医薬品医療機器等の品質有効性及び安全性の確保等に関する法律 施行規則 薬局 管理者 記録

医薬品医療機器等の品質有効性及び安全性の確保等に関する法律 施行規則

現場が最初に押さえる3点
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「施行規則」は運用ルール

法律(薬機法)が目的と枠組み、施行規則が申請書式・記録・掲示・手順などの実務を具体化します。条文を読まないと“慣習運用”が監査で崩れます。

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立入検査は「記録」で勝負

実施したつもりでも、帳簿・保存年限・誰がいつ確認したかが残っていないと説明できません。保存期間が条文でズレる領域(薬局/再生医療等製品など)に注意。

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意外な盲点:サイバーセキュリティ

薬局の管理者が遵守すべき事項として、薬局業務に係るサイバーセキュリティ確保が条文上の位置づけになっています。紙の監査だけでなくIT運用も点検対象になり得ます。

医薬品医療機器等の品質有効性及び安全性の確保等に関する法律 施行規則の位置づけと全体像

 

医療現場では「薬機法」と一括りにされがちですが、実務で直接効いてくるのは“施行規則が定める具体要件”です。施行規則は、薬局の開設・更新・変更届の様式、掲示、帳簿、販売・授与の手順、さらには安全対策まで広くカバーしており、章立ても「薬局」から「医薬品等の安全対策」まで非常に長い構造です。厚生労働省の掲載資料でも、昭和36年厚生省令第1号として「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(改称)」の目次が示され、薬局(第1条〜)から監督(第244条〜)等まで体系化されていることが確認できます。

この体系が重要なのは、現場の業務が「薬局」だけで完結しないためです。例えば、薬局は販売・授与の局面で広告規制や安全対策の章と接続し、在宅やオンライン対応では“情報提供の方法”が問われます。つまり、監査で「薬局の章だけ見ていました」では足りず、関連章(広告・安全対策)と横断して説明できる必要があります。

また、条文は“やるべきこと”を列挙するだけでなく、「どの情報を、どの方法で、どれだけの期間保存するか」まで具体化します。言い換えると、施行規則は「手順書・記録様式・保存年限」を外部規範として持つため、院内・薬局内のSOPやチェックリストを作る際の最上流になります。

参考リンク(条文の原典:章立てと条文を正確に確認するため)。

厚生労働省:医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(本文・目次)

医薬品医療機器等の品質有効性及び安全性の確保等に関する法律 施行規則の薬局 開設 申請と届出の実務

薬局の開設や更新、体制変更は「いつ・何を・どの様式で出すか」がそのまま法令適合性になります。施行規則では、開設申請書の様式や、申請書に書くべき具体項目(営業時間、薬剤師不在時間、連絡先、特定販売の有無など)が明示されています。つまり、現場の感覚で「変更は軽微だから口頭で…」という運用は、条文に照らすと説明不能になりやすい領域です。

特に注意したいのが、特定販売(インターネット等)を絡めた場合です。施行規則は、特定販売を行う際に“広告で表示すべき情報”や“都道府県知事等が閲覧できる形”など、一般の店舗運用と違う要求を置いています。EC化・DX化が進むほど、薬剤師配置・相談体制・掲示・サイト表示が「物理店舗の掲示」から「サイト上の掲示」へ拡張されるため、薬事担当とシステム担当の連携が必須になります。

さらに、見落としやすいのが「台帳・帳簿」の保存です。施行規則では、薬局の管理に関する帳簿を備え、記載し、最終記載日から一定期間保存することが規定されています。監査対応を強くするなら、薬局内で“何を帳簿に書くか(試験検査、不良品処理、管理上の出来事)”を定義し、記載の粒度を統一しておくことが、行政説明のコストを大幅に下げます。

医薬品医療機器等の品質有効性及び安全性の確保等に関する法律 施行規則の薬局 管理者 記録とサイバーセキュリティ

「薬局の管理者の責任」は、形式的に管理薬剤師名を置けば終わりではありません。施行規則では、薬局の管理者が行う業務(例:試験検査、帳簿、記録保存など)や、管理者が遵守すべき事項が条文として整理されており、監査では“責任分界が運用されているか”が見られます。

ここで意外性があるのが、サイバーセキュリティが明確に位置づけられている点です。施行規則の「薬局の管理者が遵守すべき事項」として、薬局業務に係るサイバーセキュリティの確保のために必要な措置を講じることが条文上含まれており、厚労省の資料でも施行規則第11条第2項の改正として“サイバーセキュリティ確保を追加”する趣旨が説明されています。これにより、レセコン・電子薬歴・オンライン服薬指導の通信環境・委託先SaaSの権限設計なども、「薬局の管理」の一部として語る必要が出てきます。

実務での落とし穴は、「IT部門の管轄だから薬局では把握していない」という説明が通りにくいことです。管理者の遵守事項である以上、少なくとも以下は“薬局側が説明できる状態”にしておくのが安全です。

  • 🔐 端末とアカウントの管理(共用IDの扱い、退職者の権限削除)
  • 🧩 ベンダー保守の範囲(遠隔保守のログ、更新頻度、脆弱性対応の窓口)
  • 🧾 インシデント時の連絡体制(患者影響の評価と報告ライン)
  • 📚 年1回以上の教育・訓練(実施記録が残る形)

参考リンク(サイバーセキュリティを薬機法上の義務として位置づけた背景の説明)。

厚生労働省資料:薬機法施行規則第11条第2項改正とサイバーセキュリティ位置づけ

医薬品医療機器等の品質有効性及び安全性の確保等に関する法律 施行規則のオンライン服薬指導と情報提供の要件

オンライン服薬指導は「やってよい」だけでなく、「どうやってよいか」が施行規則に具体化されている領域です。施行規則では、調剤された薬剤に係る情報提供・指導の方法の一つとして、映像および音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話できる方法などの要件が置かれ、患者の求めに応じ、都度薬剤師が責任をもって判断することが前提になります。さらに厚労省通知「オンライン服薬指導の実施要領」でも、施行規則第15条の13第2項に関係する要件として、同趣旨が明確に文章化されています。

現場での要点は「対面の代替」ではなく「適正使用確保が可能な形での情報提供」であることです。例えば、初回で複雑な操作が必要な薬剤や、通信障害が想定される環境では、オンラインの可否判断に合理性が必要になります。監査・訴訟・苦情対応まで見据えるなら、以下を“記録に残す”運用が強いです。

  • 🎥 実施方法(使用ツール、患者側の通信状況、本人確認の手順)
  • 🧑‍⚕️ 判断の根拠(オンラインで可能とした理由、対面が必要とした場合の理由)
  • 🧾 指導の要点(用法用量、併用注意、副作用時対応、質問の有無)

そして“実は差が出る”のが、業務手順書(SOP)の整備です。オンラインは属人的になりやすい一方で、施行規則に沿った要件を手順に落とせていれば、担当者交代や多店舗展開でも品質が保ちやすくなります。

参考リンク(オンライン服薬指導の公式な実施要領:条文要件の運用解釈)。

厚生労働省:オンライン服薬指導の実施要領について(通知)

医薬品医療機器等の品質有効性及び安全性の確保等に関する法律 施行規則の独自視点:監査に強い「保存期間マップ」作り

検索上位の解説は「条文の紹介」で止まりやすい一方、現場が本当に困るのは“保存期間が業務ごとに散らばっている”点です。施行規則には、薬局の帳簿保存(例:最終記載日から3年間)や、販売・授与に関する書面保存(例:区分により2年・3年など)が出てきますし、さらに再生医療等製品などでは“30年”といった長期保存も登場します(製品区分により大きく変動)。この「保存年限の非対称性」は、現場の書庫・電子保存・バックアップ設計に直結します。

そこで独自に提案したいのが、薬局・病院・企業のいずれでも使える「保存期間マップ(1枚表)」です。やり方はシンプルで、施行規則の条文を“業務単位”に翻訳して表に落とします。

  • 🗂️ 列:業務(購入・販売、疑義照会、オンライン指導、温度逸脱、回収対応など)
  • 🧾 列:根拠条文(施行規則の条番号)
  • ⏳ 列:保存期間(起算点も明記:作成日/最終記載日/出荷日など)
  • 👤 列:責任者(管理者、総括、担当、委託先)
  • 💾 列:保存媒体(紙/電子、バックアップ、改ざん防止)

このマップがあると、監査で質問が来た瞬間に「その記録はどの条文で、何年保存で、どこにあるか」を即答できます。さらに、サイバーセキュリティが遵守事項に入っている以上、電子保存の統制(アクセス権、ログ、バックアップ)も“保存の一部”として説明できます。結果として、薬事・品質・情報システムが同じ地図を見て動けるようになり、属人的な抜け漏れが減ります。

参考リンク(条文検索・改正履歴の確認に有用:最新版への追従のため)。

e-Gov法令検索(施行規則の条文・改正履歴を検索)

医薬品・医療機器・再生医療等製品 GLP Q&A集