたっても、価格だけでなく、安定供給、情報提供体制、RMP(リスク管理計画)の内容などを含めた総合評価が求められる局面が増えるでしょう。
ランマーク 薬価と骨転移治療における費用対効果の実際
骨転移を伴うがんでは、病勢の進行とともに病的骨折、脊髄圧迫、高カルシウム血症などの骨関連事象(SRE)が発生し得るため、これらをいかに予防・遅延させるかが治療の重要な目標となります。ランマーク(デノスマブ)は、RANKLを標的とするヒト型抗体として、ビスホスホネート製剤と比較してSREの発生を有意に抑制した報告が複数あり、その効果が薬価の根拠の一つにもなっています(デノスマブ骨転移試験の代表的論文)。
費用対効果の観点では、ランマークの薬剤費は高いものの、SREによる入院、手術、放射線治療、リハビリテーションなどの医療費や、患者の生活の質低下に伴う社会的コストを減らせる可能性が議論されています。一部の経済評価では、乳がんや前立腺がんの骨転移において、ゾレドロン酸と比較してランマークが増分費用効果比(ICER)の閾値内に収まるケースが報告されており、特に長期予後が期待される症例ほど薬剤選択の意義が大きいとされています。
日本の診療報酬制度では、高額医療費制度により患者自己負担が一定額で頭打ちになる一方で、医療機関側の薬剤費負担は依然として大きく、DPC病院などではランマークのような高額注射剤の使用方針が経営に直結します。そのため、多職種チームで「どの患者に、どのタイミングで、どの期間使用するのが最も合理的か」をディスカッションし、エビデンスと経済性のバランスを取る運用が現場で求められています。
さらに見逃されがちな視点として、「投与中止のタイミング」があります。予後が短くなった段階での継続投与は、費用対効果の面で疑問が残ることが多く、緩和ケアチームや主治医が連携して、患者・家族の希望と費用面を丁寧にすり合わせるプロセスが重要です。このような投与期間の最適化は、薬価そのものを変えられない医療機関にとって、実質的なコストコントロール手段になり得ます。
ランマーク 薬価と歯科・支持療法まで含めた意外なコスト構造
ランマーク投与に伴う重要な有害事象として、顎骨壊死(osteonecrosis of the jaw: ONJ)が知られており、投与前から歯科口腔外科による評価や抜歯のタイミング調整などが推奨されています。一見すると薬価とは無関係に見えますが、実際には歯科受診や口腔ケアに伴う医療費・時間コスト、ONJ発症時の入院・手術費用が、骨転移治療全体のコスト構造に大きく影響し得ます。
興味深い点として、デノスマブはビスホスホネートと比較して腎機能障害患者でも使用しやすい一方で、ONJリスクの管理に手間がかかるため、「薬価が高いが歯科連携を前提とした包括的ケアでトータルコストを下げる」という、やや逆説的な運用が実臨床で行われている施設もあります。例えば、投与前の集中的な口腔ケア介入によりONJ発症率を抑えられれば、結果として高額な入院・手術費用を回避でき、ランマークの薬剤費以上の医療費削減につながる可能性があります。
さらに、骨関連事象の抑制により患者が自宅生活を維持できる期間が延びることは、介護費用や家族の休業損失といった医療外コストにも影響を及ぼします。このように、ランマーク薬価だけを切り出して議論するのではなく、「歯科・リハビリ・介護」を含めた広い意味でのコスト構造の中に位置づけることで、医療従事者としてより説得力のある説明や治療方針提案が可能になります。
厚生労働省「薬価基準収載品目リスト」の解説ページ
先発品・後発品の定義や薬価の考え方を整理する際の参考資料(ランマークの制度上の位置づけ確認に有用)
ランマーク皮下注120mgの薬価・同効薬情報
ランマークの薬価、効能・効果、同効薬との比較をコンパクトに確認できる医療従事者向けデータベース
デノスマブ骨転移試験の代表的論文(NEJM)
ビスホスホネートと比較したデノスマブの骨関連事象抑制効果と安全性の詳細を把握するための英語文献

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