退院時共同指導料 算定要件と点数と加算

退院時共同指導料 算定要件

退院時共同指導料の最短理解(算定要件の全体像)
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要件の核は「共同して」「文書で」

入院側と在宅側が共同指導し、その内容を文書で情報提供して初めて評価対象になります(口頭だけ・院内だけでは不足になりやすい)。

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原則は入院中1回、例外で2回

基本は「当該入院中1回」ですが、一定の疾病等では「当該入院中2回」まで可能と整理して運用します。

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記録・添付が返戻回避の鍵

診療録への要点記載、または患者・家族へ渡した文書の写し添付を「セット」として運用すると監査・返戻リスクが下がります。

退院時共同指導料 算定要件の共同指導と文書

 

退院時共同指導料(1・2)は、入院中の患者について、退院後の在宅療養を担う側(在宅療養担当医療機関など)の職種が、入院中の保険医療機関の職種と「共同して」退院後に必要な説明・指導を行い、さらに「文書により情報提供」した場合に算定する枠組みです。

ここで実務上の落とし穴になりやすいのが、「共同して」の解釈が曖昧なまま、片側だけが説明して終わってしまうパターンです。

共同指導は、患者の同意を得て実施することが明記されており、同意取得の事実(いつ、誰が、どのように)を診療録や同意書等で追える形にしておくと安全です。

また、共同指導の参加職種は医師・看護師等に限られず、薬剤師、管理栄養士理学療法士作業療法士言語聴覚士、社会福祉士などが列挙され、在宅側には訪問看護ステーションの看護師等(准看護師除く)やリハ職が含まれる点も重要です。

参考)【2024年改定対応】退院時共同指導加算とは?算定要件や注意…

つまり「退院支援=医師と看護師だけの面談」と捉えると、せっかくの多職種連携の材料が点数につながらないことがあります。

参考)【2025年最新版】訪問看護の退院時共同指導加算とは?算定要…

文書提供については、内容の要点を診療録等へ記載、または患者・家族等へ提供した文書の写しを診療録等に添付する運用が示されています。

退院時共同指導料 算定要件の点数と退院時共同指導料1 2

退院時共同指導料は「1」と「2」で評価の位置づけが異なり、算定主体(どちらの医療機関が算定するか)や要件の細部が条文上整理されています。

退院時共同指導料1は、退院後の在宅療養を担う医療機関側が算定する設計で、共同指導と文書情報提供を満たすと「当該入院中1回に限り」算定できるとされています。

退院時共同指導料2は、患者が入院している保険医療機関側が算定する設計で、同様に共同指導と文書情報提供を満たした場合に「当該入院中1回に限り」算定できるとされています。

ここで、チーム内の役割分担を「誰が算定する点数なのか」まで合わせておかないと、在宅側は準備したのに入院側の算定要件(例えば共有文書の整備)が不足して算定できない、というズレが起きがちです。

また、退院時共同指導料1には、初診料・再診料・外来診療料・往診料・在宅患者訪問診療料等が「別に算定できない」旨の整理があり、同日算定の組み合わせを事前にチェックする必要があります。

一方で退院時共同指導料2は、同一日に退院時リハビリテーション指導料や退院時薬剤情報管理指導料が別算定できない場合があるなど、競合関係が具体的に示されています。

退院時共同指導料 算定要件の算定回数と疾病等

算定回数は原則として「当該入院中1回に限り」ですが、別に定める「疾病等の患者」に該当する場合、一定の共同指導の条件を満たして「当該入院中2回に限り」算定できるとされています。

2回算定が可能な場合でも、「2回のうち1回は、それぞれの保険医療機関の保険医、看護師又は准看護師が共同して指導すること」という運用上の条件が示されており、ここを外すと“2回目だけ多職種で実施”のような形が要件不備になり得ます。

現場で見落としやすいのは、2回算定の可否を患者の状態だけで判断し、共同指導の「参加者構成(医師・看護師等の関与)」の条件を詰めないまま日程を組んでしまう点です。

また、退院時共同指導料は患者本人だけでなく、家族等(退院後に患者の看護を担当する者)に対して指導を行った場合にも算定できるとされます。

この規定は、独居高齢者の退院支援ではなく、家族介護・同居介護が中心の地域では特に有効で、退院後の服薬・栄養・転倒予防褥瘡予防などを「家族に伝える行為」も点数の射程に入ることを意味します。

ただし、家族へ説明した場合でも、共同指導と文書情報提供、記録(要点記載または文書写し添付)は崩せないため、“家族に口頭で伝えた”だけでは成立しません。

退院時共同指導料 算定要件の多機関共同指導加算と特別管理指導加算

退院時共同指導料2では、一定条件下で「多機関共同指導加算」を所定点数に加算でき、入院中の保険医療機関側が、在宅療養担当医療機関の医師・看護師等や歯科医師・歯科衛生士、保険薬局の保険薬剤師、訪問看護ステーション、介護支援専門員、相談支援専門員などのうち「いずれか3者以上」と共同して指導した場合に算定する、と整理されています。

この「3者以上」は“職種が3つ”ではなく“規定に列挙された関係者のうち3者以上”という数え方になるため、同一法人内で人数が揃っても、実質的に連携先が不足して要件を満たせないケースが出ます。

さらに共同指導はビデオ通話が可能な機器で実施しても差し支えないとされ、移動制約(遠隔地の診療所、薬局、ケアマネ)を乗り越えて「3者以上」を成立させやすい点は、意外と使われていない実務上の伸びしろです。

退院時共同指導料1には「特別管理指導加算」があり、厚生労働大臣が定める特別な管理を要する状態等にあるときに加算できるとされています。

この加算は、退院後の療養を安全に回すために“管理項目が多く、変化も大きい患者”を対象にする設計なので、指導文書には観察ポイント(いつ連絡するか、何が危険兆候か)を具体化しておくと、算定の説明力が上がります。

また、入院側・在宅側の双方で「24時間連絡体制」等を文書で示す要件が関係する場面があり、電話番号や担当日、緊急時注意事項等を文書で提供した場合に限って算定できる旨も示されています。

退院時共同指導料 算定要件の算定できないケースと監査対策(独自視点)

退院時共同指導料は「退院後在宅での療養を行う患者」が対象であり、他の保険医療機関への転院、社会福祉施設・介護施設等への入所、死亡退院は原則として対象外とされます。

ただし退院時共同指導料2の一部(注4)では、退院後に介護老人保健施設等へ入所する患者も対象となり得る一方で、当該保険医療機関に併設する介護施設等に入所する場合は算定できないなど、例外と制限が併記されています。

ここは「在宅=自宅」と早合点して算定可否を誤りやすいポイントで、施設入所が絡む退院支援ほど条文をもとにチェックリスト化しておく価値があります。

監査・返戻の観点で“見た目は連携しているのに落ちる”典型は、(1)患者同意の根拠が薄い、(2)共同指導の参加者(職種・所属)が記録から追えない、(3)文書情報提供の写しが診療録に残っていない、の3点です。

特にビデオ通話で共同指導を行う場合、患者の個人情報を画面共有する際は患者同意が必要であり、電子カルテ等と共通ネットワーク上の端末で行う場合には「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」への対応が求められる旨が示されています。

つまり、オンライン共同指導は“楽になる施策”である一方、同意とセキュリティ対応の記録が不足すると一気に弱点になるため、運用ルール(同意文言、画面共有の有無、接続方法、記録テンプレ)を先に決めておくのが安全策です。

実務で効く小技として、共同指導当日の文書を「患者・家族に渡す版」と「診療録添付版」で同一内容・同一日付にし、参加職種(入院側/在宅側)と連絡先、緊急時対応、退院後の観察項目を定型欄に入れると、要件の抜けが減ります。

また同一日に退院時共同指導料2と退院時リハビリテーション指導料または退院時薬剤情報管理指導料を算定した場合、摘要欄への記載(共同指導を行った者の職種および年月日)が必要とされるため、レセプト側の運用(誰が入力確認するか)まで含めて設計すると取りこぼしが激減します。

「診療録は完璧だがレセプト摘要が弱い」という施設は少なくないので、医事課・病棟・地域連携室・薬剤部・リハ部門で“摘要欄に落とす情報”を先にすり合わせるのが、上位表示記事には少ない実装寄りの対策になります。

医科点数表(退院時共同指導料1の本文・注釈・算定上の留意事項の根拠)

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医科点数表(退院時共同指導料2:多機関共同指導加算、オンライン共同指導、同日算定不可・摘要欄記載など実務論点の根拠)

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